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テンプレート  作者: 雲州ミカン
パーティー追放編 一章
18/48

突然の追放とか言うテンプレート 16

 ここらの関係上、俺はラームズ伯爵領から首都・リザムへと本拠地を移転……つまるに、お引越し確定と言う事になる。


 Sランクパーティーに在籍していたら……の、話しだが。


「アンタはこの街に留まってくれないと困るんだよ」


 ルミナは極めて真剣な顔をして言う。

 どんだけお前は、俺を地元から出したくないんだ?


「別に国外に出る訳でもなし……そこまで言わなくても良いんじゃないのか?」

「ダメだね! アンタがもし王都になんて行ったら、確実に宮廷の人間に目を付けられる……ううん、確定で目を付けて来て、王族の末端辺りにいる姫がアンタを狙いに来る!」


 ……は?

 

「いやいや……俺が王族に目を付けられるとか……そんな馬鹿な話しが……」


 あってたまるかよ~っ!……って感じの台詞を笑いながら言おうとした俺だったのだが、


「あるんだよ! それも思い切りっ! しかもそれをやっちゃったら……マジで世界が動くんだよ! ここもマジな話し!」


 猛剣幕でがなり立てて来た!

 と、とりま落ち着こうかルミナさん!


 ……思い、俺は作り笑い風ながらも、やんわりとした爽やか笑顔を作りつつ、


「どうどう……はい、深呼吸してー? ゆっくり、ゆっくりで良いから、ヒッヒッ・フーと行こうか?」

「なんでラマーズ法⁉ 私、まだ種すら撒かれてないんですけどっ!」


 どうにか落ち着かせようとしたら、ビミョーなツッコミが返って来た。

 てか、それはツッコミなのか?

 なんなら、ボケをボケで返されたまであるぞ?


「ともかく! 今回のSランクパーティー昇格は……アンタの実力を認めた末席の王族……正確には、第七王女が食らいついた罠なんだよ!」

 

 ……はぁ?

 正直、話しが全く見えない。

 そもそも、第七王女様なる者が、俺を認めたとして……だな?


「それが、どうして『食らいついた罠』とやらになるんだ?」

「……それ、本気で言ってる?」

「本気で言ってる」

「………………」


 ルミナは押し黙ってしまった。


 暫くして。


「………………はぁぁぁぁ………………」


 すんごぉ~い大きな溜め息を吐き出しながら、脱力する形でカウンタ―に顔を埋めた。


「アンタは、自分の実力……ううん、価値と言う物を知らない」


 程なくして、眉間に皺寄せ……右手の人差し指を額に当てながら『私が頭が痛いです』のポーズを取りつつも、ルミナは口を開いて来た。

 尚もルミナの話しは続く。


「い~い? アンタがその気になれば、一切の武器を必要とせずに、一個小隊を秒で殲滅しちゃうでしょ?」

「まぁ……相手の実力にもよるが、普通の兵士が相手なら可能なんじゃないのか?」

 

 自分で言ってておかしな事を言うなぁ……とは思うのだが、暗殺拳を極めちゃっているアキト・イーストさんの実力を加味すれば、決して難しい事ではない。


 俺の実力じゃないけどなっ!


「これだけでも、アキトの実力は宮廷騎士団(テンプルナイツ)でも上位の腕前を持つ猛者と言えるんだけど……それだけじゃない……ううん、むしろ怖いのはその後に出て来るプラスアルファの方!」

「プラスアルファ?」

「そう! アキトの能力は、そのバカげた体術だけじゃないでしょ?」

「まぁ……この他だと……魔術が使えるか?」

「それだよ! まさにそれ!」


 ルミナは鼻息荒く叫ぶ様に頷き、何度もコクコクと相槌を打って来た。


「アンタの魔法は、尽くとんでもない威力のバーゲンセールなんだよ! 分かる? 一発で街が丸々吹き飛んでしまう魔法や、大陸に風穴開けちゃう様な天変地異染みた魔法とか出来るでしょ、アンタ!」


 ………………。


 な、なるほど。


 ドが付くまでに真剣な顔をして言って来るルミナに、俺は思わず押し黙るしかなかった。

 同時にルミナが言わんとする物が、なんであったのかも理解した。


 つまり、世界は知っているのだ。

 俺……アキト・イーストさんの実力を。

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