80話.答え合わせと授業の変更
講師の思惑を読み切っての答えとなったのでしょうか?
答え合わせは↓
80話.答え合わせと授業の変更
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講壇に並べられ、どれが価値があるのかを問われた生徒達。
1.古そうな花瓶
2.風景画
3.宝飾の付いた短剣
4.王国の地図
5.着火の魔道具
6.魔導読本全10巻
7.賢獣フーヴォの置物
8.綺麗な反物5反分
様々な意見が生徒間で飛び交う。講師はその反応を見ながらも無言だ。
「アボット様はどちらだと思います?」
「価値のある物?それとも価値のあるもの?」
「ちゃんと理解されているようですね。」
「そりゃね。」
アボットたちの横に居た生徒は、会話を盗み聞きしていたが、理解出来ていなかったようだ。
そして短い時間だったが生徒たちの目利きも終わり、どれが価値があるか「ざら半紙」書き込み講師に提出した。
講師は提出されたものを仕分けしながら全て見終わると、ニッコリと笑う。
「意見が分かれましたね。多かったのは、宝飾の付いた短剣・王国の地図・着火の魔道具・魔導読本全10巻でしょうか。。」
意見ごとに仕分けた枚数を見ながら講師が、答え合わせを始める。
「確かに価値のある物です。宝飾の付いた短剣も、宝飾それ自体の価値、それに芸術性の価値などもあります。ただ、手に取って見ていませんので偽物かも知れません。
地図も、行商を行う上で必要ですし、軍事的にも利用出来るでしょう。ただ、そこまで詳しく掛かれていませんので、これも微妙です。
着火の魔道具は、魔道具としての価値はありますが、魔道具としての効果として考えれば、やっぱり微妙なんですよね。」
一旦、話を区切ったため、残りは「魔導読本全10巻」となった。選んだ生徒はドヤ顔をしている。
「魔導読本全10巻は……、歴史的に見れば今後価値が出てくるかもしれませんが、現段階では、皆さんが今書かれた「ざら半紙」に書き換えられたものが薄く・場所も取らない・軽量…様々な理由から、価値云々と考えれば、微妙です。」
「内容は?書かれている魔導についての価値を加味したら…!」
魔導読本全10巻を選んだ生徒たちのクレームにも、講師は動じず本をめくって見せる。中身は…何も書かれていなかった。
「中身を確認しました?騙すようで申し訳ありませんが短剣と同じで、見た目だけで判断するから、騙されるのです。」
あきらかに詐欺行為だが、新人が最も騙されやすい為、目利きの授業では、様々な観点から生徒を試そうとしている。
「貴方たちの回答の中で興味深い回答をされた方がいらっしゃいます。」
2枚のざら半紙に掛かれた回答には、大きく『先生』と書かれてあった。
「これを書かれた方はどなたでしょう?良かったら理由を聞かせて貰えますか?」
講師は生徒たちをぐるっと見回すと、アボとエンが目に留まる。仕方なしにエンが答えることにした。
「先ほどの説明では、価値のある物とは仰られなかったので。講壇上で一番価値のあるものと考えると、先生の知識が価値があると思いました。」
「もう一人の貴方は?」
「だいたい同じですね。捕捉するのならば、価値の中に「先生の財産」を加えれば。」
「財産?」
「これ等の物は先生の私物なんでしょ?だったら、先生の資産となります。それ、其の物の価値も含めて、先生の財産と考えれば…。結果はその紙に書いた通りです。」
「なるほど。本来の答え・趣旨とは違いますが、言葉通りの質問の内容を考えれば、貴方がた2人が正解になります。お見事でした。」
完全に引っ掛けるつもりだったのが、見抜かれて負け惜しみで言っているのか、表情からは伺えない。さすがは商売に関することを教える講師だけある。ポーカーフェイスだ。
講師は気を取り直して講義を続ける。
「本来の趣旨のクイズの答えと違ってしまいましたが、貴方がたが気を付けなければならないのは、仕入れをする際、商材の価値を見抜くという事です。
そして何より気を付けなければならないのは、時・場所によって物の価値は変動するという事。この意味は分かりますか?
例えばこの綺麗な反物5反分。いくらだと思いますか?
他の誰も扱っていない、先駆けて販売できる希少なものだったなら?
これが綿など生産していない地域であれば?
生産地の特色が出ている、特有の商品…即ち、出回ってないものならば?
逆に生産地にとってはありふれた商品であったなら?
又は過剰在庫を抱え、すぐにも現金化しなくてはいけない時、そしてその弱みを知られてしまったとき。
考えなければならないことはまだまだありますよ。
それと大事なのは仲介がどれだけ介しているか。仲買がいればその分仕入れが高くつきます。遠方の品であれば輸送コストも嵩みます。
物自体の値段だけでは見えない価値、それを見抜くのは知識、すなわち情報です。
そういう意味では先ほど回答してくれたお2人は、隠れた価値を見抜いたと言えるでしょう。
ですが最初の授業ですから気負う必要もありません。あなた達は、そのためにこの授業を選択し、学ぶためにここに居るのですから。」
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午後から4時間ぶっ通しで行われた商業の授業で、アボはヘトヘトになりながら帰路に着いた。
「どうでしたアボット様?商業の授業は。」
「授業そのものは面白いかもしれないけど、授業の構成としてはどうなのかなぁ?って感じかな。」
「確かに。「流通」を先に勉強しておかないと、あのクイズにも答えが出せませんものね。」
「市場価値についても、「流通」で勉強すると思うんだけど、それを飛ばして目利きしたって意味ないからね。」
「最初の授業としての「掴み」と考えればどうです?」
「悪手でしょ。意味ない時間を過ごしただけだよ。俺からしてみれば。それに付け加えれば「流通」の授業が最悪だった。何なのあの講師!」
どうやら流通を教える講師が気に入らなかったようだ。戦闘技術の授業の講師も大概だと思うが、アボにとっての琴線はどうやら一般とは違うようだ。
そもそもアボの基準はエンとヤン、ランである。その中で、ヤンとランをバカにされたからであった。
元々、テイマーとして学園に通っている為、当然のことながらヤンとランもアボと一緒にいる。
その中で、流通の講師はヤンとランをバカにし存在も否定したのだ。
「商業をする上で行商を含め、仕入れで各地を回る際、護衛を雇うことも多い。その時、テイマーはテイムした魔獣などを使役し、その費用を軽減できる。非常に価値のある存在だが…、
愛玩目的かは知らんが、お前のテイムしているのは役に立つと思ってんのか?見るからに護衛の役にも立たんぞ。テイムの枠を態々埋めるだけの価値があると思えるところが逆に尊敬する。その才能の無さにな!
商業の授業では、金銭を稼ぐノウハウを教えるところだ。態々金を無駄に使うテイムはおススメ出来んな。どうみてもお前、金を稼ぐ才能無いぞ。」
と、ヤンとランの存在ごと切って捨てられたため、プリプリ怒っていた。ちなみにこの講師はアボが『フーヴォの通う店』のオーナーだとは知らない。
その後、オーナーであることを知って土下座して許しを請うことになり、ひと騒動となるのだが…
「では選択授業を変更しますか?」
「変更はまだ可能なの?」
「1か月の猶予期間があったはずです。」
「それじゃ、変更で。最低5科目、週30時間だと何が良い?」
「科目が増えてしまいますがタイガさんキラリさんも選択している戦闘魔術とそらさんが選択した応用魔術はいかがですか?」
「段々、脳筋路線に誘導されつつある気がする。。。」
「応用魔術は魔道具の授業にも役立つと思いますよ?」
「じゃあ、不本意ながら変更しよう。」
こうして商業の授業は止めることとなった。
ヤンとランの存在が薄くてすみません。
今後は活躍?していく予定です。(過去分を書き直す予定あり)
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