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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
第1章 世界会議編
8/93

8話.行商として出発!そして野営

やっと物語が進み始めそうな気配。

あくまで気配。


8話.行商として出発!そして野営



*****~*****~*****~*****



「それじゃ出発しようか」


 エンのコーディネートのおかげ?でそこまで違和感はない恰好になったのではないだろうか。

 ボタンが小枝の様になってる、目の粗い麻のシャツに足先をつぼまらせたガウチョパンツ。革のサンダルを履き、帆布の背負い袋で見た目は旅人のように見えるのだろうか。

 エンも同じような格好だが背中には背負子、その横にはダミー用に樽や反物、鉄製の農具などが積まれた大八車。それぞれ俺にはヤンが、エンにはランが肩にちょこんと乗っている。


 島はいつでも安心して帰ってこれるように、空間障壁を幾重にも張り、外敵の侵入を拒むようにしてある。おまけに空間を歪ませて島の存在を目視出来ないようにもした。


「アボ様。向かう先は、一番近くにあるヒト族の都市でよろしかったですか?」


 この世界には、ヒト族の他に獣人種や木精人種、石精人種・妖精人種・翼精人種・霊精人種といった、こちらの世界にはいない種族も生息している。


「獣人種とか気になるけど、とりあえずはヒト族の都市国家を目指そうか。」


「それでは方角的に北北東に向かって220kmほどに大きめの都市国家がございます。途中の集落は寄りますか?」


「そだね。田舎の集落とか見ながらのんびりと行こう。」


「「みゃん♪(行こー♪)」」


 まずは一気に離島から海岸線に転移する。


「近くに漁村はある?」


「…ありますね。海の幸でもあれば道中で食べても良いかもしれないですね」


「そだね。それにしてもエンが居て良かった。」 


「何がです?」


「何でも聞いたら答えてくれるし。」


 元来、賢獣とは顕現する際、魔力を注ぎ込まれた分だけ、顕現時に世界の知識を吸収できるのだがエンの場合、注がれた魔力が桁外れだったため、この世界での地理、常識、さらには情勢まで、あらゆる知識が詰め込まれていたからだ。


「「みゃうみゃみゅー(エンえもーん)」」


「語呂が悪いです!」



*****~*****~*****~*****



 小さな漁村のようだ。門番はいるが魚を干したり忙しそうにしている。傍にいた犬っぽい生き物がエサを食べていたが俺たちに気づき吠えた。門番も気づいたようだ。


「あんれぇ、行商さんかい?この時期に珍しいもんだ。新参者かい?」


「えぇ、こちらには初めてになります。海の物をいくらか購入出来ればと思い寄らせて頂きました。私、商人見習いのアボと申します、購入に関して、お伺いをお願いします。」


「こんな村じゃ干物くらいしかないが、…商品を見せてもらっても良いか?漁に出てないヤツらが全員来ると思うが。娯楽が少なくてな。」


「ええ構いませんよ。食料品から農耕道具まで色々と仕入れてありますので。」


「そりゃすごい。ここに来る行商は余りもんしか持ってこないからな。

 こりゃポテ!村長んとこいって呼んで来い!」


 ポチじゃないんかーい!っと心の中で突っ込みながら、門番と一緒に村の広場へ案内してもらう。「門番の意味ないだろ」とつぶやくとガハハハと笑いながら


「こんな寂れた漁村の非常事態は嵐の時だけだ。正直、門番の必要性を感じんわ。」


 とまたガハハと笑う。広場に着くと、ポテに連れられた、村長らしき人を先頭に女性陣が集まっていた。



「村長!時季外れの行商の方ですぜ。ってポテも枯れた骨しゃぶるより、こっちにこい。」


会釈で応じ、頭を下げると、目線には村長の足にポテが噛みついてる姿が映った。じゃれてるのか?かなり痛そうだが。村民の女性陣と門番がゲラゲラ笑ってる。


「行商の見習いをさせて頂いてるアボと申します。明るい雰囲気の良い所ですね。」


「村長のタロじゃ。今の時期じゃと一夜干しの干物しかないが後で見てってくれ。それと…」


 後ろを振り向き、ウキウキしてる女性陣を見て、


「良かったら商品を見せてもらってもよいかの?」


 待ちきれないようにウズウズしてる。


「もちろんでございます。見やすいようにこの場所をお借りできれば、広げますので少々お待ちいただけますか?」


「むろん。ここでよいぞ。お願いしますぞ。」


 村長に了解を取り、ベニヤ板で簡易的に組み立てたテーブルを3つ作り、商品を並べていく。

 農耕器具のクワ、竹で出来た竿、女性が喜びそうな反物、木製の小物製品、鉄製のナベやナイフなどの調理器具。商品を並べ終えると、女性陣がキャーキャー言いながら手に取って見ている。その後ろで相手にしてもらえない子供の姿がワラワラと出てきた。


「村長さん、子供って普段は何して過ごしてるんです?」


「うーん?畑の手伝いかの?あとは海岸で貝拾いかの?仕事が終われば駆けっこくらい。なんにもない村じゃからの」


「じゃあお近づきの印に。」


 といってエンに女性陣の応対を任せ、俺は竹で出来た水鉄砲を取り出し、大八車に乗ってる樽の水に突っ込み、充填させたあと、何人かの子供にやり方を教える。


「「「うわー!」」」


 水を掛けられた子供がキャーキャー言いながら逃げ回る。やっぱり子供は元気が一番だな。

 遊びに参加できない物静かな女の子には綾取りを教えてあげる。はにかむ様な笑顔を見れたから成功だろう。


「いいのかい?ここらへんじゃ竹なんて生えてないから高いんじゃないのかい?」


「大丈夫ですよ、子供の笑顔が見れただけで。でも、その分奥様方もゆっくり商品をみれるでしょ?」


「商売上手なお方だね。」


 笑いながら会話をしながらも情報を集めていく。この辺では竹が生えていないなら、竹製品のカゴや釣竿は重宝するのか?など。エンだけの情報では偏りがあるから、どうしても生の情報が欲しくなるのは仕方がないだろう。

 ちなみに値段設定はエンに任せてある。なにせこちらの常識が無いのだから。ただ、複製で魔力は使ったが元手は“ただ”だからかなりお安くするように言ってある。流通の滞った田舎で、商品不足にあえいでいる村民達に暴利を貪るつもりがないからだ。


 結局、高めの商品クワなどは村長が少し購入し、反物などは高くて誰も買えなかったので、端切れとして売ることにした。とても好評だった。なにせ布自体が高級品で、しかもこちらの縫製技術はとても低い。『王都で今流行りの布を特別に』と言って格安にしたら、とても好評だった。

 そして意外に売れたのが砥石だ。海の近くだから錆びやすいのか?とりあえず20個ほど、刃先のラインを整え微調整しやすい「中砥石」を出しておいたが瞬く間に売れてしまった。


 元々田舎の漁村では貨幣よりも物々交換が主流のようで、村外で外貨の獲得か行商以外にそれほど必要としない。村民の中では手持ちの貨幣が少なく、物欲しそうに見ているだけの人もいたので物々交換に応じたら、仕入れる必要がないほど、干物が手に入った。これには村長も苦笑いしていたが、予定のない時季外れの行商ってことで勘弁してもらった。



*****~*****~*****~*****



 漁村をあとにして、再び旅に戻る。王都に向かう街道に出るも、まだ200km近くある。主流の街道ではないので宿場町もない。当然野営となるのだが現在、夕方近くになり夕食には少し早い時間だ。街道を二人で大八車を曳きながら、今日の夕ご飯の用意をする。簡易竈の上でダッチオーブンで料理をしよう。

 火事が怖いので大八車の手前で調理してダミーの荷物は後ろに固めてある。大八車の車輪が2本なので揺れが出ないよう(主にエンが)気を付けて曳いている。

 もっとも竈を空間固定・空間遮断をしているので揺れもしないし火事になることもないのだが。


「初めての旅だし、初日から料理しないってのも味気ないからなー。ま、簡単なものしか作れないけど。」


 鶏を丸ごと使った料理だ。まず丸鶏に胡椒を振って馴染ませ、その間に細かく刻んだタイム、ローズマリーと塩、卵白を入れて握れるくらいになるまでよく混ぜる。

 丸鶏を入れてローリエを載せ、塩で全体を覆い固め、塩釜の完成。ダッチオーブンを焚き火にかけ、1時間程焼けば出来上がりだ。

 ダッチオーブンは二の上にも炭を置いて上下で熱を加えれるのが良い。


「そろそろ出来上がりだから今日はここで野営をしよっか。」


 街道からちょっと外れたところにテントを張ろうと思う。地面がガタガタなのは落ち着かない。空間固定でテントの台座を作る。怪しまれないようなこっちの世界でもあるようなテントをストレージから取り出す。次回から人目が無ければテントを張ってある状態で出しても良いが今日は初めてだから最初から行う。


「ペグが刺さらない!って空間固定してるから当たり前か。」


 若干、エンの呆れた目が見えた気がしたが気にしない。ヤンとランはテントの周りをはしゃぎまわっている。役に立たない。エンに土魔法でカマクラのようなものを作ってもらった方が良かったか?まあこれも旅の楽しみ方かなと、勝手に解釈しながら作業する。

 四苦八苦しながら、何とかテントを張り終え、やっとご飯の時間だ。大八車からダッチオーブンを持ち、テントの前に持ってくる。エンが土魔法で座るところなど作成してくれた。魔法って便利。

 ダッチオーブンの蓋をあけ、ちょっぴり焦げた塩釜を全員でのぞき込む。トンカチで割ったところで、湯気が立ち上り美味しそうな香りが食欲をそそらせる。

 塩を剥がしていざ実食!


「場所によって塩辛い!なんでムラがあるんだ?」


「でも美味しいです」


「「みゃみゃー(おいしーよー)」」


「でも喉が渇く。キャンプで定番の丸鶏の塩釜作ってみたけど、有りよりの無しだな。」


「流石に毎日は辛いですね。」


「「みゃうみゃう?(毎日でもいいよ?)」」


好き嫌いの無いヤンとランにちょっとほっこり。


漁村で手に入れた干物を七輪で炙りながら、手には辛口の日本酒。旅を始めて初日の夜が静かに過ぎて行った。






干物大好き。七輪で炙りながらの日本酒。。

それだけで1話欠けそう。。。書かないけど。

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