79話.目利きの基本は?
みんなでワイワイしながらピザ窯でピザを焼くのも良いですね♪
感想、誤字・脱字報告ありがとうございます。
79話.目利きの基本は?
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戦闘技術の授業も終わり、食堂でエンや渡り人たちとお昼ご飯を食べている。何故かセガルルトもちゃっかり同席している。
同席は、百歩譲って構わないのだが…王族が平民のクラスに来るのは止めて欲しいとお願いしたら(お付きの者も激しく同意)セガルルトも譲歩し、食堂でみんなと一緒に食べることとなった。
「アボットさんこちらの食べ物は…?」
セガルルトが不思議そうに尋ねて来る。
「おにぎりというものです。」
「?」
「お米……穀物の食べ物ですよ。渡り人の皆さんには馴染みのある食べ物らしくて、教えて頂きました。」
「やっぱ、日本人はコメがソウルフードだしな!」
「ソウルフード…ですか。」
「お米単体ですと、繊細な味ですので好みも別れると思うのですが、腹持ちも良く、仄かな甘みと粘りが個人的にはとても好ましく感じられる一品ですね。」
「ほんと、食べ物だけをとっても、賢獣様の恩恵が身に染みるわー。飽食の日本からこっちに来た時、最初に絶望したのが食事だったし。」
一瞬、セガルルトの顔が歪む。何気なく、キラリが語った“食事”。別にこちらの世界の食事を卑下するつもりは無かったのだろうが、それだけ、食生活のレベルが低いことをぞんざいに語っていた。
「ちょっと言い方!こっちの世界のアボットやセガルルト様も同席してるんだから。」
「ははは。。。別に構わないですよ、事実ですから。皆さんには『フーヴォの通う店』で食生活の向上に、勤めて貰っていますし。…して、こちらの食べ物の販売予定は?」
「こちらは、日持ちの問題と、販売できるだけの量が確保できない理由から保留となっております。日持ちに関してはパンと同じで消費期限を過ぎたら自己責任で片付くのですが。。。量に関してだけは如何ともし難く。」
「それは残念です。」
「でも、もう少ししたら、新商品も販売致しますよ?良かったら召し上がります?」
「是非に!」
エンが取り出したのは、スイートポテト。お付きの者に、毒見をさせると、一口食べた瞬間、驚愕の表情に。
俺たちの食事にだいぶ慣れてきたと思っていたが、お付きの人との付き合いは、“まだまだ”だったらしい。叫びださないだけマシにはなったけど。
フリーズから立ち直ると、とろける様に恍惚な表情で職務を忘れてしまっているお付きに何とか許可を貰ったら、セガルルトの前にスイートポテトを一つ、お出しする。多少口の仲がパサついてしまうと思ったのか、我に返ったお付きの者が紅茶を入れてくれた。
「これは…美味しいですね。」
お付きの人も紅茶を全員に振舞ってくれ、エンも渡り人3人にも一つずつスイートポテトを配っている間に、セガルルトのフライング&感想←今ココ。
「え?ちょっと待って。これ販売すんの?俺聞いてないんだけど。」
「私も!」
「この前、賢獣様から提案があったばかりですからね。試行錯誤の最中なんです。何と言っても原材料が高くて……。」
「そりゃ砂糖や卵を使ってるしね。」
「え?そらって材料とか知ってるの?」
「多少はね。でも分量とかは覚えてないし、手順もうろ覚えだよ?」
「やっぱり知識チートは小説の中だけだよなー。」
「そりゃそうよ。向こうの世界での洗練された食材や道具も無いんだもん。こっちの食材は品種改良もされてないし、例えレシピを知っていたとしても、向こうと同じように調理したら、きっと違う味になるはずよ。計量スプーンや計量カップも無いんだし。」
「納得だわ。」
「私じゃ計量スプーンや計量カップがあっても作れないけど」
「あれ?キラリって意外と器用そうと思ってたんだけど、無理くり作れないの?」
「『フーヴォの通う店』のキッチンを使わせてもらえば別だけど、一般の家だったら『竈』だよ?火の加減とか絶対無理!」
「弱火にするのに、薪の量で調整するとか至難の業よね。」
何を他人事と、と困り顔でエンが現実を突く。
「んー。それは後々困りますね。皆さんもいつかは店を卒業されますし?」
「「「え?」」」
「永久就職じゃなかったの??」
「見捨てないで!」
真顔でいうアボットに、渡り人達も愕然となる。
「元の世界に戻れなかったら、の話ですけど…いつかは独立して所帯もお持ちになるでしょう?」
「「「「……」」」
いきなり現実を突きつけるアボットに何も言えなくなる。
「そうです!火の加減に慣れる為に、皆さんでピザでも焼いてみます?」
「「「「ピザ?!」」」」
「中庭にピザ窯でも作って。どうでしょうアボット様?」
「竈よりピザ窯の方が、火の扱いは楽かな?」
「それでは今度の休みの日にでもピザ窯を作ってみましょうか。」
「「「賛成!!」」」
「もちろん、セガルルト様も都合が着きましたらの話ですけど。」
「…私も宜しいのですか?」
「ピザ窯も含め、王国管理でレシピを公開されても構いませんよ。」
「立て続けに賢獣の恩恵を賜れるのは嬉しいのですが、他国のヤッカミが怖くなりますね。」
若干の引き攣った笑いのセガルルトに、「自重して!」と副音声が聞こえた気もするが。。。ま、関係ないかとスルーすることにした。
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午後になり、長丁場になる商業の授業。何せ4時間の講義となるので終わるのは5時過ぎ。退屈な時間となるかと思っていたが、意外とそんなことにはならなかった。
「まずあなた方の中で、いつかは自らの手で商売を始めようと思う方も多いと思います。また、家業でお店を継ぐ方も一定の割合でいらっしゃいますね。
その中において、商売をするという事は、対価を貰い、金銭を得るという事です。そこで大事になってくるのが金銭を得るための『商品』と言うことになるのですが…。
そこのあなた、貴方にとっての『商品』とは、何を指しますか?」
「え、えーと。最近流行りのパン!」
「そうですか。食べ物という商品ですね。正解です。そして皆さん!今、この方が言ったことが最も本質を突いていることに気付きましたか?」
「?」
「本質とは、「欲している」と言う事です。それが今なのか、未来の事なのか…。それを見極め、仕入れることが商人の資質にも繋がってくるのではないでしょうか?
そう考えると、商材は多岐に渡ってきます。己の得意分野を、嗅覚を養う訓練を重点的に伸ばしていてれば、きっと路頭を迷うことは少なくなるでしょう。」
え?
無くなるじゃなくて少なくなる?
理解に苦しむ生徒たちに商人特有の笑みをしながら、講師は話を続ける。
「得意分野を伸ばしても、競合が多いと中々芽は伸びませんしね。すでに販路を持っている方は別ですが、競合が多い所に新規参入するというのはお勧めしません。その時点で嗅覚が鈍っているまたは才覚が無い、もしくは他者を圧倒できるほどの商材を手に入れたのどれかになります。
もっとも、その商品も他者に奪われる、乗っ取られる、潰されるなどの邪魔も入りますし、中々難しい物ですが。」
一旦、言葉を区切って生徒全員を見回す。
「さて、暗い話をしても先には進めません。今言ったことを回避する術もお教えしますし、明るい未来も見ながら進めていきましょう。
さて、今日はこの授業の初日でもありますから、簡単な目利きの方法を実物を交えながら勉強してまいりましょう。」
講師は、そういうと、講壇にいくつかの物を出す。
「目利きとは、言葉を変えて『具眼の士』と私たちは申しております。他にも『活眼の士 』 『慧眼の士 』 『達眼の士 』 『炯眼の士』 なども言いますけど、要は“物事の本質を見抜き、是非・真偽などを判断する見識をもっていること”と言う事です。
さて、唐突ですがここでクイズをお出します。私の私物ではありますが今、ここに幾つかの並んでいるものがありますが、貴方が思う価値が一番高いと思うものはどれでしょう?」
ニコニコと講師が横一列に並べた商品?を、講壇から生徒たち全員に見えるよう、横にズレて、商品を入れていたカバンを退け、全員に商品が見える様に横に立って問いを出した。
1.古そうな花瓶
2.風景画
3.宝飾の付いた短剣
4.王国の地図
5.着火の魔道具
6.魔導読本全10巻
7.賢獣フーヴォの置物
8.綺麗な反物5反分
Q.一番の価値のあるものは??
A.フーヴォの置物(笑)うそです
続きが気になると思って頂けた方は
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