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未知との

作者: Hora

 俺の名前は理人(みちと)。2023年8月20日夜に友人の家から帰る際に人生で2度目のアブダクションをされたので詳細を忘れない内にメモとして残しておく。


 アブダクションとは宇宙人によって誘拐されることである。前回アブダクションされた時と同じ原っぱを歩いていると突然スポットライトに照らされたように俺の半径2m程が明るくなった。「またか…」と思うと体がふわっと浮かびだす。視線を上に向けると光でよくは見えないが何か大きな円盤状の物体が空に浮かんでいる。

「1回目で俺のことは調べつくしたんじゃないのか?…それとも前回俺の体にチップ(極小基盤)インプラント(埋め込み)したその経過観察か…?」

と俺は2度目であったので慌てず円盤の中に吸われていく。


 一瞬視界が真っ白になった後に、見たことのある光景。またあの3体のグレイだ。身長は100cm程であろうか。体はつるつるしており、黒目が異様に大きい。何か良く分からない言語で意志疎通をしているが、俺には分からない。俺はベッドのような少し高くなったところに寝かされている。体は全くといって良い程動かない。動かせる気がしない。部屋の大きさは20畳程と言ったところだろうか。殺風景な手術室のような円形の部屋。円盤そのものはもっと大きいので、この部屋だけでは無いのだろう。前回も今回もこの部屋しか見れていない。黒目の大きな3体のグレイが俺の顔を覗き込み何かを言っている。そしてしばらくすると急に意識が薄れ始め……、、、


 気が付くと自室のベッドで横になっていた。時刻は朝方の4時過ぎで外はまだ暗い。2回目のアブダクションで慣れていた俺はすぐに自室の捜索を開始する。

・障子が数mmではあるが開いていた

・数体のフィギュアの置かれた角度がわずかにズレていた

・張られたポスターの右下のピンが外れていた

・時計の時刻が40秒も遅れていた

・テレビの画面設定が通常→節電1になっていた

・VHSのテープが数分進んでいるものがあった

 さらに母を叩き起こして確認してみると、昨夜俺は夜11時頃に普通に自宅に帰って来ており、やけに口数が少なかったとのことだ。


 これらは間違いなくグレイ達の仕業である。俺の部屋に入り、地球の文明の利器を確認していったに違いない。ちょうど昨夜、俺が訪れた友人も宇宙人にアブダクションされた同志だ。俺と同じで彼も体の中にチップをインプラントされている。これは現代医学では分からない場所なのであるが、彼にはそのチップを認識する特殊な能力があり、俺にも埋め込まれていると言っていた。


 アブダクションされる事なんて世界では日常茶飯事で起こっている。数十万人が同様の体験をしているのだ。

 宇宙船は一般的な円盤型だけでなく、アダムスキー型、球型、葉巻型、三角型、菱型、ラミエル型、ドーナツ型、V字型、フライングヒューマノイドと言った特殊な型まである。それぞれに乗っている宇宙人の種類が違うと考えると地球に飛来している宇宙人の種類と数は膨大である。世界各地で撮影がなされているので教科書に載せた方が良いのではないかと思う。


アブダクションの対象は人間に留まらない。


 ミステリーサークルにより、宇宙人の痕跡と技術力を残しつつ、地球の穀物を採取している。人がミステリーサークルを作ったという証言が出てきているが、これは間違いなく嘘だ。ただの目立ちたがり屋の阿呆(あほう)である。世界中でミステリーサークルは観測されており、上空に宇宙船が飛来してから数秒でミステリーサークルが完成する動画も出てきている。

 キャトルミューティレーション。これも現代の科学では不可能である。牛の血液だけを完全に空っぽにすると言われるアブダクションの一種。地球の生物の遺伝情報をすべて抜き取っているのだろう。


何にせよ俺は2回もアブダクションされた宇宙人から選ばれた特別な人間なのだ。




「ええ。先生、ウチの息子の理人(みちと)は相変わらず働きもせずUFOだ、宇宙人だに熱をあげています。前回1990年頃、30年も前に宇宙人に誘拐されたとか言ってからずっとですよ。もうすぐ還暦を迎えるって言うのに何をやっているのでしょうね…。昨日も2回目の誘拐を受けた!PCにその様子をメモに残した!と言っていましたが、ヘルパーさんがPCを確認するとそのメモは1週間も前に書き込まれていたものだったのでお得意の妄想ですよ。交友関係もそっち方面の意味で悪いですし。

 私が死んでしまってからあの子がどうなるか今から心配ですよ。先生の提案の通りに、先生のところで催眠療法を受けることを促してみても、そんなことをしても意味が無いの一点張りで受ける気が無いようです。

 はい。では先生。また相談させてください。相談料の30万円は1万5千円足らず28万5千円になってしまっていますが次回には必ず用意します。…良いですか?先生はほんとにお優しい。では、ここに置いておきますね。」

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