転生して運ばれていたら吸血鬼の眷属にされた件について
なんでこんなことに...。
混乱している脳みそで必死に考える。
わたしの前の名前は、広橋蓮花。
ごくごく普通の地方の方に住んでいる社会人だ。色恋事と縁がなかったので彼氏も彼女もいやしない。風俗なんかも行ったことない。友達は居るよ?シェアハウスしてたし?まあまあ楽しくやってたねうん。趣味は、ゲームとデザート巡り(特にクレープが好きだよ)休日には、朝と昼はデザート巡り、夜は深夜までゲーム...うん楽しかったね。
そんな感じで、人生エンジョイしてたんだけどね...友達と一緒にクレープ食べながら帰っている途中だったんだけどねぇ。友達と一緒にクレープ食べながら横断歩道を渡っていたら信号無視したトラックが突っ込んできたんだよねぇ。
異世界転生トラックじゃん...とか、もうちょっと奮発してお高いクレープ食べとけばよかった...とかどうでもいいこと考えながら死にましたとさ。めでたくないけどめでたしめでたし。友達は生きてたらいいね。
んでわたしがこっち(異世界)に生まれたのが10年前。つまり元気いっぱいの10歳だ。若狭特有の体から出てくる元気はほんとに素晴らしい。
わたしを認識できたのは5年前。始めてこっち(異世界)のわたしの顔を見た時はびっくりしたよ。
わたしに対して言うのもなんだけど、絹のようになめらかな銀髪。夕日のように赤い瞳。丸く小さいかわいい系の顔なのだ。
両親の髪は茶色に目はグリーンとどんな突然変異で生まれたの?って感じで親と全然違う。
「こんだけ顔がかわいければもしかしてこっちの人生イージーモード?」
そんなアホみたいな甘い考えが通るわけもなく...
わたしが生まれた所は、王国?のどこかの貧しい村だったようだ。王国?はわたしが4歳の頃から不作が続いており、王国内の村は例外なく食糧難に陥っていたようで。ただでさえ貧しい村が不作で農作物が取れなくなったらどうなるかって?飢饉だよね。
村のみんなが飢えていたね。ご飯は一日二回取れれば良い方。食えない日もあったし。税にも持っていかれないぐらいの小麦とかそこら辺の雑草を家畜の乳で煮詰めて粥にして食べてたね。時々その粥におがくずを入れて量を増やしていたりして凌いでいたよ。まったくひどい状況だよね。
国が助けてくれなかったのかって?重要な場所には、魔法使いが援助とかしていたらしいけど魔法を使える人って少ないらしいし田舎のここは対応してくれなかったみたい。
親は全く容姿の違うわたしを見て気味悪がっていたし。ほかの人にも避けられてて居づらかった。2歳下の妹ができたら、わたしはほぼほぼ育児放棄だったしなんとなく予想はしていたけど、、、まさか口減らしで奴隷商に売られるのがリアルで起きうるとは...。
こんな感じで雲に隠れて月明りがない夜に奴隷商の馬車に荷物として運ばれてます。檻の中は怨嗟の声で溢れてて汚れているものと思っていたけど、村で食べていた時よりも良いご飯が出てきてびっくりした。ご飯と目線だけは村よりましだ。檻の中には、女の人が多いしお高い奴隷だったりするのかもね。
売られる前にこんな檻の中から逃げたいと思ったりもしたが、松明を持った馬車の護衛らしき人が4人もいるしジャラジャラなって重りがある足枷もある。檻から出る手段も持ってないし。無理だ。
逃げてやろうって暴れてた女の人も居たけど、すぐに見つかって捕まった後、乱暴されてた。あれを見たら逃げようなんて思わなくなったね。
そんなわけで檻の中ではやる事もなくボーっと外の景色を眺めていたら。わたしの載っている馬車の御者が部下と話している声が聞こえる。
「先行して客と交渉している連中の報告がきやした。」
「どうだった?良い感じに売れそうか?」
「結構いい感じらしいですぜ、今回お高い奴ら多めだったんで数あんまり出せないかと思ってたら半分は売れたとのこと。リーダーが特に気にしてた(アレ)も問題なく貴族様に売れたと。」
「よしよし、高い飯出して品質保ったかいがあったってもんだ。」
リーダーと言われてた御者がガッツポーズしつつ上機嫌な顔を私に向けて話しかけてくる。
「お前の買い取り先が決まったぞ貴族の伯爵様だ。見た目がいいから金持ちに買われたんだと。特にお前の親は、二束三文で売ってくれたからお前は大当たりだ。」
御者はニタニタしながら意地悪く、いやらしく言ってくる。どうやらお金持ちにわたしは買われてしまったらしい。最悪だ。貴族が相手なら食べ物は、困らないだろうけど性や暴の方で来られたら正常でいられる自信はない。とはいえ逃げれるわけもないし覚悟の準備するしかない。
善人でありますように。 善人でありますように。
逃げようとしていた女の人が乱暴されていた事を思い出すと最悪の方にしか思考が行かない。
与えられるご主人様がいい人でありますように。
奴隷を買うような人がいい人なわけないだろ。
こんな檻から逃げられますように。
遠くまで見えない外の景色を眺めながら思考をしていると...
一瞬視界が暗くなったと思った後、突然顔に何かの液体がかかる。
、、、なにこれ?ぬめぬめしている。
、、、鉄臭いし生暖かい。
頭の中が完全にフリーズする。
「なにこれ、、、」
視界の半分が赤い。
もしかして、、、血?
フリーズした思考でそんなことを考えていたらフッっと松明の明かりが消える。
キャアッッ!!
同じ檻の中にいた奴隷が悲鳴を上げる。
怖い、怖い、怖い
「おい!なにがあった!誰か答えろ!!」
命の危険を感じたわたしは、御者が叫ぶのが聞こえたが無視し、たまらずその場に伏せる。
「一人だけでいいんだけどなぁ」
「おいさっさと殺せ!!!」
何かが横切る音と液体が地面に飛び散る音がする。
徐々に血の匂いが濃くなっていく。
背中に液体がかかる感触がある、途中大きい金属音がする。
死なないよう祈るしかない。
....
.........
..............
どれだけ時間がたったのだろう...。
血の匂いに鼻が慣れてきた。
音がしなくなったから顔を上げる。
顔を上げて最初に目に入った景色は、
4つ転がっている死体と、
斜めに綺麗に切られている檻と、
朱に綺麗に染まった月の下で恍惚の表情で人,,,死体に顔をうずめている女が見える。
赤い月に照らされて存在感を発しる長くしなやかな銀色の髪、どこまでも染めてしまうような深紅の瞳
身長が高く、豊満な体から生えてる黒い羽に、白い肌を這う細いしっぽ、白く普通より長い八重歯
「んー今日はこれだけでいいから君たちは帰っていいよ。」
綺麗でもありかわいくもある顔で話す。
ひぃぃぃっ!!
蜘蛛の子を散らす勢いで檻に入っていた女性たちが逃げていく。
見ている場合じゃないわたしも逃げないと、、、
「あなたはダーメ」
いつの間にか首にしっぽを引っ掛けられていたらしく逃げる一歩目にて勢いで首を絞めてしまう。
「ぐえっ」
そのまま後頭部から地面に倒れる。
痛いし視界が白くチカチカするし頭が揺れる感覚がある。
「なんで逃げようとするかなぁ」
チカチカする視界の中かわいらしい顔が上からのぞき込んでくる。
無邪気にニコニコ笑っていらっしゃる。
冷静に頭が収まるのと息を整えてから話す。
「あの、なんでわたしだけ逃げちゃダメなんですかね?」
「んー君が私の好みだからかなー」
「はぁ」
「遠くから見た通りかわいい顔してるし♪」
一体どの辺が気に入ったのやら、、、
「とりあえず眷属にするからおとなしくしててね」
、、、は???今めちゃめちゃ嫌なフレーズが聞こえたんだが???
いやこんなに綺麗でかわいいのに眷属にされるって他人から見たらめちゃめちゃ羨ましいシチュエーションかもしれないけど、、、
いやいやいや今はそんな事考えてる場合じゃない。
「嫌なんで逃がしてくれます?」
「さっきダメと言ったはずだけど?」
当然だけどですよねー
その瞬間、右手の甲辺りがカッと熱くなる。本気でまずい気がする。
「ちょちょちょっと待ちましょ!?わたしを眷属にした所で何も利点ないですよ!!??」
言えば目の前の人が止まってくれると思い、漫画で見たことあるようなセリフを言う。
「ちょーと我慢しててねー」
ダメだまったく聞いてくれていない。
そんな無駄な事をしている間にも右手の熱がだんだんと体中に広がってくる。
だんだん頭が回らなくなっていく寒気もしてきた・
痛い、痛い、痛い、意識が飛びそうになる。
走馬灯のようなものが見え、トラックに轢かれた時から夢なんじゃないかと思えてきた。
「やっと見つけた!私の理想形!!」
そんな声が聞こえて意識が落ちていた、、、。
、
、、
、、、、
目が覚めると知らない天井だ()。
寝起きの脳みそで意識が落ちる前の記憶をかき集める。
ええと、、、口減らしで奴隷商に売られて奴隷になって、貴族の商品として運ばれていたら化け物に襲撃されてさらに化け物に眷属にされて、、、、、!?!?
「前世でどんだけ悪いことしたらこんなひどいことに遭うのよ」
寝ぼけ頭が嫌でも脳が覚醒するような出来事が多すぎる、、、前世は普通の社会人だったんですけどね!!!!
そういえば右手に何されてあんな意識を失うことになったんだ?
冷や汗を流しながら熱を持っていた自分の右手を急いで見ると、白いベットから出てきた右手の甲に赤い文様が描かれていた。
「なにこれ、、、?」
左手で拭ってみるが消える様子はない。早々に諦めて今いる部屋を見渡す。
窓を見てみると外は夜みたいだ。全体的に黒と白で統一された部屋には、いい匂いが漂っている。また、ぬいぐるみが随所に置かれていて、今寝ていたベットもマシュマロみたいにふかふかだ。藁で寝ていた村の頃とは大違いだ。なんならこっちの世界に来る前のベットより良いかも。
来ていた血まみれになったボロ布も仕立ての良い洋服になっている。
「久しぶりに文明を感じる、、、」
えっ?村だって文明だって?バカ言わないでよ。現代で生きてた自分からすると衣食住があるのはありがたいけど飢饉のせいでご飯は量重視の美味しくない物だったし、衣服は飯代の為に売られボロ布だったし、家には妹ができてからほぼほぼ入れてくれなかったからね。娯楽も無いし。ほんと散々だった。こんな上質な物に触れた後だと涙なく語る事はできない。
肌触りのいい毛布を抱きしめる。
あぁ、、、帰りたいなぁ、、、。
「泣くほど眷属なれたことが嬉しいの?」
無邪気そうな声が聞こえてくる。
感傷に浸っていた所に冷や水をぶっかけられる。
そういえば眷属とやらにされて連れ去られた後だったと思いつつ声のした方を見ると
部屋の扉の所に、わたしと身長が同じか小さい女の子がそこに立っていた。しかもすごくかわいい。尻尾とか羽とか生えてる事を除けば普通の女の子だ。顔があの化け物に似ているような気がしなくもない。
目の前の女の子は誰だ?私を連れ去ったのは少なくともこんな小さい子じゃない。
そんなことより泣いてる所を見られた!?
「あれ泣いてる所見られるの恥ずかしかった?」
「えーっと君は誰かな?」
「やだなぁご主人様の顔を忘れたの?」
「わたしをここに連れてきた人はあなたより大きかったと思うのだけど」
「あれも私よ」
???よくわからない
「わかんないって感じの顔もかわいいね」
いつの間にか近づいてきていた目の前の少女が抱き着いてくる。
「はぁほんとかわいい」
「ちょっちょっと急になに」
目の前のかわいい少女はわたしの頭を撫でたり頬を擦ってくる。なんでこんなに距離感近いんだろう、、、わたしにはそっちのケはないのだが。
「なんか失礼な事考えてない?」
そんなに表情に出てるのかな。
「そんなことより眷属ってあなたのペット枠という感じなの?」
「んーこんなにかわいいんだしあながち間違ってないかもね」
ペット枠だった、、、まぁ奴隷のように使い捨てにはされなさそうだしマシか?
「さてと、眷属を愛でるのもここまでにして。これが私がご主人という証拠♪」
そういうと彼女が右手の平を見せてくる。そこにはわたしの右手の甲にあった文様があった。
「この文様はご主人と眷属で一対になってるんだって、これがあるとご主人様はこういうことができるの。」
彼女の文様がほのかに赤く光り始める。
”動かないで”
彼女がそう言い放った瞬間、わたしの体が固まる。
体が指先すらピクリとも動かない。口先を動かして抗議することすらできない。
「お母様から聞いたけど、この文様は、吸血鬼のご主人と眷属で唯一無二の文様なの。私も初めて眷属を作ったから自分の文様を見るのは初めてだけどなかなか良いデザインで気に入ってるだよね」
だんだん近づきながら話しかけてくる。
始めて作ったなんてわたしは眷属を作る実験体にされたの?ってか彼女は吸血鬼なのね。それっぽい羽もしっぽもあったし初めて会った時も死体に顔埋めてたし長い八重歯も見えてたね。
「んーほんとにピクリとも動かなくなるのね」
ほんとに実験体にされてるっっ!!!
「ほんとに何でも聞いてくれるのかな」
絶対悪い事考えてる奴だじゃん!同人誌みたいなセリフ言ってる!!
心の中で叫んでいると彼女がわたしの後ろから抱き着いて耳元で囁いて背筋がぞわぞわしてくる。
”抵抗しないで”
体のどこかを動かそうとして力を入れていた部分から力が抜ける。何とか逃げ出そうとしていた思考が抜け落ちる。自分の意志とは違う所で体に指令が出されている感覚がすごく怖い。
後ろから彼女が柔らかく小さい手でわたしの手の甲の文様と彼女の手の平の文様を重ねて握ってくる。
”今からルールを決めるね”
”1つ:私のことはマスターと言って”
”2つ:私のお願いは絶対”
「とりあえずこれだけでいいかな?ルールは後々増やしていくかも。」
「あ、あと今お腹空いてるからちょっとだけ貰うね」
その瞬間、首筋に小さく鋭い痛みが走る。
目だけを向けるとわたしの首に顔を埋めているマスターがいた。
ん?マスター?思考にすら干渉されるの?
やばいほんとに血がチューと吸われている音がしてきた。
血を吸われているからなのか体に脱力感が襲ってくる。体を支えきれずに体重をマスターに預けてしまう。
吸われている所が熱くなりだんだん体全体に広がって、頭が風邪の時みたいにボーとしてくる。
「もじもじしていてかわいい」
マスターがなにかいっている
既に体全体に広がっている熱がどんどん熱くなってきて爆発しそうという時に
「ごちそうさま!」
マスターがわたしの首から離れると同時に、体の熱が急速にひいていき脳に思考が戻ってくる。
「とってもおいしかった!!デザートのような甘さなのにとてもさっぱりしていて何時でも飲めそう!!」
「いつも野盗とか人間の消えても困らない人を捕まえて吸ってたけど雑味があるあれとは大違い!!」
「吸われている時の顔もかわいかったし最初に選んだのがあなたでよかったぁ♪」
力が抜けてマスターの膝に頭を落とし膝枕の形で頭を撫でられながらそんなことを言われる。
これはやばい、かわいい子にこんなことを何度もやられていると頭が絶対おかしくなる。現在進行形で歪んで行ってる気がする。しかも私の血はおいしいらしいしこれからずっと吸われるって考えると犯罪臭が絶対まずい。
膝枕から見上げるマスターの顔はとても輝いていた。
「最初の眷属だけどもうわたしのお気に入りだから」
あぁもう絶対逃げられないし後戻りできないやつだ。
「そういえばあなたの名前聞いてなかった。私が決めてもいいけどまずはあなたの名前を聞かせて?」
「れ、蓮花」
「レンカ、、、うんいい名前ね。気に入ったこれから私のお世話よろしくねレンカ」
赤くなっている月が二人を照らし見守る中でわたしのマスターは微笑みながらそう言った。
初めて小説というのを書いてみました。文才はなく筆の速度も遅い者ですが頑張ってみようと思います。よろしくお願いします。