突然の追放とか言うテンプレート 3
「フン……まぁ、良いだろう」
分でも秒でも構わないが、何が良いのか分からない。
「どうせ貴様は、この瞬間に俺様から追放の告知を受ける運命にあるのだからなっ!」
勝ち誇った顔をし、有頂天の真っ只中にいますオーラをスーパー野菜人も顔負けの勢いで吐き出して来るバザールは、間もなく聞いても居ないのに、
「貴様如き農奴が、この俺様のパーティーに居られた理由は分かっているだろう?……そう、ラームズ伯爵様による、慈悲深い善意と情けがあったからに他ならない」
『スキル・テンプレートが発動しました』
悪役は、自分が優位に立つと、聞いても居ない事を懇切丁寧にペラペラ喋る。
得意げに語る当人の人情や善意と同じ程度にはペラペラに薄い。
ティッシュペーパー一枚分の厚さがあれば敢闘賞である。
なんて事だ!
これじゃ鼻をかむ事すら叶わないではないか!
急に語り出したバザールが居る中、これまた唐突に発動した独自のスキルの内容を見て戦慄を覚えてしまった。
どうやらバザールの人情はティッシュ一枚にも満たない程、驚異的な薄っぺらさを誇っている模様だ。
ある意味すげーよ!
きっと、ティッシュなのに向こうが透けて見えるレベルで薄っぺらいのだろう。
もはやそれはティッシュではない……こうぅ……なんか、ティッシュっぽいラップ?
……なんぞと、良く分からない事を考える俺がいる中、依然として勝ち誇った状態で『俺、スゲー!』って感じの言い方で、次々と聞いても居ない事を語り続けるバザールが居た。
正直……だな?
お前の講釈は、朝礼の校長先生よりも長いんだよ!
ちゃんとまともに聞いていたら、それだけで文字数がとんでもない事になってしまうので、ここでは端的に、コイツが言いたい事だけを述べて置こう。
いやもう、なんての?
例えるのなら? 大して上手くもないクセに歌唱力があると勘違いしてる馬鹿が、得意げにカラオケでマイクを独占してるアレと同じ。
こっちは耳障りな上にうぜーんだよ!
マジやめてくれない?
……と、ぼやいてる場合じゃなかったな?
それじゃ、端的に言おう。
この街の領主様でもあるラームズ伯爵様が、俺をパーティーから除外する様にと言って来た。
要約して纏めると、これだけの話しだった。
本当、単刀直入に要点だけを言えば、五秒で終わる話しだぞ……ったく!
本来なら五秒で終わる話しを、延々と十分は語っていたのは……まぁ、アホらしい脱線があったからに他ならない。
例えば? ラームズ伯爵様はようやく自分の崇高なる考えに同意してくれたとか……その崇高なる考えの部分を色々と掘り下げて詳しくのたまい始めるとか……こんなのばかりだ。
それらの大半が、バザール自身を褒め称える自慢話だと言うのだから……こっちも嫌になってしまう。
マジなトコさぁ……耳って着脱式にならないかなぁ?
あるいは、脳内で一時的に聴覚をオフにするとかさぁ……?
現在の俺の心理状況は、不快と苦痛が手を取り合い、脳内で仲良くブレイクダンスを踊っている様だった。
このヤベーやつをなんとかしてくれよ?
なんで俺は、ジャイ〇ンとカラオケ行った様な不快な思いをリアルにやらにゃならんのだ!
「……と言う事で、アキト・イーストよ! 貴様はたった今から我がパーティー・メンバーではない! 即刻この場から消えろ! 今スグにだ!」
そろそろ我慢の限界が来て、コイツを殴りたいと言う欲求が臨界点に到達しようとしていた所で、ようやくバザールの話しが終わった。
ああ、はいはい……うん、追放ね、追放。
俺は追放された事実よりも、コイツの腐れた話しから解放された晴れやかな気持ちの方が勝っていた。
ついでに言うと……だ?
『スキル・テンプレートが発動しました』
……って感じで、こいつの腐れた会話中に新しいスキルが発動していたから……と言うのもある。
その内容は、こんな感じだ。