88話.チートの使い方1
武器の考察がメインになってしまいました。。。
88話.チートの使い方1
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戦闘技術の授業中、何故か「講師補助」のガースがメインに講義を行っている。
今は武器の説明だ。ガースが手に取った獲物は、片手剣と呼ばれるもの。
「武器は様々なものがあるが、対人の場合は主に剣や槍が多い。何故か?それは取り回しの速さがあげられるが、一番の理由は、…一番の理由が解かる者はいるか?」
「殺傷能力が高いからですか?」
「近いが、遠い答えだ。答えは、人間の防御力の低さ故だな。鎧や盾などの防御力はあるが、単純に身体だけで考えれば、刃物で簡単に傷がつく。そういう意味では剣は殺傷能力が高いとも言えるし、防御力が低いからこその結果でもある。」
次に手に取ったのは、長さ1.5m程の『ポールハンマー』だ。
「対して、魔獣と戦う際には、剣などの武器では攻撃力が足らない場合が多い。先ほどの生徒の言葉で言うと、殺傷能力が低くなる。何故か?それが魔獣の外皮の固さだ。
この外皮の型さが厄介だ。所詮、人の攻撃は“軽い”んだ。外皮を削るにも時間が掛かる。それに伴い、武器の損傷も高くなる。剣などはすぐに刃毀れを起こしてメンテナンスの費用もバカにならないな。
よって多くの冒険者は“重さ”を武器に魔獣と相対する。しかし“重さ”を武器にするという事は、スピードを犠牲にすることが多いのだが、魔獣の反応速度が速いと攻撃も中々当たらん。
だから冒険者たちは、重い攻撃を当てれるようにする為にパーティを組み、ヘイトを稼ぐ者などが魔獣の気を逸らす工夫をするという訳だ。」
現役のAランク冒険者の言葉は、生徒たちに素直に届いているようで、真剣に講義に耳を傾けている。
「“重さ”を武器にといったが、大剣ももちろん含まれる。ツーハンデットソードやグレートソードなど、生徒の中でも憧れる者も多いだろう。
しかし、用途としては、長さを生かした“突き”や重さを生かした“叩きつけ”となるが、長さを生かすなら『槍』の方が使い勝手も良いし、重さを生かした攻撃も、中途半端だ。それに近接戦闘で懐に入られると、両手剣などは使い勝手が良くない。つまりデメリットの方が大きい。
その中で、このポールハンマーやポールアックスは、中々使い勝手が良い武器の一つだ。
柄の長さからも解かる様に、牽制にも使えるし、振り回した攻撃が当たるインパクトは、同じ重さの両手剣よりも、かなりの衝撃になる。
ハンマーや斧が付いている先端は、確かに重量があるが全体的に見れば、バランスも取れて重さもそこまで感じないしな。
俺も、魔獣の討伐には、良く愛用している。メンテナンスも刃先と云うより柄の部分の亀裂などが多いので、費用も剣と比べれば割と軽いのも魅力だ。
駆け出しの冒険者で、良き先達者に教えを乞う者は、まずは槍、ポールハンマーなどを使うことを進められる者が多い。
主に、初期費用の面、日々のメンテナンスの面、そして使い勝手の良さ、最後に生還率の高さ故だ。」
駆け出しならば、資金も乏しいから初期費用の安さは魅力的に映るだろう。同じ理由からメンテナンス費用も剣に比べれば格段に安いし、自身での日々のメンテナンスも割と簡単だ。
そして中距離での戦闘は、視野の広さや牽制など、落ち着いて対処がしやすい。それは生還率の高さにも繋がる。
「まあ、あくまでもパーティをちゃんと組んだ場合の話だがな。役割をしっかりと分担してない場合、…極端な例で言うと、全員が槍を装備してたら、決定力も欠けるし中距離を突破され近づかれると瓦解しやすい。
もちろんソロで魔獣と相対した場合も同じことが言えるが、近づかせないよう立ち回れる技量も必要だ。
つまり、パーティを組む場合は攻守のバランスが大事であり、武器だけに頼るようでは、冒険者として“先”が見えてこない。
お前らがこの先、どんなスタイルで行くかは分からんが、一通り基本を押さえた上で、自分に合った武器を選び、バランスの取れたパーティを組むことを推奨する。」
「アボットは何の武器を選択する?」
武器の選定でタイガがアボットに聞いてきた。その手にはロマン武器の様なゴツイ大剣を握っている、というか引き摺っている。
「先生の話、聞いてなかったの?そんなの振り回せないと思うけど。」
「……並べてあったから、手に取っただけだよ。」
「ほんとかなぁ?ロマン武器に夢見てんじゃないの?」
「…悪いかよ!」
「ま、持ち上げれない時点で、無理だと思うけど。」
「鉄の塊だしな。こんなの無理だよ。」
「どうしてここに置いてあるのかも不思議だけどね。きっと、タイガ君みたいな夢見る男の子に現実を見させるために置いてあるんだろうけどさ。」
「ぐっ。そ、それでアボットはどれにすんだ?」
「僕は無難に『棍』だよ。」
「……地味だな。」
「経済的だよ?」
「店のオーナーがケチ臭いこと言うなよ。」
「雇われオーナーだし。」
「ちなみにエンリさんは?」
「私は自前の武器がございますので。これです。」
「……」
「所謂、『鉄鞭』というヤツですね。」
遠くから見ると、巨大な針の様にも見えるが、良く見ると先端が尖り、胴体部は所々装飾のような物も見受けられるが、本体はワイヤーが編まれたようにも見える。
非常に重厚な、禍々しさを感じるのは気のせいだろうか。。。
「…やっぱり撲殺系?」
「ちなみに2本持ってます。」
「切れ味も関係なく、殴打・刺突に特化した近接戦闘用の武器ですね。」
エンが軽く素振りをすると、「ヒュン」ではなく「ビュン」でもなく「ブウォン」という音だった。
「……」
「早くギャンクライ先生が復帰して下さったら、この鉄鞭でお相手して差し上げれるのですけど。」
「…完全にターゲットにされてんだね、ギャンクライ先生。」
未だ、エンにヤラれたケガの具合が宜しくないようで(主に精神的に)今日も講義は欠席しているギャンクライである。
「とりあえず、今日のところはガース先生で我慢しておきましょう。」
離れた場所にいるはずのガースが“ビクッ”となった。…ご愁傷さまです。
哀れ、ガースの未来は?!
次回、ガースの災難の日 (ウソ)
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