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すっかり仲良し六人組です

 茶会の日から私を含めた男女六人のグループは、月に何度か集まって交流を深めていた。


「また負けた」

「魔法ではアリーに勝てっこないわ」

今日は練習も兼ねて魔法の勝負をしている。5メートル程離れた場所にいくつか大きめの石を置き、魔法で弾き飛ばすという簡単なゲームだ。


「アリーは無詠唱で使えるもの」

チタとチアは、優雅にお茶をしながら見学だ。


「オレステはもう少し集中した方がいいわよ。ロザーリオは詠唱が丁寧過ぎる。ラウリスは全体的には悪くはないわね」

私は皆の改善点を挙げていく。


「よし、もう一度勝負だ」

ラウリスから再戦を要求される。私としては、チアたち二人とお茶を飲みたい。

「休憩がいい」

「もう一度やってからだ」

「ぶう」


ラウリスは意外と負けず嫌いのようで、なかなか面倒くさい。

「俺もお菓子食いたいな」

オレステはお茶することに賛成のようだ。

「もう1回、勝負してからだ」

それでもラウリスの意見は覆らなかった。


「ああもう。あと1回だけだからね」

結果は勿論、私の圧勝。やっとお茶にありつく事が出来る。


「やはり、無詠唱というのは凄いな」

お茶を飲みながらラウリスが呟いた。

「相当、練習をしたのかな?」

ロザーリオも私に聞いてくる。


「魔法は想像力だって、お父様に教えてもらったの」

「想像力……」

私は前世でよくRPGものや、アクションもののゲームをしていた。だから戦闘シーンというのは想像しやすい。全てを頭の中で具体的に思い描けるから無詠唱でも苦ではないのだ。


「わかってはいるんだけれどな。意外と難しいんだよな」

ラウリスが難しい顔をする。

「慣れれば難しくないわ。これからよ」

私の言葉にラウリスが笑った。


「アリーは前向きだな」

「そう?でもこういう事って、前向きに取り組んだ方が上手く行くでしょ」

私の言葉に「そうだな」と賛同しながらラウリスが笑う。


「初めて会った時は、深窓の令嬢のような雰囲気にドキドキしたんだがな。魔馬に跨って大人しくさせたり、誰よりも魔法を使えたり、深窓とは程遠いお転婆だよな」

ラウリスの言葉に、皆が賛同した。


「アリーはね、見た目とのギャップが凄いのよ。小さな時からそうだったもの。だからこそ一緒にいるとワクワクするの」

チタがニコニコと私を見る。


「アリーは私たち姉妹の一番の親友よ。今までもこれからも」

チアも私を見て笑った。


「ふふ、ありがとう。私にとっても二人は大事な親友よ。なにがあっても二人は私が守るわ」

腰に手を当て、胸を反らせる。皆はそんな私を見て、笑いながら拍手を送ってくれた。


 その時だった。

「おほほほ」

脳天から響いたような甲高い笑い声が聞こえた。


「何?」

キョロキョロと耳障りな声音の出所を探る。


「そう言えば、兄様の婚約者候補が2人くらい来るって言っていたな」

ラウリス殿下が思い出したように言った。

「へえ、見てみたい」

チタが興味を持ったようだ。


「じゃあさ、少しだけ覗いてみるか?」

賛同したのはオレステだ。勿論、他の皆も賛同する。結局皆で行ってみる事にした。足音を忍ばせて声の聞こえた方へ向かう。


「あれって……」

私たちのいた中庭を抜けたすぐ先に、色とりどりの花が咲き誇る花園がある。その中心には可愛らしいデザインの四阿。そこに座っていたのはエンベルト殿下と二人の女性。


「二人とも綺麗な人ね」

チタがうっとりしている。8歳の私たちからしてみれば、14,5歳の人は大人に見える。


「多分、どちらも伯爵位の令嬢だ」

ラウリスが答えた。

「凄いわね、ちゃんと覚えてるの?」

「兄様の婚約者候補は、一通り覚えた」

薄々感じていたけれど、ラウリスはブラコンのようだ。


「あれ!」

異変に気付いたのはロザーリオだった。

「左の女性、手に何かを持っている」

ロザーリオの言葉に、皆の視線が左の女性に集中する。


「あ!」

皆が揃って小さく声を上げた。左の女性がエンベルト殿下のカップに何かを数滴垂らしたのだ。気付かないエンベルト殿下は、そのカップを持ち上げゆっくりと口元に持って行った。


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― 新着の感想 ―
[一言] ぅわあ。どんな物であれ薬物系を王族に盛ったら死に至らなくても謀叛と取られかねないのにこの令嬢は実家を良くて没落又はお取り潰し希望かな?
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