35 理想の姿?
「これからもよろしくねシャロンちゃん」
「ちょっとまって、これから私達は同じご主人様に仕える家族なのよ、もう子供じゃないのだから、ちゃん付けはやめましょう……よろしくねアルシエ」
「分かった、よろしくシャロン」
シャロンとアルシエは手を取り合って笑いあっている、ファナも何か伝えているようだ。
「さて、ファナ今日はスラリン島に行こうと思うんだが、シャロンは影の中に入れるとして、アルシエも何かできるか?どうやって町に入ってきたんだ?」
「お任せくださいあるじ様、私には変身能力があります、外に出かける時は変身します」
アルシエは音を立てて、煙を出して変身した……煙が消えるとそこには銀色の蝙蝠……ではなく銀色の毛並みの猫がいた、しかも言葉を喋る猫だ。
「僕は猫になって町に侵入しました、いざ人が近くに居れば猫の真似もできますにゃー」
なにこれ、にゃーとか言うと可愛いんだけど、俺野良猫好きだったからなぁ……ファナも同じことを思ったのか、アルシエを抱き寄せて頭を撫でている。アルシエも嬉しそうに身を任せているが、俺は知っているぞ。
「アルシエ……ファナは心の声を伝えることもできるが、聞くこともできるんだ。お前がファナのおっぱい最高~って思ってるのもばれてるからな」
「そ、そんなこと思ってない!」
シャロンは飽きれた表情で俺の影に入っていった……アルシエお前の気持ちは嫌というほどわかるよ……俺と一緒なんだもん思考回路が。ファナは猫が気に入ったのかアルシエを抱いたまま二人でスラリン島まで向かった。
「アンちゃん久しぶり~、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ~」
「お、久しぶりねトモエくん、ファナもなかなか来ないから待ってたのよ~お土産は?」
「はい、今日は草加せんべい、この醤油味を舐めるだけでも美味いんだぞ」
「あら~ありがと~、たまには甘い物じゃないのもいいわね~」
さっそくバリバリと食べ始めた。ちょっとアンちゃんと話があるからと、アルシエとファナには先に行かせた。
「Cランクになったら付いた俺の通り名なんだけど、下ネタなんだけど、これってフレイヤ様が付けてるの?」
「そういうわけじゃないけど、客観的に見てその人がどういう特徴なのかを表してるのよ。鋼鉄化のスキルを持ってる鋼鉄のザパンとか、先を見通す瞳を持つ先読みのロザリアとか」
「複数の女性と関係を持つ女たらし、夜の王のトモエとか?」
自分で言っててちょっと悲しくなってきた。
「ねぇ複数の魔物を従える夜の王とかそういうカッコイイ詳細に変えれないのこれ?」
「どうせ詳細までは自分でしか見れないんだから諦めなさいよ、それに結局あなたの理想通りなんだからいいんじゃないの?」
俺の理想通り……?
「前世の不安な毎日から助けてほしくて、やりたかったことが、理想の女の子の姿の男になりたかったのと、楽しい冒険したかったのと、複数の女性とイチャイチャしたかったんでしょ?全部願いが叶ってるじゃない。複数の女性と関係を持つ女たらしにトモエくんがなりたかったんじゃないの?」
そう言われてみればそうだな……そうか、女神の箱庭に呼ばれて、俺は前世で強く願っていた通りの日々を送れているんだ……そう思うとなんか心が和んだ気がする……か?
「いやいや、俺は楽しい冒険とヒロインと恋愛はしたかったけど、複数の女性とイチャイチャしたいとまでは思ってないはずだぞ、一途な男とか結婚とかにも憧れてたんだし」
「そう言われてもねぇ、実際ハーレムとか憧れてたんじゃないの?フレイヤの加護のスキルだって、あなたが望んだスキルになってるはずなんだから、少しえろくなるとか、周りに魅力を振りまくとかっていうのも、トモエくんが必要だと思ったんでしょ」
確かに、転生したところで、女の子に話しかけたりするのすら難しかったんだ。一途な男や結婚どころじゃなかった。ある程度女性から言い寄られたいし、もっと俺自身えろく行動しなければダメだとは思っていたが、そっか、本当に俺が望んだスキル……そういう事か。
「ありがと~アンちゃん、解決したわ!じゃあいくわ」
「どういたしまして~、今度暇なときどっか連れてってよ、最近スラリン島飽きてきたのよ~」
とんでもないことを言ってるな、スラリン島担当のアンドロイドなのに……まぁそのうち冒険に連れてくのもいいかな、喋ってて楽しい奴だし。ファナ達を追いかけると、Dランクのデビルスラリンと戦っているところだ。アルシエがデビルスラリンのターゲットを取り、ファナが横から殴っている。
「よし!ファナ、今のうちにお願い!」
アルシエがデビルスラリンを押さえてる横から、ファナの怪力のパワーで強撃が炸裂して、デビルスラリンが煙になって消えた。これだよこれ……パーティを組んでモンスターを倒して。俺ってばいつの間にか思い描いてた理想の姿になってたんだなぁ、きっと今が一番幸せだ。そろそろ、迷宮型のダンジョンとかも冒険してみるかなぁ……
「あっ、レアドロップが落ちてる」
アルシエとファナがデビルスラリンのレアドロップを出したらしい。理想の姿で、楽しい冒険、手に入れるレアアイテム、これぞ冒険って感じだな!
「どれどれ~何が落ちてるんだ?」
俺は自然と笑顔になって二人に駆け寄っていく、ちょっと理想が狂って女たらしだけどこれが俺の理想の姿のようだ。




