82話.戦闘魔術の授業2
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82話.戦闘魔術の授業2
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「体内循環、放出まで出来る者はこちらへ。射出まで出来る者はこちら側へ移動してください。」
講師の指示で、アボ・エンとタイガ・キラリが別れることになった。
「別々になっちゃうけど泣いちゃだめだよ?」
「泣くか!」
「今日は今現在の実力を調べるくらいだから、心配はしてないけどね。」
「キラリさんはタイガ君の御守りが大変そうだけど、頑張って!」
「誰が御守りじゃ!」
「ツッコミがいまいちです。タイガさん、30点。もちろん1000点満点で。」
「厳し過ぎない??」
グダグダなやり取りをしつつ、射出側に移動するアボとエン。人数は30人ほどいるが、どれくらいのレベルの者かは不明だ。
(アボ様?ヤンさんとランさんには、どのくらいのパフォーマンスで魔法を行使させるおつもりです?)
(とりあえず、4人(匹)で四大魔法を1種類づつ。力加減は周りを見つつ?って感じで。俺が土、エンが火、ヤンが風、ランが水で。)
((はーい!))
(承知しました。)
射出は的当てで訓練するようだ。的である板は、20~25mくらい先にあり10個ほど置いてある。何か違和感があったので、魔力を目に集め「魔力視」で覗いてみると、板は魔力でコーティングされているように見える。
まあ壊されても、板を置き換えるのにも手間は掛かるし、時間も掛かるから壊れないようにするのも納得できるけど、それだけじゃなさそうな感じもするなあ。そういう時はエンに聞くに限る。
「あの板って、魔力のコーティングだけじゃないよね?」
「…脚の部分が衝撃の度合いによって、後ろに傾くようになっていますね。」
「へー。じゃあ、重量級の攻撃がおススメ?」
「そうですね。鋭さでは衝撃度は測りづらいかも知れません。」
「流石に数値化は出来ないか。でも不公平が出ない?」
「火や無、風などは不利になるかも知れませんね。貫通か、燃やし尽くす、又は切り裂いてしまえば関係ありませんが。」
「一応、魔力コーティングして強化されてるからね。目立っちゃうよ?」
「私やヤンさんならば目立っても問題無いのでは?」
「あ、俺じゃなきゃ問題ないや。」
あくまでもアボはテイマーの体で、この学園に居るつもりなので、本人さえ平穏無事で過ごせるのであれば問題無いと思っている。
「それでは10人で3列になると思うが、並んで射出を行ってくれ。魔力を使い過ぎないようにな!持ち時間は1分で交代だ。それでは始め!」
10人が一斉に魔法を放つかと思ったら、各々が呪文めいた文言を口遊んでいる。
「…詠唱?」
「無詠唱ですと魔法のイメージが固まり難いのです。ですから詠唱を“謳う”事で魔力を魔法として射出する。…予め、魔法の効果を“言の葉”に乗せることによって導く手法ですね。」
「なるほど。中二病患者の増殖だ……。」
「そしてアボット様も患っているワケですね。。。」
「……聞いてるこっちが、めっちゃハズい。」
「アボット様もそういう時期を経て、大人になっていくのですね?」
「卒業できない人もいるらしいけどね。」
微妙に会話が成り立っていないのだが、くだらない会話が続いてく。そしてアボ達の番が回ってきた。
しかし、周りの生徒たちの実力は拙く、的に届かない者やコントロールも定まらない者、威力も低い者ばかりだった。
「アボット様?『俺の左目が…』とか『この左手の呪印を今こそ開放する時』とか仰るつもりですか??」
「いうか!」
「やる時は、ポーズの角度が大事ですよ?」
「どんなアドバイスやねん!」
なぜか関西弁になるアボ。
「中二は魔法と関係ないし。」
「雰囲気は大事ですよ?」
「そんな雰囲気いらん。」
「…残念です。」
「さ、気を取り直してヤンさんランさん、お願いします!」
「「みゃー!(はーい!)」」
まずはランから。水の塊が生成されると、勢い良く飛んで行き、的の板を薙ぎ倒した。
周りの生徒たちが「一撃で?!」と驚愕している間に、倒された的が自動で起き上がり、今度はヤンが空気を圧縮して塊を作った後、射出。砂埃を立てながら的へ激突。またもや的は薙ぎ倒された。
「ヤンさんランさん、やりますね。それでは私も…発現。」
アボはてっきり、エンが炎の塊を生み出すと思っていたが、いきなり的の板が吹き飛んだ。
「え?」
「任意の場所へ発現させただけですよ?」
「これって射出の訓練じゃなかった?」
「失礼いたしました。それでは!」
まだ錐もみ状態で宙を飛んでいた的の板に、今度は“連弾”で炎の塊を当て捲る。まるでM字ハゲの男の様に。明らかにやり過ぎである。
「「みゃみみぇー!(まけないぞー!)」」
今度はヤンとランが水と空気の刃を幾つも作り出し、細切れにしていく。その時間、わずか2秒。
「…やり過ぎだよ。修理代、請求されないよね?」
恐る恐る、講師のいる場所を見ると、あんぐり口を開けて、放心状態だった。
(さっきまでの理知的な貴方はどこ行った……)
心の声が空しく響き渡った。
「明らかにレベルが違い過ぎます!師団級ですよ!ここで学ぶ意味が分かりませんよ!逆に私が教えて貰いたいくらいなんですよ?なんで生徒でここに居るんですか!」
理不尽である。(どちらにとってもだが)規格外のエン、ヤン・ランの魔法は、講師にとって精神的にかなりダメージを追ってしまったようだ。
アボ自身の実力は示さなかったが、代わりに実力を示したヤンとランは、可愛い見た目とは裏腹の「エグい」魔法を披露して的を破壊し、エンも初級レベルとはいえ炎弾を連弾して、それこそ100を超える数で的を破壊した。
講師は、本音では単位は上げるからもう来ないで!と言いたい気持ちだったが、持ち前の真面目さから、そうは言い出せずに胃がキリキリ痛む羽目になった。
もちろん、戦闘魔術を選択している生徒達も、規格外のアボやエンと一緒に授業を受けても首位は望めない。そしてその実力を目の当たりにすれば、恐怖の対象でしかない。
結果的に、アボとエンは戦闘魔術の授業も変更せざるを得なくなった。
エン:私悪くないもん!初級の魔法しか使ってないし!
アボ:かわい子ぶってもダメー!!
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