7 毎朝鏡を見るのが習慣
目が覚めると、いつもの孤児院の硬いベッドの上だ。もう1年ほどこのベッドにもお世話になった。
朝起きたらまずベッドの横の鏡を見る、薄い桜色の髪の毛で釣り目の可愛いけど綺麗めの女の子がそこにいる。誰が見ても男になんか見えないだろう。そうなりたいと女神さまに願った最高傑作だ。
女装というか8割型女の体をしているんだから、世の女装家は羨ましいだろう。
ただ、可愛くなりたいだけで、女の子になりたいわけではない……
しかし、今は少女だから気にならないが、メイクなどしたことない俺が今後できるようになるか心配だ。美少女歴半年……教えてくれる知り合いもいないからなぁ。
いつまでも鏡を見つめたまま時間が過ぎてしまう。鏡の中には可愛い女の子がいるから仕方ない。
俺なんだが……ベッドから起き上がろうと手をついたらむにゅっと柔らかい何かを触ってしまう。
スヤスヤと寝ているのはファナだ、俺とおそろいのピンクのパジャマを着ている。もちろんただ横で寝ているだけで、残念ながら恋愛関係などではない。ポーク達から助けた日以来一緒に寝ようと俺のベッドに入ってくるが、俺が男だということをまったく気にしてないらしい。半年も一緒に過ごしているから、自然と名前も呼び捨てになった。
成人の儀式を迎えたら俺たちも大人だ……ぜひ大人な関係を築きたいものだが。
ファナを起こさないようにベッドから出て、左手に念じて携帯を出して見る。
トモエ Lv3 Gランク
半年間まっしろスライムを殴り続けて、Lvは3まであがったが、ゲームで言うと最初の町の周りで
Lv3まであげるのに半年かかるというのもなかなか大変な毎日だった。
まっしろスライムの魔物カードがなかなかドロップしなかった。
俺とファナの2人が1枚目のカードを出すのに2か月はかかった。なんとか半年間で2枚集まったが。
男3人組のチームでは1枚しか集まってないらしい、リーダー格のポークが使うんだろう。女の子3人組は3枚集めたそうだけど……集めたカードはシスターロザリアに預けている。
今日行われる成人の儀式でスキルを授かった後各自使えるようになるのでそれまで預かってもらっている。ないとは思うが男3人組の誰かが盗みを働くとも限らない。
Lvがあがると身体能力が全体的にあがるようで、Lv1の頃持つのが重たかったこん棒が振り回せるくらいには筋力があがった。高ランクの冒険者になれば見た目が可愛い美少女のまま、ごつい武器を振り回すことも可能だろう……これから孤児院をでて始まる冒険者生活が楽しみだ。
そろそろ着替えて、儀式がある教会へいく準備をしないと。
「ファナ……そろそろ起きて準備をしよう、ほら起きて」
と起こしながらさりげなく体を触るのも仕方ない。俺は起こしてるだけ、起こしてるだけ。