父の残した
三題噺もどきーさんじゅういち。
お題:何でも屋・アクアリウム・水族館
僕は街の何でも屋をしている。
といっても、これは僕が始めたことではなく、父が始めたこと。
だから僕は、二代目。
―ちなみにその父は、引退して日がな一日、骨董屋巡りをしている。
父を知っている人―特にお年を食っている人たちなのだが―には『二代目』と呼ばれたりもする。
なんだか、漫画とかで見る世界での呼び名みたいで、あまり好きではないのだが。
彼らは、からかい含めて、そう呼んでいるので、甘んじて受け止めている。
それもご厚意のうちというわけだろう。
昔から、蒐集癖のあった父は、気なる物を見つけては、お金を稼ぐためにこの仕事をしていたらしい。
僕も、何をするでも無く、ずるずると父と同じ道を進んでいる。
特に夢がなかったわけではない……でもなぜか父と同じ道を選んだ。
毎日、迷子の犬や猫を探したり、おじいちゃんやおばあちゃんのお手伝いをしたりしている。
何でも屋なので、大体、何かしら依頼があるのだが今日は珍しくすることも無く、家の整理をしていた。
父の数ある骨董品を仕分け、ホコリを取って、綺麗にして―
自分で片付けるという頭がない父親なので、かなり昔に買ったものは埃まみれである。
(きついな……)
「…?」
想像以上に量が多く、諦めかけていた時。
部屋の端の方に、小さな球体を見つけた。
(水が、入っている?)
とぷん―と揺れるそれを光にかざす。
アクアリウムのようなものなのか、中には半分ほど水が入っていた。
綺麗な青色が目に飛び込む。
海そのものを閉じ込めたような、その色に目を奪われた。
その中をよく見てみると、小さな魚らしきものが動いているのが見えた。
実際にその中にいるのでは無く、内側に描かれているようだ。
(小さい水族館みたいだな)
色とりどりに光るその模様が、海の中を泳ぐ魚たちのようだった。
(これ、どうしたんだろ……)
光にかざしながら、キラキラと光るそれに目を奪われていた。
「っと、いけない。片付けないと……。」
父の骨董品を整理する時は宝探しをしているようで楽しい。
―量が少々多いが。
先程みたいに綺麗な何かがないかと探し始めた。