89話.チートの使い方2
ガースさんの悲劇は可哀そうとの意見により、内容が変更されました。
意外とガースの人気が出るのかな?もっと苦労性が出る文章にしようか。。。
89話.チートの使い方2
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結局、タイガは長刀と長巻の間のような武器を選んだ。近接も熟せ、尚且つ中距離での戦闘も熟せる武器である。
「なあなあ、ほんとに『棍』でいいのかよ?」
「あくまで戦闘技術の訓練だしね。矢面に立って戦うキャラでもないしね。」
「確かに前衛って感じじゃないけど、アボットって色んな意味で目立ってるから、目を付けられてるじゃん?」
「タイガ君もね。」
「そりゃそうだけど、アボットの場合、エンリさんの「腰巾着」って影じゃ呼ばれてんだぜ!何も知らねえ奴らに好き放題言われてさ。腹立たないのかよ?!」
「心配してくれてありがとね。大丈夫だよ。面と向かって行って来たら半殺しにして、影で言ってるのを見つけたら消すだけだし。」
「さらっと恐ろしいこと言うの止めようよ!」
「害は根本から絶てば、憂えが無くなるんだよ?」
「じゃあ俺も半殺しに出来るってか?!」
タイガとのくだらないやり取りをしていたら、割り込んでくるヤツ等が出てきた。アボの事を日頃から気に食わないと思っている集団だ。
「男だったら正々堂々と、伴獣や女の手助け何か借りねえで対戦しようじゃねえか!」
「お前バカだろ?アボットはテイマーだぞ?何で自分の得意分野の伴獣を使役しないで戦うと思ってんのさ?」
「外野は引っ込んでろ!今話してんのはお前じゃなくてアボットなんだよ!」
訳の分からない理屈でタイガの発言を止めようとするが、そんな屁理屈以下の言い分などタイガに通じる訳もなく「何を!」とケンカ腰に発展してしまう。
「まあまあ、その理屈で言うと、僕はタイガ君と話をしてたんだから、外野は引っ込んでてくれる?お前等と話してないし。」
敢えて、同じ土俵に上がりながらも、戦わずして正論で負かすアボ。
「屁理屈言ってんじゃねぇ!」
「お前がな。」
「エンリや伴獣が傍にいねえと何もできねえくせに、粋がってんじゃねえよ!」
「そうだねー。その何も出来ないテイマーに、伴獣無しって条件でケンカを吹っ掛けるお前は何なの?ただの臆病者?」
隣のタイガも、アボの煽りで顔を真っ赤にさせてる奴らに対してゲラゲラ笑っている。もちろんアボもニヤニヤしながらだが。
「笑ってんじゃねえ!そんな伴獣なんか飼いやがって!」
堪え切れなくなったのか、剣帯に下げられた剣を、鞘は抜かなかったが切りかかってきた。
エンが割り込もうとするのをアボは視線で制して、避けながらも自然とガースの方向へ向かっていく。
「元気が有り余っているようだな。お前達。」
当然、ガースに止めて貰える訳で。
「そんなに殺り合いたいと云うのなら、俺が直々に殺り合ってやろう。もちろん真剣でな。」
ガースがすらりと腰のショートソードを抜いて威嚇をする。
「い、いえ!そんなつもりじゃ。。。」
「それにしても講師が生徒に対して“殺り”合うだなんて、物騒な世の中になったもんだねー。(僕が殺るっつーの。邪魔すんな…)」
笑顔のアボだが目が笑っていない。最後の言葉はガースしか聞き取れなかったようだが、アボの最後の呟きを聞いてしまったガースは
「おい!一応、無駄な争いに発展するのを未然に防いでるつもりなんだけど?」
ガースの気遣いは、アボに届く訳もなく、さらに相手を煽る方向に話を進めていく。
「お前等、Aランク冒険者に気を使って貰っちゃって申し訳ないと思わないのか?感謝しろよ?」
「お前もだよ。。。」
ガースも疲れた表情でアボを見つめながら呟く。そしてガースは怖いが、アボには怒りが抑えられないヤツラは摸擬戦を提案した。
「ガース先生!コイツと摸擬戦をさせて下さい!」
「…不満や蟠りを解消する手段としてはアリなんだが。。そもそも何でこうなった?」
「そりゃ、エンリの側に俺がいるからヤッカミで?」
「ん?どういう意味だ?」
「エンリの事が好きだからじゃないの?」
「んな訳あるか!」
顔を真っ赤にして否定するが、アボの煽りは止まらない。
「え?じゃあ…ヤンさんとランさん?流石にそれはダメだよ。さっきはヤンとランを侮辱してたのに?あ!愛情の裏返しとか??…禁断の恋どころの話じゃ済まないよ?いくら可愛いからと言っても…」
「ふざけんのもいい加減にしろー!そんな伴獣タダでもいるか!!」
「…理由を聞かんでも大体分った。」
さらに疲れた表情になったガース。しかし、現状は何も解決はしていない。そして今の言葉でアボはさらに笑みを深めたが、目の奥に殺気が混じり始めた。
「アボット。イェルガーはお前と摸擬戦を希望しているが、、どうする?」
「イェルガーって誰ですか?」
「俺のことだよ!」
「えぇ?!自己紹介も無かったから誰がイェルガーって人なのか分からなかったよ。あ、僕はアボット、よろしくね。」
今更、名前を初めて知ったと言わんばかりに、自己紹介を始めるアボ。まるで眼中に無かったと言わんばかりのやり取りに、イェルガーも怒りが殺気に変容していく。
「煽るのも大概にしておけ。で、アボットはどうする?」
「摸擬戦をですか?ルール次第じゃないですかね。僕は“か弱い”テイマーですから♪」
ガースは(誰が“か弱い”テイマーだよ)と心の中で毒づくも表情は冷静に話を続ける。
「ではルールを設けよう。互いに希望を述べてみろ。」
「これは対人戦ですので伴獣無しで!」
「話にならないね。僕はテイマーだよ?テイマーが己の戦闘手段を放棄する馬鹿がどこにいるっていうのさ。そんな提案を通そうって言うならイェルガー君は両手を使わずに対戦するのと同じだよ?それでも良ければOKだけど?」
「そんな提案受けれるワケないだろ!」
「同じことを君は言ってんだよ。少しはその足りない脳みそでも理解しなよ。」
「口ばっかりなクセして逃げてんじゃねえよ!弱い奴の典型的なパターンじゃねえか。口でしか勝てねえんだろ!」
「そだねー。そうそう。その通りだよー」
イェルガーが煽ろうとも乗ってこないアボ。このままでは埒が明かないとガースが手を差し伸べる。
「アボットとしては、どうしたら摸擬戦を受けれる?」
「えー?そうですねぇ。弱い者イジメなんてしたくないんですけど…最低限のルールとして、伴獣無しでならどうです?」
「はぁ??」
思わず聞き直す一同。あれほど『テイマーなのに』と言っていたにも関わらず、伴獣無しというなんて。
「バカにするのもいい加減にしろー!」
「バカになんかしてないよ?(ヤンとランを触らせるのも嫌ってのが本音だけどさ)」
「アボット。それでいいんだな?」
ガースは伴獣を伴わず戦うという事は、アボの実力を知られてしまうのを危惧しての確認だったが、アボは気軽な調子で「もちろん。」と答えた。
「あ、その他のルールは?ちなみに摸擬戦というなの殺し合いで良いのかな?」
「それはダメだろ。これは授業の一貫だ。」
「ちっ。」アボの舌打ちにガースは頭を抱えたくなる。
「じゃあ禁じ手は?明らかな殺傷能力のある部位の攻撃や魔法の不可とか。
まぁ禁じられても「ついうっかり」攻撃してしまった場合はOKで良いよね?」
「OKになる訳ないだろ。」
「だって、あっちは、「ついうっかり」攻撃しそうな雰囲気だけど?」
アボの見つめる先のイェルガーは、煽られまくって殺す気満々の表情である。
「まあ、しょうがない。そっちは何でもアリでいいや。こっちは魔法に関しては初級以外は使わないで対戦してあげるよ。もっとハンデが欲しいかい?」
「…大した自信だな!後悔すんなよ!」
「ハンデが欲しいか?って聞いてんだけど?やっぱりバカには何言っても通じないのかな?」
「煽るのもその辺にしておけ。じゃあ、双方それでOKなら俺は何も言わん。準備が出来次第、摸擬戦を始めるぞ。他の生徒たちは、見学に回る様に。」
修練場にある、闘技場に移動する生徒達。アボットの側にエンとタイガが近寄り、心配そうに話しかけてくる。
「アボット。大丈夫なのか?あんな条件出しちゃって?」
「摸擬戦なら合法的に殺しちゃっても大丈夫かなって。ハンデも付けてるし。」
「ダメだろ!」
「だってヤンとランをバカにしやがったんだから、当然だろ?」
「流石に授業で殺しちゃうのはマズいよ。」
「仕方がない。半殺しで我慢しとくわ。」
「学園が終わったら、拉致しておきます?」
「それもいいかも!」
「絶対ダメー!!」
タイガのツッコミのレベルが中々上がらないなぁと、違う事で心配するエンであった。
次回、アボの性格がモロに出る戦い方になるのかな?
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