突然の追放とか言うテンプレート 15
「まぁ、ルミナの胸はパッド入りと言う事で話しを終わらせて置こう……ともかく、話しが脱線してるから、まずは本線に戻そうじゃないか」
「そ、そうだな……確かに話しが脱線し過ぎている。それじゃ私の胸がパッド入りと言う所で話しを終わらせて…………ん? 待て? そこで終わらせるのか? 私の胸にパッド入れて終わるのかっ⁉ 入ってないからな? まぢこれ天然モノだからなぁぁぁっ!」
あ~はいはい。
分かった……分かったから、そこまで本気で怒るんじゃないよ、ムキになり過ぎて例えパッドがなかったとしても嘘臭く感じちゃうじゃないか。
……ま、パッドは入ってるんだろうがな!
「ともかく、その話しは後だ……それで? 残る二つ目の理由ってなんだよ?」
俺は努めて真剣な顔でルミナに尋ねた。
正直、彼女のバストサイズがデカかろうと小さかろうと、顔が可愛くて明るい性格と言う美少女豪華二本立ての魅力に陰りが見える訳じゃないんだ。
根本的に男を魅了するだけの外見をしてるのだから、この上ボンキュッボンな体躯を誇る必要もなかろうに。
でも、胸はデカい方が魅力的だよね!
「……今、胸はデカい方が良いと思わなかったか?」
ギクゥッッ!
「いや、全然そんな事はないぞ? つか、俺ってひんぬ~信者だし? 全然、胸とか気にしない派だし?」
「なぁ~んか怪しいけど……確かに、ちょっと脱線してるか。早く伝えないと……って、思ってたトコもあるし、そろそろ二つ目の理由を話す事にするよ」
ジトォ~……っとした目線を、懐疑心とセットで送って来たルミナだったが、間もなく妥協交じりの口調で声を返した。
「……はぁぁぁ……」
まぁ、納得は全然してないのか、直後にすんごぉ~く大きな溜め息を吐き出してたんだけどね。
とりま見ないフリをして置いた。
だって、マジで話しが進まないんだもの。
「二つの理由……それは、あのパーティーが『Sランクパーティーになった』からだよ」
「え? なっちゃダメだったのか?」
ちょっと驚いた顔になって言う俺に、ルミナはやんわり笑ってから、
「普通に考えたら大丈夫」
まぁ、ですよね~……って感じの台詞を口にする。
そもそも、Sランクに昇格するって言うのは冒険者として最高の誉れであって、問題になる筈がないんだよなぁ。
そこから苦笑いする感じの……なんとも複雑な心境を顔で表現してから、ルミナは俺を指さし、
「でも、アンタはダメなんだよ」
なんでそうなるんだよぉぉぉっ!……って感じの台詞を口にして来た。
「俺がSランクパーティーのメンバーになっちゃダメって事か?」
「ズバリそう」
「いや、何でだよっ!」
どんな嫌がらせなの?
訳が分かんないんですけどっ⁉
「あんたも冒険者だから分かるでしょ? Sランクパーティーになると、この街には居られなくなる……って事ぐらいは」
「……あ~」
ルミナの言葉に俺は頷き加減の声音を吐き出した。
Sランクパーティーになると、この街には居られなくなる。
……この一点に関して言うと、実は簡単に理解出来る。
この世界における暗黙のルールみたいな物があるんだが、このルールの関係上……Sランクパーティーになった場合、そのパーティーは必ずその国の首都へと本拠地を移転しなければならない。
これは、ここロックウォール国内の冒険者だけと言う話しではなく、国際冒険者機構と言う世界規格の組織が定めた国際ルールでもあった。
話しによると、冒険者の最高峰に当たるSランクパーティーは、その国の首都を守る義務が発生するそうだ。
他国からの侵略による首都陥落の防止の一環であり、同様に強いモンスターから首都を防衛する目的等から、Sランクのみ首都へと本拠地を移転する義務が発生するのだった。
まぁ、普通に面倒な話しではあるのだが……これは万国共通のルールなので、自分だけ文句を言う訳にも行かない。
今は平和な世の中が続いているけど、何が原因で戦争が勃発するか分からない。
そう考えるのなら、いきなり攻め込まれて三日で首都陥落……なぁ~んてアホな話しになったら、それこそ笑えない。
抽象的に最近の一例と述べると……ウクライナ事情なんかがそうだ。
この平和な世の中で、いきなりロシアに攻め込まれて、三日で首都が陥落寸前まで陥ってしまった。
あのままキーウが陥落していたら、それで戦争に負けていた。
ここからも分かる様に、戦争なんて物は何か切っ掛けで始まるか分からない訳だ。
つまり、備えあれば患いなし!
国際冒険者機構は、国の首都を簡単に攻略させない様にする抑止力となる為、Sランクパーティーは首都に移転する義務を設けた……と、言う訳だ。