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テンプレート  作者: 雲州ミカン
パーティー追放編 一章
12/48

突然の追放とか言うテンプレート 10

 もはや誰得なのか良く分からない謎だらけのスキルだ。

 これで何をしろと言うんだ?……訳が分からな過ぎて言葉も出ない。


 分かった所で何がどうなる訳でもないのだが、このテンプレートと言うスキルが発動すると、その後にやって来る浮遊したコピー用紙に書かれている内容通りに必ずなってしまう……と、言う事だけは分かった。


 恐らく、ラノベとか漫画とかで良くあるシチュエーション……いわゆる『お約束』なる状態になると言いたいのだろう。

 普通に迷惑なスキルにしか感じないのは俺だけだろうか?


『スキル・テンプレートが発動しました』


 ……へ?

 ふざけた固有技術だと胸中でのみ毒吐き、苦々しい顔をしたままコーヒーカップを口に持って行った辺りでテンプレートが発動する。

 スキルの文言が分かり難いから、ここから先は大括弧で括る事にしよう。


【追放されたパーティーの中にいるパーティー・メンバーが、真っ先に追い掛けて来る場合、大体可愛い女の子でメインヒロイン級になる。尚、チョロい】


 …………あ~。

 あ~ね。

 言いたい事は分かった。

 

 つまり、クズ野郎が俺を追放したぞと、他のパーティーメンバーに話した訳か。

 それで、追放された事実を知ったパーティーメンバーの一人が、俺を必死になって探している……と、こう言いたいんだろう。


 そして、追放モノで言うと、確かにここがターニングポイントなのかも知れない。


 例えばさ? 無能勇者が主人公をパーティーから追放する時、一緒にパーティーメンバーとか居たりして、周囲で一緒になって馬鹿笑いとかする訳だ。

   

 ポイントは、ここだな。

 ここで見る目のないクズ野郎と一緒に馬鹿っぽく高笑いする様な連中は、(みずか)ら破滅フラグを踏んでいる様な物で、その後の彼ないし彼女達の未来は大きく暗転して行く。


 中には擁護する感じの言葉を口にするキャラもいるのだが……まだ押しが弱いと言える。

 結局は主人公の追放を容認し、クズ野郎と一緒について行ってしまうのだから。

 つまるに、結局は泥船から降りると言う選択をしない時点で、既に悲劇や惨劇を回避する事は出来ないのだ。

 キッチリ生存フラグを踏みたいのであれば、ソッコーでパーティーを抜ける等の処置を取るしかないだろう。


 そして、物語の勝ち組キャラになるフラグと言えば、


「……あっ! こんな所に居たっ!」


 こんな感じで、主人公の後をソッコー追いかけて来ると言う選択法。

 世間的には最高クラスの有名冒険者のパーティーである筈だと言うのに、主人公の実力を認めていたり……あるいは、特別な好意を持っている等の理由から、追放の事実を知った直後、即パーティーを抜けては脇目も振らずに主人公を探す。


 主人公が男であった場合、必死で探すキャラは決まって女の子であり、これまた当然の様に見目麗しい。


 パターンからすると、可愛い系の美少女とか多い気がする。

 性格は勝気で行動力が旺盛で、胸元は……まぁ、平均値よりちょっと控え目な子が多い……気がする。

 まぁ、ここは個人的な主観だ。

 ついでに、追いかけて来た美少女の特徴も、大体そんな感じだと言う事も言って置こう。

 こんな所までテンプレートが発動するのね。


「どうしたルミナ? そんなに急いで?」

  

 カウンター席の後ろから声高に転がって来た勝気な美少女……ルミナの声を耳にして、俺はキョトンとした顔で声を返した。


 一応、どうしてこんな所までやって来たのかまでは分かっていたんだけど、やはりここは知らないフリをしてやるのが筋だろう。

 やっぱり俺は空気が読める男であるべきだと思うからな!


「……そりゃ急ぐに決まってるよ! アンタ! 街を出て行くつもりでしょ!」


 ……は?

 なんでそうなるんだ?


 物凄い形相で叫ぶルミナの言葉に、俺はむしろポカンとなってしまった。

 理由は簡単。

 別にこの街を出て行くつもりなんてなかったからだ。


『スキル・テンプレートが発動しました』


 直後、スキルが発動する。

 例によって、そこから浮遊するコピー用紙がやって来た。


【性根の腐っているパーティーリーダーの場合、高確率でギルドに先回りした後、主人公に対して嫌がらせをして来る。新規クエストの受注妨害や、新規メンバー募集の妨害等、陰湿かつ底意地が悪い行為を呼吸するレベルで行う】


 ……な、なるほど。

 これで、俺が街を出ると勘違いしたのか。

 俺は苦笑しか出来なかった。

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