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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
第3章 異世界学園編
77/93

77話.戦闘授業はテンプレの予感?3

エンさん無双がはっじまっるよーー!


77話.戦闘授業はテンプレの予感?3



*****~*****~*****~*****



 “ボフッ”と鈍い音がする。何かゴムの塊を殴ったような、そんな音。

 木剣とはいえ全力で顔面を攻撃したのに、よろけることも無く平然とした表情である。


「…それで終わりか?もっと生徒に“見本”となるように攻撃してくれないか?」


 ガースは冷めた視線を向け、木剣を握りしめたギャンクライを挑発する。



 最初は、生徒がガースに“闘衣”の訓練として攻撃する予定だったのだが、無抵抗でAランク冒険者を甚振れるとあって、見本を見せる!とギャンクライがガースに殴り掛かったのである。

 しかし、そこは流石Aランク。何度木剣で殴っても揺るぎもせず攻撃を受け続けている。


「役者が違うね。」


「あの程度の“闘衣”では…。」


「でもあの講師は騎士団にも所属してたんだろ?あまりにもお粗末過ぎないか?」


「騎士団自体のレベルが低いのでは?」


 たかだか5分ほどの連撃で、肩で息をするくらい疲れた様子の「残念」なギャンクライを見ながら、アボとエンの会話は続く。


「ガースさんの“闘衣”もそこそこですが、揺らぎがありますし上手くそこを突けばダメージを負わすことも出来ると思うのですが…」


「ダメージを負わすことが目的じゃないからね?」


「“闘衣”の訓練なんですよ?指摘という名の教育ですわ。」


 Aランクの冒険者に対しても辛辣な言葉のエン。どっちが講師だよと、思わないでもないが、それを言うだけの実力があるのでアボとしては特に疑問にも思ってはいなかったが、周りはそうではない。


「え、エンリさん?あの“闘衣”をつかった攻防が分かるの?」


 おそるおそる、タイガが目の前で行われているガースとギャンクライの攻防を見ながら聞いてきた。


「タイガさん、目に魔力を纏わせながら見るのです。慣れてくれば弱点を突くことも出来ますし、相手の攻撃箇所を特定して、魔力を多めに配置することでガースさんの様に無傷で攻撃を受け続けることも可能になりますよ。」


「そんなこと可能なの?」


「あの程度の相手でしたら、造作もないことですよ?現にガースさんも出来ていますし。」


 会話が聞こえているガースは苦笑いしている。しかし賢獣と分かっているガースやアボはともかく、その他の人間についてはそうはいかない。「何様なの?」「Aランクを舐めてんのか!」「知り合いだと思って馴れ馴れし過ぎる!」など、冒険者に憧れる生徒たちにとっては気に食わない。

 それ以上に馬鹿にされているギャンクライは、怒り心頭である。


「そこの生徒!前に出ろ!!」


 ギャンクライがエンとアボに向かって言い放つが、名前を言われている訳でもないし(ガースが最初、名前を知っていた様に参加生徒の名簿は配られている)事実を言って(煽ってはいる認識はあるが)状況の説明をしていただけなので、呼ばれる理由も分からない。


「何をグズグズしている!そこで無駄口を喋ってた3人!」


 流石に特定されてしまったら前に出ざるを得ない。しかし安定のエン&アボは


「あら、言い過ぎましたかね?」


「プライド高そうだしね。本当の事を言われて傷ついたんじゃない?」


「何、煽ってんだよ!」


 いつの間にかタイガがツッコミ役となる怪現象まで発生している。


 仕方なしに、ギャンクライ達がいる場所まで行くと、こめかみの青筋が浮き上がるほどの怒りを抱えた表情でギャンクライが待っている。そしてガースは『やり過ぎないでくれ』と言わんばかりの表情だ。


「…何故呼ばれたか分かっているか?!」


「あまりにも稚拙な“闘衣”を見せつけられ、辟易としていただけですけど?」


「エンリ?ワザと幼稚な“闘衣”を見せることで、反面教師として見せてんだよ。そうでなければ、騎士団にも所属した経験もあり、騎士育成の講師でもあったギャンクライ先生があんな拙い“闘衣”モドキなマネするわけないじゃん。」


 漫画で出てきそうな劇画タッチの様相で驚くフリをするエン。


「そうだったのですか?!てっきりあの程度で満足している最底辺のザコかと思っていました。ギャンクライ先生!失礼しました!」


 ただ貶すだけとなったアボとエンの会話に言葉を失い、わなわなと怒りで震えるギャンクライ。


「…それだけ生意気な口をほざくんなら、よっぽど自信があるんだろうなぁ?」


「どこかの最底辺の“闘衣”で自慢している人に比べたら、ですけど。」


 思わずカッとなり殴り掛かろうとしたが、ガースが間に滑り込み、未然に防いだ。


「…言い過ぎだ。エンリ。」


 ガースも流石に講師に対しての発言としては如何なものかと、注意した。


「そうだよエンリ。一応(・・)講師なんだし。きっと僕たちには想像もつかない深い考えの下、考えて“闘衣”モドキの演技を演じてくれてるんだよ。」


 ガースが止めようとも煽ることを止めないアボ。


「そこまで言うのなら本物の“闘衣”とやらを見せて貰おうじゃないか!」


 ギャンクライの怒りが頂点にまで達したようで、アボとエンに対して見本を見せろと言い放った。

 逆に言質を取ったとほくそ笑むエン。


「それでは、ワザと拙い闘衣を披露した、実は高レベルの闘衣を扱える先生に、お見せできるレベルの闘衣ではないかも知れませんが、私の採点してもらいましょうか。」


 あくまでも煽ることを止めないエン。しかしエンの正体を知るガースにとってはヒヤヒヤ物である。


「それでは俺が直々に採点してやろう。反撃出来るものならしても良いぞ?お前の言う本物の“闘衣”を見せてみろ!」


 ギャンクライは木剣を上段に構え、裂帛の呼吸を持ってエンに襲い掛かった。


 ギャンクライの剣筋は、上段からの頭部への攻撃。そのまま受ければ、闘衣を纏っていなければ、頭が爆散する勢いの攻撃であった。が、エンは左足を大きめに一歩、斜め右に足を出し、背中を見せる形で木剣を後頭部を掠らせるような避け方で避けて見せた後、背後にいるギャンクライに対して、腰を落としながら背中をぶつける。それは向こうの世界の拳法に出てくる貼(鉄)山靠の様な技だった。


 そしてその技は、相手を吹き飛ばすのではなく、腰を落としながら相手を下に叩きつける投げ技のようでもあり、ギャンクライは地面へと、つぶれる様に崩れ落ちた。





「て、鉄山靠…」


 タイガの呟いた言葉が、静かな修練場に響いた。






無双と言いながら一撃で終わってしまった。。。

しかしまだ終わらないよ、エンさん無双!!


続きが気になると思って頂けた方は

是非★★★★★のエナジーをお願いします。




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