突然の追放とか言うテンプレート 2
ドカァッッッッッ!
ぶべらぁっっ!
いきなり殴られた!
しかもグーで!
いや、パーなら良いって訳じゃないんだけど、
「い、いきなり何をするんだ、バザール!」
突発的に殴られ、上半身だけベッドから起き上がっていた状態から再び強制ベッドインしてしまった俺は、殴られた右頬を軽く摩りながら言う。
因みに『バザール』と言うのは、いきなり殴りかかって来たチンピラ風味の冒険者の名前だ。
やってる事もふざけているが、名前もふざけてやがる。
何だよ、バザールって?
掘り出し物セールでも開催するのかよ?
「何をするだと?……フンッ! 貴様の様な無能の荷物持ちが、俺様の様な有能かつ高貴な上位剣士様のする事に疑問を持つと言うのかっ⁉」
いや持つだろうよ? 疑問持ちまくりで、現在疑念と懐疑のバーゲンセール中だよ。
いきなり殴って来たかと思えば、更に胸倉まで掴んで来たバザールは、人を見下す様な品のない笑みを色濃く作りつつ、軽く舌を出した状態のまま当然の様に俺へと言い放って来た。
直後、
『スキル・テンプレートが発動しました』
……と言うアナウンスが入り、
『口から舌を出して下品に笑う奴は、大体悪役』
……とか言う文字が、さっきのコピー用紙に書かれていた。
いや、そんな事を言われなくても、コイツが悪役なのは分かるのですが?
バキィッッッッッッ!
更に殴られた。
恐らく、コイツには宙に浮いてるコピー用紙が見えて居ない。
何故なら、謎の告知と同時にやって来たコピー用紙に目を向けた瞬間、イラッと来た顔になっては……本日第二号となる特大ストレートを、俺の左頬目掛けて豪快にかましてくれたからだ。
いや、お前馬鹿なの?
両頬をグーパンとか、頭沸いてるだろっ⁉
お陰で俺の頬はおたふく風邪よろしく状態に……なってないけど、気持ち的にはそんな感じだ。
「貴様! この俺様がわざわざ話しをしてやっていると言うのに、何処を見ている!」
それだけの理由で殴るとか、どんだけ偉いの? おたく?
もう、完全無欠の暴君である。
まぁ、何故か頭の中へと超高速インストールされちゃった有りもしない謎記憶を元にすると、コイツは自分ファーストの自己中野郎だった模様だ。
パーティーでも自分が活躍しないと気が済まないらしく、俺……と言うか、今の俺? なんか言い方がおかしいが、取り敢えずバザールに二連発で顔面グーパン貰った薄幸の青年がパーティーで活躍なんぞしよう物なら、烈火の如く怒り狂い……そのままサンドバック状態で殴って来る様な屑野郎だった。
結果的に小間使いをやらされる羽目になってしまうのだが……その状態に甘んじたのを良い事に、コイツの態度はLサイズからキングサイズまで拡張して行く。
「そもそも、だ? 貴様如き農奴の子せがれ如きが、由緒ある我がラインストン子爵家の嫡男たるこの俺様……バザール・コモダ・ラインストンと同じ空気を吸っているだけで光栄に思い、その幸福を態度で表現すべく、床に頭をこすり付けて平服しなければならないのだぞ? 分かっているのか?」
分かってたまるか。
全く……貴族ってのは、そんなに偉い物なのか?
理不尽過ぎる高慢な態度を、さもありなんと言うばかりに高らかと宣言しているアホには、もう辟易とうんざりを掛け合わせても足りないレベルだった。