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26 斬鉄剣

「ファナ!良かったアリエルのスキルで治ったんだよ。助けに来たんだ、もう大丈夫だ」


(トモエ……また助けてくれてありがとう、ごめんなさい、アリエルを守れなくて)


「よく頑張ったなファナ、パルミラ達がすぐ来るから、もう少し寝て待っていてくれ」


ファナは頷くと目を閉じた……ファナをそっと寝かせていると、アリエルが地面に倒れこんだ。


「アリエル?大丈夫か」

「大丈夫、スキルの副作用なの、後をお願い」


苦しそうな声でアリエルが言う、まるで毒を飲んでしまったかのように震えてもがき苦しんでいる。

アリエルを抱き寄せる……顔色が悪く、息が荒い……大丈夫とは言っていたが、とても大丈夫な姿には見えない。何かできることはないか……そうだ、さっきシャロンがしてくれたように、吸精のスキルを使ってみる。吸精を使う感覚で、俺はアリエルの顔を両手を添えてキスをして、口から生命力を送り込んだ。


……30秒はキスをしていただろうか。アリエルの顔を見ると、少し顔色が赤くなり良くなっている気がする。

口を離すとアリエルは意識はないようだが、先ほどより穏やかな呼吸をしはじめた。

二人を寝かせていると、シャロンが近寄ってくる。


「ご主人様、そろそろ限界です」

「お疲れ様シャロン、援軍が来るまで俺も戦うよ!」


ガフガリオンが使っていたロングソードを手に、ザパンを待ち構える。


「Dランクの雑魚が何人集まったところで、Cランクの俺に勝てるかよ!逃げ回りやがって……さっさと死にやがれ!」


鋼鉄化のスキルを使ってザパンが突進してくるが、視界の端から誰かが飛び込んでくる


「よく持ち堪えた!後はおれに任せよ!」


ザパンの突進を受け止めている、黒い剣……いや細く黒い刀のような武器で。


「誰だてめぇは、エルフの女……お前が援軍か?」

「今の一撃で切れぬか……おれはAランクの剣姫ララノアだ、いいスキルを持っているようだのぅ」


黒い帯に白メインの和服を着ている、少しボサボサした茶髪のエルフが、刀を構えて立っている。

顔には大きな傷跡があり、釣りあがった瞳が男勝りな荒々しい雰囲気を出している……


「Aランクだと!何てついてないんだ俺様は、エルフを捕まえる依頼なんか受けなきゃよかったぜ……だが、まだ終わらねぇ!俺の鋼鉄化には斬撃は通用しねぇ!!」

「鋼鉄化ね……では、おれの刀術が鉄を切れるとしたら……どうするかのぅ?」


ララノアさんが刀を納刀をして構える……剣閃を放つときのように少し剣に薄いオーラのようなものが見えた後、目にも止まらぬ速さで刀を抜いた。


「斬鉄剣」


「馬鹿な……俺の鋼鉄化が……」


ザパンの体が斜めに両断される……切った瞬間やその後納刀した瞬間が見えなかった……!


「おれの斬鉄剣は何でも切れる……おれが長年かけて完成させた最強の刀剣術さ」


ララノアさんはこちらにゆっくりと歩いてくる。エルフらしい見た目をしているが、ロザリアやパルミラと一緒でわがままボディだ……あのたわわな胸は刀剣術には邪魔ではないのだろうか……

つまらぬことを考えている内にララノアさんが状況を説明してくれた。


「パルミラ達には、町の騎士団に声をかけてもらっている。スラリン島へ向かっている途中だろう。遅くなって済まなかったな、状況は聞いている……お前はトモエといったな。3日前から護衛ついでに見ていたが、ただの女装趣味のなよなよした男かと思いきや、とんだ益荒男であったな!5人組の敵相手に大立ち回り、やるではないかトモエ。サキュバスまで従魔にしているとは、男としても優秀なのであろうのぅ」


ララノアさんは豪快に笑って俺の肩を叩いている。……終わった、助かったんだと思うとようやく肩の力が抜けていく……


「アリエルが、ファナの怪我をスキルで治してくれたんですが、そのまま倒れてしまいました」

「姫様のスキルは治癒というスキルで、対象の怪我や病気を完全に治癒することができるが、代償に自身の生命力を使うのだ。怪我が酷ければ酷いほど代償は大きくなる……以前死んだばかりのエルフの男をスキルで治そうと軽い気持ちでやって、1週間ほど意識を失うほどの激しい痛みに苦しんだと聞いている、命には別条はないが、どうしてやることもできんのぅ」


……だからアリエルは男の人が苦手になっていたんだな、そんな苦しみを覚悟してファナを救ってくれた、ありがとうアリエル……終わったな、なかなかハードな一日だった……周りを見渡すと、凄惨な殺人現場のようだ……犯人は俺だ。怒りに任せて駆け抜けたおかげで忘れていたが、俺は……

俺は人を殺した……一人だけじゃない二人もだ、自分の意志で……今更ながら手が震えてきた。

苦しい表情を浮かべながら、自然と涙を流していた。


「なんじゃトモエ、泣いておるのか?人を殺したのは初めてかトモエ、泣いておるとは、可愛い奴よのぅ」


そういいながら、ララノアさんは俺を抱き寄せてほっぺたにキスをしてくれた。


「確かに凄惨な状況だが、お前は仲間を守るために奴らを殺したんじゃ、殺さなければトモエだけじゃない……姫様は捕まって売られ、そこの少女も死んでいたじゃろう。トモエは勇敢に戦った。いざという時に、本当に敵を切れる男はそう多くはない、トモエは立派な男じゃ、よくやったのぅ」


頭を撫でて慰めてくれる……俺はララノアさんの胸の中で静かに涙を流した……




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