プロローグ ゲームをしよう 1
『ゲーム』をしよう。
いきなり言われた。
いや、ゲームってなんだよ?
はっきり言って意味不明だ。
俺……こと 西村明人は、非現実の真っただ中にて絶賛困惑中だった!
当然と言えば当然だ。
何故なら、ほんの少し前までの俺は、自宅から徒歩十分程度の所にある神社に来ていたのだから。
東北の片田舎ながら、そこそこ大きな町の市街地にひっそりと佇む小さな神社。
再開発ビルの裏側に存在している神社は……俺はもちろん、俺の親や爺さん婆さんが子供だった頃から存在する、かなり大昔の神社らしい。
実際にどの程度古いのかまでは俺も良く分かっていないが……かなり古いと言う事だけは分かる。
うん、まぁ、そこは分かった所で『へぇ~』と言っておしまいだろう。
きっと俺じゃなくても、大体のヤツがそう言うに違いない。
問題はそこじゃない。
俺はこの神社に散歩目的で来たのかと言うと……実はそうじゃない。
東宮亜里沙と言う、旧友に呼び出されての事だった。
旧友などと銘打ったのは他でもない。
小学三年位の頃からの付き合いで、幼馴染でもある彼女ではあったが、今の亜里沙とはかなり疎遠になっていた。
理由は簡素な物だな……通学先が違う。
今年で高校二年になる俺は、中学まで同じだった亜里沙とは違う学校へと通う事になった。
仲が良い友達であったとしても、通う学校が変われば自然と疎遠になって行くし、それはどうする事も出来ない社会の仕組みなんじゃないかと思う。
だからと言うのも変な話しだが、俺の感覚で行くと『幼馴染の旧友』と言った表現がしっくり来る相手だった。
そんな彼女からラインが来たのだ。
いや、びっくりしたよ。
まぁ、ライン自体は……恐らく小学ぐらいの時になんらかの拍子で教えてたんだろう。
良く覚えてないけど。
俺の母親と亜里沙の母親が仲良しで、今でも母親同士のコミュニケーションを行っているのだが……ここらの関係で、俺と亜里沙がラインの交換をしていてもおかしな話ではない。
しかし、だからと言って、いきなりラインを送って来るのかと言うのなら……まぁ、現実的ではないな。
恐らく、この部分は亜里沙だって分かっているだろう。
それなのに、俺へとラインを送って来た。
ここが……どうにも俺的に妙な引っ掛かりを覚えた。
一体、亜里沙は俺に何をラインしたのだろう?
ふと、こんな事を考えながらもラインを開いてみる。
明日、学校が終わったら大町の神社に来て。
これが、亜里沙が俺に送って来たラインの全文だ。
もう、びっくりするぐらいシンプルな作りだね、これ。
何を意図して、こんな事を言っているのかサッパリだ。
しかしながら、亜里沙がなんの脈絡もなく、いきなりラインを送って来ると言う……微妙に非常識なラインを越えて来るかと言われると……う~ん、なんかやっぱり違う。
どうにもしっくり来ない。
そう考えた俺は……亜里沙のラインに従って、近所にある小さな神社へと向かった。