3 箱庭の世界は快適すぎる?
女神孤児院に預けられてそろそろ半年がたつ。
同じ12歳の子供たちが女の子が4人、男の子が俺を含めて4人と8人孤児院では過ごしててもっと小さな子供たちは違う施設で育てられているようだ。
失声症の女の子がいて、その子はいつも一人で過ごしている。
孤児院に預けられる前に辛い事でもあったのか。精神的なものらしい。
孤児院の院長のおじいさんは、100歳近いらしく、少しボケが入っているみたいだけど。
子供たちが大好きな優しいおじいさんだ。物知りで箱庭の世界の事を授業で教えてくれる。
12歳の子供として半年過ごしたせいか、俺の心も子供っぽくなったような気もする。
しかし、前世で感じていた漠然とした不安は何も感じない。あの不安は何だったんだろう。
快適な生活を送れることに、孤児院にある女神フレイヤ様の像を見るたびに感謝をしている。
この世界には女神教会や女神孤児院や箱庭と呼ばれるダンジョンを管理する箱庭協会など、女神が管理している施設というのが複数存在する。
世界中にたくさんの国や町がある中で、成り立ちは
箱庭がある場所に箱庭協会が併設されていて、その近くに町ができ国ができる。
といった形で、世界中の町や国の近辺には箱庭があることが多いということらしい。
もちろんただの村や町のような場所もあるようだが。
箱庭協会は女神フレイヤ様を少し幼くしたような容姿の職員が運営しているが、
事務的な対応をする同じ顔の職員が複数人いる。アンドロイドなのか他の町にも同じ顔の職員が沢山いるらしい。
箱庭協会では、箱庭携帯という個人のスマートフォンのような携帯を発行していて。
世界中の人がその端末を持っている、まるで携帯電話のような必需品だ。
念じれば左手にいつでも取り出せる魔法の端末で、通貨……
ゼニーと呼ばれる世界共通の通貨も魔法の端末で電子マネーとして管理されている。
前世でゲームをしていたころ魔物を倒した後、お金を手に入れるといったのを見て
なぜ魔物からお金が手に入るものなのかと思ったもんだが。
魔物を倒したら箱庭携帯に、倒したというログと共にゼニーが手に入るらしい。
本当にこの箱庭はよくできている。 箱庭携帯同士で電話もしたりできるらしい?
生活水準もどうなってるのかと最初は心配だったんだが、水洗トイレも存在して、トイレットペーパーもあるし、お湯もでるしお風呂もある。ただウォシュレットがない。
女神様には必需品ではなかったようだな。
前世で過ごしていたころに生活必需品と思っていたものはほぼ全て手に入る。
箱庭協会や女神商会といった、この世界を運営しているであろう、女神の施設がゼニーを対価に販売しているからだ。自動販売機でジュースも売っているが、あれも女神の施設が管理しているらしい。
異世界とは言ったものの、まるで都合のいいゲームの世界のようで快適だ。
今日は箱庭携帯を作成して、町の外で魔物を倒す授業をするため、引率のシスターが来るらしい。
院長先生達が町の入り口まで迎えに出かけて行ったようだ。
孤児院をふらふらと歩いていると、庭の方で女の子を男の子3人が囲んでいて何か騒いでいる。
「なぁ……洋服脱げよ、先生達も出かけてるから助けに来ないぞ?
と言ってもどうせ喋れないだろうけどな」
騒いでる男の子は3人組のリーダー格のポーク、囲まれている栗色の髪の少女は、失声症のファナちゃんだ。