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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
第3章 異世界学園編
86/93

86話.魔道具の引き渡し

授業をさぼって牧場運営~♪と思っていたら、早々に学園に復帰することになりそうです。(アボではなく葛城そら)



86話.魔道具の引き渡し



*****~*****~*****~*****



「これが結界の魔道具ですか…」


 セガルルトや王宮魔導師たちの目の前には、直径20mmくらいのロープをぐるぐると巻き取った巨大なカタツムリの様な物と、その横に操作盤が付いた魔道具が鎮座していた。

 久しぶりにアボとエンの本来の姿で結界の魔道具のプレゼンをしている。


「これのロープ部分を守りたい場所の外周に沿って、こんな風に設置して…うん、準備が出来た!起動するよ?魔力視で変化を確認してきてね。」


「承知しました。」


 セガルルトが目に魔力を集中し、魔力を見れる状態になったことを確認すると、アボは操作盤のスイッチをONにした。


「おぉ…。これが。。。」


 微かに『ブーーン』と音を出しながら動き出す魔道具。良く見るとロープ部分に筋の様な模様があり、そこから聖魔力が漏れ出ているようにも見えた。


「仕様を説明するね。

まず、この魔道具は、この太いロープで囲った内側を、魔獣の被害から減らす(・・・)ことを目的としている。

 何で“無くす”ではなく“減らす”なのかは、あとで説明する。

 それで、この魔道具は効果を及ぼす規模は変更出来るけど、この魔道具のサイズで、ロープは200m。範囲としては、だいたい50m四方を覆う面積。牧場と同じサイズって言えば解かりやすいかな。

 動力はメンテがしやすいように、この操作盤の下の箱に人工魔石を並べて入れたらそのまま使える様にした。大きさは適当で良いけど、この大きさの箱でCの人工魔石2個、Dの人工魔石なら4個で十分起動するし1週間は持つ計算。ここまでは良い?」


アボの説明に頷くセガルルト。


「低級の人工魔石を利用するのは、将来過疎地でも運用を目的とする為。人工魔石と言えども級の高い魔石は高額になるから。出来るだけローコストで持続時間が長く続く様に考えた結果、この大きさになった。」


「アボ殿。この魔道具でどれほどの効果が?」


「この魔道具で、Cランク以下の魔獣までは近づきにくくなる。ロープから2m~3mくらいの距離で、魔獣が嫌がって退く感じ?でも絶対ではないよ?あくまでも魔獣にとって、嫌手な聖魔力の波動を纏ったロープを横たえているだけだから。勘違いしないでよ?放出するんじゃなく纏っているだけだからね。」


「…なるほど。放出ではすぐに魔力が空になるところを、循環させ纏わせることで持続力を持たせている訳ですな?」


「思い付いた時は、全方向の放出はコストが高すぎるから、一定の方向だけに放出する仕様で考えたんだけど、それでもコストが掛かり過ぎたから。

 そこで考え方を変えて、纏わせることにして循環機能にしたら、魔石の“持ち”も良くなったから、今回はそれを採用した。その分、効果範囲も狭まったけど。」


「辺境や過疎地域ではそれでも十分重宝されるでしょうな。この添付されている資料の魔獣の被害状況の問題も、主に被害の出る魔獣はF~Dが年間の70%Cが25%となっております。

 年間の被害の95%が軽減できるというのは、恐るべき効果でございますぞ!」


「そこで“無くす”ではなく“減らす”の理由はさっきからも言ってる通り、コストの問題。人口魔石とはいえ、聖魔力を付与された魔石は高額になるのが一点。

 次にテイマーの存在。自分のパートナーである使い魔や伴獣が共に居れないのは問題だしね。


後は持続時間を求めた結果、2m~3mになった為、上空への効果が無いこと。でもこれについては、上空からの攻撃、被害は年間数件。しかも特定の地域のみ。

 その地域については、すでに櫓であったり、防御手段を構築してあるようだから、緊急性もないと判断して、今回は見送った。」


「今後、開発の予定は?」


「逆に聞くけどさ、それって俺の仕事?」


「そ、それは…、しかし、これほどの発想力と技術力を持つ貴殿であれば!」


「だから!…それって俺の仕事か?って聞いてんだけど。」


「……」


 流石に同じセリフを繰り返すアボに、自分の甘え・傲慢さが理解できたのか黙ってしまう。


「本来、王国の問題であり、王国の人間が成さねばならない事だろ?それを俺に押し付けんなよ。出来るからやれって違うよな?それをお前らは義務や権利で縛るつもりか?

 『力のある者なら、弱きを助けるのは当然』とか“ほざく”つもりか?

 セガルルト。ニヤニヤ笑ってないでさ、何か言ったらどうだ?部下の粗相をこっちに押し付けんなよ。俺はお前らの部下でもないし、ましてや王国の民でもないんだから。」


「すみません。未だにこのような低能な部下がいるとは思っていなかったので。今の問題については、追って沙汰も申し付ける。とりあえず、お前は下がっていろ。意見を発することも禁ずる。」


「……!」


 何か言いたげな様子だったが、大人しく後ろに下がったな。…なるほど。どうやら俺は“出汁”に使われたようだ。王宮魔導師の中にも選民意識の強い者も多いと聞くし、間引く選定に使われたかな?まあいいけどさ。


「そうそう。話は戻すけど、出力調整はこのツマミで。最大出力にすれば、Bランクまでの魔獣を退けると思うけど、持続時間はそれ相応に短くなるから。満タンの状態でも、2日持たない。緊急事態のみの、非常手段だと思って。

 あと、不具合があるかも知れないから試験運用に1年から5年は考えて欲しいけど、そこら辺はセガルルトに任せる。牧場にはすでに設置してあるから、記録と経過観察も引継ぎをお願い。

 牧場の運営に関しても、先日から孤児院の子供たちが飼ってる動物の世話もし出した。王国の管理者とも良好な感じだから、様子見は学園の授業の範囲内で補助する感じでアボット君(・・・・・)達が行う。そろそろ授業に専念させてあげたいからな。」


 セガルルトも心苦しく思っていたのか、牧場の運営についても了承した。


「最後に、これを改良しようと、これを基に新しい機構の魔道具を作ろうと自由だ。ただ、これを他国に販売する場合は、ちゃんと考えてね。」


「承知いたしました。この度はありがとうございました。王国の民の安全と、食の文化の道標に感謝を。」


 一同が揃って、頭を下げた。そして引き渡しも終わり、魔導師達や、魔道具師は結界の魔道具の操作盤を開け、魔術回路を覗きながら、あーでもないこーでもないと議論を始めている。


「この魔術回路の仕組みは、革新的過ぎて理解が追い付きませんな。この様式を転用すれば従来の魔道具もかなりの躍進が見られるのですが。。」


「そもそも直接魔石に術式を刻んでいたのがこの様な板状のものに刻めるのであれば、作業効率も格段に上がりますぞ。」


「魔石以外に術式を刻んでも、魔力を通すことが出来なんだのが、この板には魔石からの魔力が、この迷路の様な回路?の道筋に沿って、干渉もせずに一方向に流れておる。」


「是非、弟子入りしてこの秘術の知を賜りたいものだ。」


 …色々言ってるけど、何で今まで発展してなかったのかの理由が垣間見えた気がする。発想もそうだけど、基本的に受け身なんだよな。意欲はあっても貪欲さは足りないし、他者に頼りすぎる気質が見え隠れする。

 弟子入りするとかいう前に、現物があるんだから研究しろよと言いたい。


「思ったより大きいと思ってるかも知れないけど、小型化については結界のロープを除けば、小さくは出来る。でも盗難とか考えて、敢えて大きくした。

 あとは無駄に頑丈にしてあるから、破壊されそうな時が来たとしても、多少は耐えれるかもね。

 一応、同じ規模の魔術回路板を10枚用意したから、作成は任せた。ロープの製作しようの詳細はこの資料。メンテナンスの説明書はこれ。」


「ありがとうございます。しかし魔術回路板の製作については秘匿扱いにされないのですか?」


「秘匿扱いにしちゃったら…現状、あんた達じゃ魔術回路板を作成しようと思っても、巨大な魔石を薄切りにするくらいしか無理でしょ?

 設計指示書を見れば遮断材の使い道とか、魔力浸透液や魔術回路板の作成も魔導ロープの製作も出来る様になると思うよ。現物があるんだからさ。

 さっさと発展して、俺を楽にさせてくれ。」


「期待に沿えるよう、精進いたします。」





こうして、結界の魔道具の引き渡しが終わり(ついでに牧場の管理も)また学園の日々が戻って……くる?







やっと学園生活に戻りそうです。


続きが気になると思って頂けた方は

是非★★★★★のエナジーをお願いします。


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