22 庶民の生活
「今日はスラリン島で少し狩りをした後、食事がしたいわ」
アリエルは少し頬を赤くして、右手を差し出してきた。パルミラから連絡があり、結局翌日も教会に集合している……ファナともさっきからずっと手を繋いでいたし、昨日の事を反省しているようだ。
「わかった、今日はファナと協力してエメリンを倒してみような」
美少女スマイルで握手に応じた。一応警戒しながらスラリン島に向かうが、道中アリエルとファナはずっと手を繋いでいて、二人で談笑していた。……友達になれたかな?何事もなくスラリン島に到着する。
「こんにちわ、アンちゃん。お土産に今日は甘くないチーズスコーンを買ってきたよ」
「……ありがとうございます、いただきます」
、
今日もぱくぱく食べているアンちゃんの頭を撫でる……
「いい天気だね、スラリン島には今日は沢山人は来てるかい?」
「ぱくぱくぱく……Cランクのパーティが2チーム、エンジェルスラリンとデビルスラリンを倒す依頼できています……」
……依頼を受けてる人なら刺客ではないよな……たぶん。一応パルミラに連絡してから箱庭に入ろう。
携帯で電話しようとしていると、アンちゃんがこっちを見つめている。
「どうしたの、アンちゃん?」
「あの……お土産は、次は甘いのが食べたいです」
「……次は甘いお菓子買ってくるね」
2回連続甘くないお菓子がお気に召さなかったようだ、女神フレイヤは甘い物好きかもしれない……覚えておこう。パルミラに一応警戒を頼んでから中に入った。
ルビリンとサファリンは、アリエルの刺突で倒しつつ、エメリンは……
「エメリンの反撃をファナが受け止めてやってくれ」
今日も、アリエルがエメリンの背後から素早く刺突をする……エメリンがスピードに乗った突進をしてくるが、今度はファナがエメラルドの盾で受け止める。怯んだエメリンにアリエルのレイピアが刺さり、煙になって消えた。
「やったわ!Lvも上がった」
ファナとアリエルがハイタッチしている……よきかな。
「ねぇ、ファナ私達いいコンビになりそうじゃない?私と一緒に冒険者をやらないかしら?」
「おいおい、堂々とパーティメンバーを引き抜こうとするんじゃないよ……」
「トモエもついでにメンバーに入れてあげてもいいわ」
アリエルは上品な笑顔を浮かべている。性格が歪んでしまったというが、今のアリエルはただの可愛い子にしか見えないな……
「Gランク冒険者が生意気いってんな、次のエメリン探すぞ」
まぁ俺もまだEランクだし人の事言えないけどな……Dランク相手までなら何とか時間を稼いで守れるだろうが、Cランクパーティが相手だと難しいな……遠くでエンジェスラリンと戦うパーティを眺めつつ、エメリンの狩りはファナに任せて周囲の警戒をした。
アリエルが御飯が食べたいというから、行きつけのカフェ……とか言いたい所だけど、前に泊ってた宿の近所の食堂でお昼ご飯だ……アリエルはメニューを見ながら悩んでいる。
「何がオススメなのかしら?」
「俺はいつもからあげ定食だな、ファナはおさかな定食だ」
もう1年くらいは定番で食べている。からあげは毎日食えるくらい好きだな……
「そういや、ロザリアと一緒に来た時、ステーキ定食(大)を2つ頼んでいたぞ。アリエルも沢山食べた方が、いいんじゃないか?母性が足りてないぞ母性が……」
暗に胸の平坦さを視線で指摘してあげたら、アリエルは顔を真っ赤にして睨みつけてきた。
「失礼な男ね!何が母性よ……じゃあステーキ定食(大)を1つ頼むわ」
食べるのかよ……まぁ母性は大きいに越したことはない……食堂でご飯を食べた後教会に送っていき二日目は解散した。
お馴染みのソファーでくつろいでいると、ファナが横に座ってくっついてくる。
(アリエル楽しそうだった)
「ファナも楽しそうにしてたぞ?仲良くなれてよかったな」
(うん)
ファナが腕を組んでくる……はぁ~柔らかい幸せ。この洋館に移り住んでからは部屋も別々だし、しょっちゅうロザリアの部屋で寝てたのもあって、ファナとの健全なスキンシップが足りてなかったな。
昨日ファナと一緒にくっついて寝たのを切っ掛けに、仲が深まった気がする……そうだ!!!
「なぁファナ、今日は一緒にお風呂入ろうか。俺が綺麗に洗ってやるよ」
(え?……うん、わかった)
そういえば孤児院で半年間くらいは同じ布団で寝てたが、お風呂は一緒に入ったことはなかったか?
この洋館に引っ越してくるまでの1年くらいの間は同じ部屋で着替えたりしてたから、お互いの全裸なんか何度も見た気がするけど……
洋館の浴場はかなり大きく、5~6人はゆっくり浸かれる大きさだ。湯船につかる前に、ファナの髪と体を入念に洗ってあげる……これが母性だよアリエル……
(くすぐったい)
「ファナもこの2年で大きくなったなぁ」
どことはいわないけど……洗い終わった後お湯で流して綺麗にする。
(次は私が洗う)
確かに誰かに洗ってもらうというのはくすぐったい。微妙にファナが俺の体を凝視しているような気もするが、それは仕方がない、母性が大きさで決まるというなら、男の格はどこで決まるのかって話よ。
ファナと寄り添いながらゆっくり湯船に浸かった。ずっとこんな日々が続くといいな……




