25 永遠にともに
剣と剣がぶつかりあう度に激しい音が鳴り響いている……力は相手が優勢、影魔法を駆使して何とか戦うが戦況は劣勢だ。
「シャドウランス」
影から8本の槍を出し騎士ガフガリオンを狙うが、警戒していて近寄ってこない、剣で叩き割られてしまう。頼みの剣閃スキルも読まれていて、躱されてしまっている。このままでは負ける……
「剣閃」
ガフガリオンの騎士剣術で、剣閃も叩ききられる……そろそろ剣閃を打つ体力も無くなってきた。
何度目かの攻防で、脇腹を深く切り付けられて、片膝をつきブラッドソードを落としてしまう。痛い……脇腹が燃えるようだ。
「よくやったほうだよ、惜しいな!いい武器とスキルを持っているのに。俺がFランクでもお前に負ける気はしないよ」
「おい!ガフガリオン、他の護衛が来たら厄介だ、さっさとエルフを連れて帰るぞ。そいつを殺せ」
近づいてくる、このままでは殺される…。せめてファナをやったこの男だけは、相打ちになってでもぶっ殺してやる……ガフガリオンの横で、Eランクの男が俺を見下ろしている……こいつだ!
「ねぇ、脇腹を切られて痛いの……助けてほしいなー……」
Eランクの男に魅了を発動する……
「何を言っている?俺の仲間を殺しておいて、今更助けるわけなかろう。大人しく死ぬがいい……!」
「ガフガリオンを刺し殺しなさい」
ガフガリオンが剣を振りかぶっていると、ガフガリオンのお腹から剣が突き出てきた。
横にいたEランクの男が背後から剣を突き刺している……突然のことに驚きながら、ガフガリオンは膝から崩れ落ちた。
「貴様何をした……な、んで……」
「どうだ?スキルと武器だけの奴にやられる気分は!ファナの敵だ、お前が死にな!」
ガフガリオンが落とした騎士愛用の重たいロングソードで頭を勝ち割った。鈍い感触を感じたが、体に熱い経験値が大量に入ってきてその感触を忘れていく……Lvアップを終えて、ザパンを睨みつける。
Eランクの男は意識を失いその場に倒れこんだ……
「なんなんだ、お前は!!ただのEランクが、ガフガリオンをやれるわけがねぇ!仲間を2人も殺しやがって、俺の手でぶっ殺してやる! 」
「お前こそぶっ殺してやる!……逃げられると思うな、高ランクの援軍は呼んでいるんだ!」
脇腹の怪我が酷く大声をだしたら腹に響く……なんとか足止めはしているが、アリエルは捕まったままだ。ファナも……くそっ!何とかならないかと思って考えていると、Dランクになったら解放されるスキルを思い出して、スキルを確認する。
トモエ Lv17 Dランク フレイヤの加護 影魔法 身体強化 浄化 魅了 吸精 従魔召喚
従魔召喚 コモンスキル アクティブ
契約し、魂に刻んだ魔物を召喚する。(契約魔物 シャロン)
契約?シャロンとの契約ってそういうあれ?合体したてきな……もう一度会えるのかシャロンに。
他に選択肢はない、迷わずスキルを使った。
「従魔召喚シャロン!」
目の前が激しく光って、あの日見た髪型はボブのパーマで、色は明るめのレッドブラウンという感じの、黒の官能的なドレスを着た女性がいる……シャロンだ、また会えるなんて……
「王子様、私の生命力を吸ってください」
シャロンは俺の顔に両手を添えてキスをしてきた。体の中に熱い感覚を感じて、少し脇腹の傷の痛みが引いたきがする……吸精にはそんな使い方もあるのか。
「シャロンまた会えて嬉しい、ごめんなさい……ずっと謝りたかった、俺は君を殺してしまった」
「王子様……いえ、ご主人様!それは違います。最後の瞬間、あなたは私と従魔契約の口づけをして下さいました。契約は魂に刻む合意がなければ成立しません。私はあなたと、あなたは私と。永遠にともに一緒に居たいと思ってくれたのではありませんか?」
……確かにあの時、心が通じ合った気がした。彼女は俺を、俺は彼女を好きだと思った。だけど……
「どうしてそんなに俺の事を好きになってくれたんだ?俺は君が俺を好きだから好きになっただけだ。」
「そんなことは愚問ですわ。あなたの立派な肉体を見て、好きにならない女などこの世に存在しましょうか?」
……え?そこ?、いや男の格の高さは確かにそこなんだけど……エルフもサキュバスもそこなのか?
いやそんなことを考えてる場合じゃない。
「シャロン、あのエルフの子を助けてくれるかい?あの男から援軍が来るまで時間を稼いでほしい。」
「もちろんでございます、私の剣をお借りしても?
……遅れましたが、お洋服お似合いですわ。」
「ありがとうシャロン……破れちゃったけどね」
シャロンはブラッドソードを持ちザパンに向かっていく。
「よろしかったら、そのエルフの娘を助けてこちらに渡してくれませんか?」
「何を馬鹿のこと言ってるんだDランクの悪魔風情が!」
「お仲間は助けてくれるらしいですわよ?」
魅了に操られたアリエルを捕まえていた男はアリエルを連れてこちらに来る。
ザパンとシャロンは激しい戦いを繰り広げている……剣閃を連発していて、さすがDランクでも上位の魔物だ。
「アリエル……大丈夫か?怪我はないか?」
「ごめんなさい、私のせいで、トモエが怪我してる、ファナも……」
「無事でよかった。今のうちにファナの所へ行こう!」
……俺たちはファナの元へ急いだが、気づいていた、気づきたくはなかったんだ。
俺がここに来た時から、ファナはピクリとも動かない……
倒れているファナの体を抱きかかえる……まだ温かい……温かいんだ。
「どうしてこんなことに……痛かったろうファナ……」
体に痣や切り傷が出来ている……友達のアリエルを守るために、必死に頑張ったんだろう。
ごめんな……助けてやれなくて……ファナ……悔しくて涙が出てくる。
「私のスキルを使えばファナはまだ助かるはず、トモエ、背中のナイフを抜いて!」
ファナの背中に刺さっているナイフを抜いて仰向けに寝かせる……アリエルは目をつぶり少し輝いたと思ったら、ファナに優しくキスをした。
ファナとアリエルが光り輝き、ピクリとも動かなかったファナの体が震えて……
眠っていたファナは目を覚ました。




