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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
第3章 異世界学園編
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91話.どうやら逆鱗に触れたようだ

祝25万文字突破!!





91話.どうやら逆鱗に触れたようだ



*****~*****~*****~*****



「何か云う事は無いか?こうなった経緯についても少々不自然な点もある。…今後の身の振り方の為にも、誠意ある対応が必要だと私は思うのだが、君はそう思わんかね?周囲にも納得できるだけの説明くらいしたらどうだ?」


 ここは窓もない、部屋だ。向こうの世界での裁判所の様な場所。だがこの場に居る人物の雰囲気は、裁判所のそれではなく“尋問”のそれである。

 窓がない為に、壁や天井に、灯りの魔道具が煌々と輝きを放っている。そしてその光が反射してこの部屋にいる俺以外の人物が身に着けている腕輪(・・)が光を反射して、成金のイメージが頭の中で過っている。

 俺の向かいに座っているのはベントベン学年指導教官。向こうの世界でいう所の学年主任みたいなものか?…しかし、上から目線がイライラする。ま、見た目15歳だし、子供に対してそうなるのも分かるんだけど。。。


「説明?摸擬戦はガース先生の立ち合いの下で行ったモノであり、摸擬戦の提案は私からでなく、イェルガーくんからのものでした。

 結果、授業の一貫として行われた。生徒としての立場で言えることは、以上です。」


「一人の生徒を害した。それは認めるという事だね。」


 そんなこと言ってねえだろ!


「ガース先生がお話されたことが全てです。主観ではなく客観的に述べられた事実。それ以外必要ですか?」


「…彼は入学当初から優秀な生徒だ。それが一方的に被害を被り、伴獣を伴わずに戦った、戦闘能力を著しく欠如したテイマー(・・・・)の君には、一切の外傷も見受けられない。不自然を感じないか?」


 優秀?あれで優秀であるのならば、学園の質も疑問視しないといけないな。王国の王子も通う学園なのにさ。


「しかも君は入学してすぐに、1ヶ月ほど戦闘技術の講義を休んでいたそうだね?つまり実力の差が開くことはあっても、その逆はあり得ないんだよ。」


 こいつ、学園長から何も聞いてないの?セガルルトの依頼で休んでたのに。聞いていたのなら、王族と懇意にしてるってすぐに分かるのにねえ。

 そんな相手に学園の権力を振り回そうって言ってもさ。難しいと思うよ?まあ、敢えて教えてあげる義理も無いし、このまま様子を見させて貰おうかね。


「彼はもちろん、親御さんも大層ご立腹でね。事の経緯を学園としてもちゃんと説明しなければならない。それは分かるね?」


「はい。」


「学園側としても、片方の意見だけでなく、双方の意見を聞いたというスタンス(・・・・)も必要だ。」


 なるほど、公平な立場で学園としての処分を下さなければならないのは理解できる。でも『双方の意見を聞いたというスタンス(・・・・)』だと?

 結論ありきの処分って複声音が聞こえるんだけど?


「聞き取りをしてみて感じたことは、戦闘技術の授業の際、優秀な生徒が、何らかの不正を持って被害を被った。理屈に合わないからね。そう感じざるを得ない。」


「……」


「ふむ。申し開きも無いとみえる。で、有るならば、被害を被った生徒及び精神的に苦痛を被ったご家族に対して、賠償を支払うのが当然。それならば学園としての意見として、賠償の仲介をしよう。」


 仲介?賠償??何故に賠償問題に発展するの?


「君は賢獣様の御厚意で(・・・・)店を開いているね。確か「フーヴォの通う店」だったか。…その店の権利の譲渡でどうだろうか?」


 はぁ?何言ってんのコイツ?


「彼の家は、有名な商家でね。この学園にも多大な寄付など貢献してもらっている。君のような若い子が切り盛りするよりも、大きな商家が運営した方が学園にとっても、さらには王国にとっても「利」が大きいと思うのだよ。」


 この学園って国営だろ?貴族は寄付金も多いって聞いたけど、イェルガーの家は商家であって貴族ではない。ってことは…個人的な献金?コイツ個人の判断か、それとも学園も?今の言葉だけじゃ判断が着かないな。


「…それは学園としての総意だと思って良いのですか?」


「いやいや。あくまで仲介としてのアドバイスだよ。無駄な争いは、君だけじゃなく誰も好まないだろ?それにエンリくんに伴獣2匹にも迷惑が掛かることになったら私も心が痛む。彼女らも危険なことに巻き込まれたくないであろう?

 もちろん権利を譲渡したとしても、君がそのまま働けるよう、先方にも助言はする。何も心配することはない。」


 そういう問題じゃねえだろ。それと今、エンやヤン・ランを脅したな?…いいだろう、そのケンカ買ってやる。いい加減、取り繕うのも限界だ。それと時間稼ぎも頃合いか。


「…一応、聞いておくわ。」


 いきなり雰囲気が変わったアボに、今まで交渉?が上手くいくと思っていたベントベン学年指導教官は、自分の望む展開から外れだした事を感じた。


「繰り返して聞くが、この提案?アドバイスは学園としての総意ではなく、ベントベン学年指導教官個人(・・)、もしくはイェルガーの家族からのものなんだよな?」


「い、いきなりどうしたんだね?」


「2回も聞いてるのに返答が無いってことは、答える気が無いのか下手な言質を取られたくないのか知らんが…ま、いいだろ。

 とりあえず、俺のスタンスは、「勝手にしろ」だ。お前の要求は一切の飲む気は無い。

 『フーヴォの通う店』の権利だぁ?戯言は寝てから言え。っていうか、寝言も煩いから呼吸もすんな。」


「んなっ!」


「そっちがその気なら、何を言おうと関係ねぇ。『フーヴォの通う店』は王国から撤退する!」


「そっ、そんなこと許されるとでも思って…」


「関係ない!俺が決めたことに誰であろうと文句は言わせない!例えパウルルトであろうとな。」


「国王に向かって敬称もつけないとは…不遜にも程があるぞ!」


「不遜で結構。だが事の結果を聞いて、パウルルトが何て言うか知らんがな。

 しかし、この取り調べか何か知らんが、ガースや学園長は承知しているのか?」


「…どういうことだね?」


 さっきの返答もしなかったことを考えると、知る訳ないよなぁ。


「知ってたら、そもそもこんなことになってるわけないか。まあいい。」


(エン!ガース及びセガルルトにこのことを伝えろ!)


(すでに伝えております。まもなくそちらにお着きすると思います。)


(分かった。)


「何を急に黙ってい……!!」


 その時ノックも無く、扉を開く…ではなく文字通り扉を吹き飛ばしてエンが飛び込んできた。


「お待たせして申し訳ありません。」


「い、いきなり学園の扉を破壊して入ってくるとは何を考えて……!!」


「急ぎ過ぎです。エンリさん。」


「全くだ!アボットの事となると加減が効かねえ。」


「扉の修理費が…」


 エンに続いてセガルルト、ガース、学園長が壊れた扉の残骸を乗り越えるように入室してきた。最後に学園長が扉を見ながら1人見当違いの言葉を漏らしていたが。


「セガルルト様!それに学園長も!!」


アボ様(・・・)?こちらは…処分対象ですか?」


「物騒だなぁおい!」


「煩い。私は貴方に“今”ツッコミは求めてない。」


「めちゃキレてんじゃねえか。とりあえず落ち着け!」


エン(・・)。『フーヴォの通う店』は王国から撤退だ、準備しろ!」


「承知しました。…帰りますか?」


「あぁ。帰ろう。」


「勝手に帰ろうとするんじゃない!まだ話は終わってないぞ!」


 エンと帰ろうとするアボに、話は終わってないとベントベンは怒声を上げるが、周りにいるセガルルトやガース・学園長にとっては、アボの言い放った聞き捨てない言葉に驚愕していた。


「ベントベン!いったい、どういうことだ?!」


「ちょっ!撤退って?何でそんなことに!?」


「アボット殿!落ち着いて!まずは話を聞かせてください!」


 出て行こうとするアボとエンに、セガルルトが話を聞こうと説得を試みる。


「話なら、そいつに聞け。俺は店を閉めてこの王国からも出ていく。」


「何言ったんですかベントベン学年指導教官!アボット殿をここまで怒らせるなんて!」


「わ、私は何も…」


「そもそも誰の許可を得てアボット殿の聞き取りをしているのだ!学園長もガースもエンリ殿に話を聞いて初めて知ったのだぞ!」


「もういいか?そいつと話をするなら俺は必要ないだろ。」


「ほんとに申し訳ありませんが、ですがお待ちください!せめてアボット殿の口からも、何があったのかだけでも教えてください!」


「…ふぅ、いいぜ。そいつがイェルガーへの賠償に『フーヴォの通う店』の権利を無償譲渡しろって言ってきた。拒否するならエンやヤン・ランも危険に晒されるかもって脅し付きで(・・・・・)。こんな下らないことに巻き込まれるのもバカバカしいから店は撤退する。以上だ。」


「脅しだって?それに何言ってんだよ…権利を無償譲渡って。」


「ベントベン!今の話は本当か?!」


「い、いや、あの…」


「それとイェルガーの家族も関わってるっぽい。…王国去る前に、ついでにイェルガーの家周辺諸共も潰して行くか。」


「マヂで物騒なこと言うのは止めてくれ!」


「それと、セガルルト。ベントベンに話を聞く時間はくれてやる。だが話が終わったらそいつを寄越せ。

 俺の家族を脅しに使ったヤツを、決して許しはしない。髪の毛一本もこの世に残さず消滅させてやる。」


「…ベントベンを引き渡したら、王国からの撤退は考え直して頂けますか?」


「何言ってんだよ、第2王子!」


「黙れガース!人1人の命とアボット殿の価値。比べるもないだろう?」


 正義感ではないが倫理も持ち合わせているガースには到底、受け入れないアボの提案に応じようとするセガルルト。その問いに対してアボは、一瞬虚空をみる仕草をした後、


「…考えてやってもいいが。」


 引き渡すことも吝かではないセガルルトの言葉に、アボの怒りのトーンも落ち着いてきたかのようにも見えたが、第2王子であるセガルルトがアボへ謙る様子にベントベンは不思議でならない。


「セガルルト様!アボットとは何者なんですか!?」


「煩い!ベントベンは黙っていろ!」


(たかが摸擬戦から、どうしてこうなった……?)






 呟きにも似た心の言葉が、ガースの頭の中を飛び交っていた。







アボがキレた!!


そして『フーヴォの通う店』はどうなる??



続きが気になると思って頂けた方は

是非★★★★★のエナジーをお願いします。



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