92話.腕輪と第1王子ガララント
やっとガララントのフラグの回収が…
92話.腕輪と第1王子ガララント
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「やはりホランド公国に行かないとマズいんだよね?」
「意図的か否かは別として、店を狙われましたしね。…普通に考えれば、店を取っ掛かりに、フーヴォさんや私を…と考えるのが自然かと。」
「直接乗り込まないと、次は戦争になっちゃう可能性が高いか…。それにしても、一緒に行く相手があいつ等じゃ。
変なフラグが立っちゃったなぁ。。。」
『フーヴォの通う店』を眺めながら、アボとエンはまた学園を休む羽目になることよりも、一緒にホランド公国に行く相手に不安を感じていた。
時は少し戻り、セガルルトやガース、学園長が押し入った後、ベントベンが取り乱し、隙を見せた際にエンが(気付かれないように)ベントベンを一瞬で殺した。
正確には、仮死の状態にして、装着していた腕輪を確認した。
「やはり新型?ですかね?」
「どんな感じ?」
「人工魔石は付いていませんが、ベントベンの魔石に寄生するタイプの様です。」
「取り外しはやっぱりダメっぽい?」
「…私では難しいかと。腕輪を付いている右腕から魔石の間、心臓・肺などの臓器まで侵食しています。」
「いったい、どういう事態になってんだ?」
「ガースさん煩いです。」
何故かガースへの当たりが強い。ガースはセガルルトを見、セガルルトが代わりに聞くことに。
「エン様、申し訳ありませんが一応説明して頂けると…」
「…学園長もいらっしゃいますが、この場で説明しても宜しいのですか?」
「学園長はあなた方の事情を知る人間です。構いません。」
エンはアボを見て、頷くのを確認すると、ため息一つついて説明を始めた。
「…先ほどの小芝居は、敵を油断するためだったのです。聞き取りという名の恐喝騒ぎの際、このベントベンとやらの腕に、第1王子にも装着されていた腕輪を、アボ様が確認しました。
ただ、前回と違い「微弱ながら」魔力波を発していたため、今回は複数の関係者がいると予想し、その受信相手の特定に時間が掛かってしまいました。私がアボ様の側に居なかったのはその受信相手を探すためです。」
エンがこの場に居る人間を見回しながら「ここまでは良いですか?」と聞き、話を続ける。
「受信相手を特定するまでの時間稼ぎと、相手の動向を調べてもらう為、敢えてこの小芝居をアボ様に演じて貰った次第であります。」
「して、その受信相手は?」
「その受信相手は、すでにヤンさんランさんが拘束して眠らせてあります。ちなみに腕輪は装着しておりませんでした。
そして、ガブル伯爵の子息、ガブル・フォンバットの例もありましたので、このベントベンも眠らせるだけでは「命」の危険もあり得ると判断し、とりあえず死んで貰ったという流れですね。」
「仮死状態だよエン。ただ、ちょっと予想外の事があって、ほんとはセガルルト達が取り調べした後に、身柄を受け取ってから調べようと思ってたんだけどさ。急遽、こんな展開になった。」
「それでベントベンの身柄を要求したって訳か。。てっきり本当に殺すのかと思ったぜ。」
「ちなみに予想外とは?」
「受信相手が話していた内容がね。。。この新型の腕輪の性能なんだけどさ。……取り外すのに手間取ってると、狂暴化?魔獣化?するって言ってたのは計算外だった。」
「魔獣化?」
「ほんとかどうかは分からないけどね。とりあえず魔力のパスを遮断してる状態だから、ベントベンは魔獣化することはないとは思う。」
「人の命を何だと思ってやがる!こんなこと正気の沙汰じゃねえ!」
「どれほどの魔獣に変身するのか分からないけど、兵士じゃなくても民間人や奴隷でも“これ”を装着させて、魔獣化させて攻め入れば、凄い兵力を持つことにもなるね。」
「アボ殿。拘束している者は引き渡して頂けますか?」
「これって外交上、マズいよね?国際問題に脚を突っ込む気は更々無いから、引き渡すのは問題ないけど、この国で対処できるの?
現にこうやって俺らが何度も被害を被ってるしさ。ガブル・フォンバットの時から、どれだけ進展してんのさ?」
「その点については申し訳ないとしか言い様がありません。拘束した者の取り調べをした後、早急に対策を取らせていただきます。」
「頼むぜ?ほんとにさ…」
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王宮に登場したアボとエンは、元の姿に戻り、大人数が入れる会議室の様な部屋へ招かれた。
そこには、国王を始め、第1王子ガララント・第2王子セガルルト・宰相・外相・近衛師団の師団長・宮廷魔導士団の師団長を始め、錚々たるメンバーが顔を揃えていた。そして何故かガースまで同席しているのが不思議である。
「それで、早速だけど、進展はあったのかな?」
この中で一番親交の高いセガルルトが代表して、一連の問題について答えるようなのだが、その顔は苦渋に染まった表情であった。
「…アボ殿には納得して頂けるか不安でいっぱいなのですが、対策を練りました。個人的には納得していませんし、出来れば他の案があればそちらを採用したくてたまりませんが。」
「え?どういうこと?その言い回しだと嫌な予感しかしないんだけど。」
「まずは、腕輪の件。色々と解析した結果、いくつか分かったことがあります。
第一に、ベントベン学年指導教官の装着していた腕輪は、ヤン殿、ラン殿が拘束した者が所持していた魔道具にて、ある程度の遠隔操作が出来る様でした。
そして、その遠隔操作を無効にする手段も一応見つかりました。」
「なんか嫌な予感がするけど…、それで?」
「第二に、この度の件は外交上、決して許されるべきことではありません。ホランド公国に対して抗議を申す程度では済まされません。」
セガルルトにしては中々歯切れの悪い、遠回しな言い方だな?
「…それで、ホランド公国とガゼリ侯爵に抗議文を魔導通信にて通達したのですが。知らぬ存ぜぬと通されてしまって。。埒が明かないと直接ホランド公国に乗り込むことになりました。」
「ほう。…なるほど。」
「しかし、軍を用いて乗り込むのは、宣戦布告も無しに戦争を嗾けると同義。しかし使者を遣わすにしても“相応な身分”が必要な事と、…腕輪に対して“対抗措置を講じられる者”でなければミイラ取りが木乃伊取りが木乃伊になる恐れがあります。」
(あ、何となく展開が読めてきた。マジか…)
「そこで、…最悪の場合も想定し、使者団の誰かがこの腕輪を装着された場合でも遠隔操作を“無効化”出来る者が1人必要となります。
もちろん遠隔操作の作動を無効化させることが出来ることを実験にて確認しております。」
(もうこれは確定だね。)
「それが第1王子ガララントです。」
(当たっちゃったよー!)
「ガララントの適性魔法は、特殊系の中でも珍しい『反魔法』というものです。
その効果は、魔法事象を打ち消すことに秀でており、また、本人のたっての希望もあり、選出されました。」
「……大丈夫なの?」
「もちろんだ!前の迷惑を掛けた件については、申し訳なく思う。しかし!私も被害を受けた者の一人として、このまま指を咥えたままではいられんのだ!だからこそ、此度の使者の件に立候補した!」
セガルルトが言葉を発する前に、ガララントが堪え切れなくなったように喋り出した。……腕輪してた時とあんまり変わってない気がするのは俺だけだろうか?
「兄上は黙っててください!」
(おい、一応公式の場だぞ。“兄上”はダメなんじゃないか?)
「この様なお願いをするのは筋違いなのは承知の上なのですが、、」
(嫌な予感が当たっちゃう…?)
「第1王子と共にホランド公国に行っては貰えないでしょうか?」
嫌な予感が当たった――――――!
ガララントの魔法適性がついに判明しました。
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