74話.アボの授業風景2
魔道具の授業がほんとにあったらたのしいだろうなぁ。。。
74話.アボの授業風景2
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午後は魔道具の授業だ。簡単な魔道具の歴史と、今まで発明された魔道具の中で凡庸だが使い勝手の良い『灯りの魔道具』や『着火の魔道具』など、生活に寄り添った魔道具の説明から、専門性の高い『鞴の魔道具』(鍛冶専用)、魔獣の毛から糸を紡ぐ『自動糸紡ぎ機』などを実物と共に教えてもらった。
これは当たりの授業かもと素直にアボも喜んだ。意外にこういう形での勉強は興味を引くし飽きが来ない。専門的な魔道具には、支援系の魔法適性が必要らしいが、適性が無くても魔法陣を刻むことが出来れば、効果を発するようだ。
生徒はほとんどが支援系の適性を持つ子か、親が魔道具を生業にしている職業についている者、魔道具師の居ない辺境など、自身が魔道具の修理が必要とされる者などが授業を受けているようだ。
これから基礎を学んだ後、実際に既知の魔道具の作成や、最終的には自分で考えたオリジナルの魔道具を作るのが目標らしい。
すでに電子回路を魔力回路として作り上げてしまっている俺が言うのもなんだが、そんな簡単にオリジナルなんて作れるのか?
魔道具の原理としては『灯りの魔道具』の場合、魔石に光属性の魔力を付与するパターン(光適性自体が希少の為、滅多にお目に掛からない)と、魔法陣を作り動力として魔石を使う方法や“灯り”の概念を付与(又は刻む)する方法(アボの場合はこの方法)があるのだが、一般的には魔法陣を使用する方法が、コスト的にも作成時間的にも推奨されているらしい。
「魔法陣も一種の回路としての役割って事か。」
「効果の発現方法として考えれば、合っていると思います。例えばこの灯りの魔道具には、カンテラ内部の底の部分に魔法陣が刻まれています。ここに魔石を入れると、カンテラの発光体が光る構造と魔石自体が光る構造の2種類がございます。
これは。動力としての…つまり電池としての魔石と、電池と電球の両方の役割を持つ魔石という訳ですね。光度は後者の方が高いですが、その分高度な技術を要します。当然お値段も。
こちらの魔石を電池として使用する魔道具の方が、光度は低いですが安価なので、一般家庭には前者の魔道具が普及しています。」
「ギミックとしては電池のみの方が、技術的に高いと思うんだけど。」
「パッと見はそうですけど、魔力を流してカンテラを光らせる一方通行の魔法陣と、魔力を流して折り返して、魔石を光らせる魔法陣と考えると?」
「最低でも2倍の労力が掛かるから値段が高くなるってことか。」
「その通りです。光属性の魔法適性の者が作れば、一歩通行で魔石を光らせることが出来ますので、安価になりますけど、中々使い手がいませんので。。」
「なるほどねぇ。じゃあ着火の魔道具とかは適性の人も多いし安価なのかな?」
「魔石を直接燃やしてしまうと火傷をしてしまうので、魔道具として売られているのはお高いですよ。一般には『耐火グローブ』で火傷しない様にして魔石を燃やすのが楽で安いので。」
「確かに、納得だわ。」
初日という事もあって簡単な説明と現物の観賞で、あっという間に2時間が立ってしまった。
「明日は戦闘技術の授業ですね。」
「ちょっと憂鬱。」
「アボ様は戦闘経験がまるでありませんものね。」
「渡り人3人にも言えることだけど、こっちの世界は割と物騒だから、護身のためにも必要なんだろうけどさ、こっちは“ずぶの素人”だし、なるべくなら遠慮したいんだよな。。。とりあえず、今日のところは帰ろ。」
「承知いたしました。」
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「あー明日が憂鬱。」
「どうしたの?」
営業時間も終了し、店の精算業務を行っている時、ふと呟いたアボの言葉にそらが反応した。
「明日の戦闘技術の授業がね。」
「あぁ。アボットは戦闘技術の授業を選択したのね。タイガと同じか。」
「護身のためにもって選択したんだけど、失敗したかなって。」
「見るからに戦闘は苦手な感じがするもんね。」
「正面切っての戦いは特にね。搦め手なら多少はマシだと思うけど。」
「授業内容が分からないから、断言はできないけど…戦闘だって、支援系とか妨害系の役割はあるでしょ?そっち系を目指したら?」
「それは考えたんだけど、純粋な護身技術が欲しいからって思ってて。でも技術が拙いから、付いて行けるか不安で不安で。」
「それを言うならタイガの方が深刻じゃない?魔石のおかげで年齢相当の体力とか筋力は持つことが出来たけど、それだけだもん。こっちの殺伐とした世界で生きてきた人達と比べたら、全てが甘々だから現実を突き詰められたのを見たら…、きっと私笑っちゃうわ。」
中々に辛辣な事を云うが、俺もタイガと同じで転移してこっちの世界にきてるから。同じ日本人だよ?特に格闘技の経験も無いし。
「アボット様は戦いとは無縁の世界で生きてきましたから。まあ、私が過保護にし過ぎた点も否めませんが。」
「そういえば、エンリさんとアボットの関係って、ちょっと不思議な感じがするのよね。アボットって、良いとこのお坊ちゃん?」
「ふふふ。確かに私はアボット様の従者として、今はお側に付いています。そういう意味で言えば、お付きのいるアボット様は一般の平民とは違うと言えますね。」
「この店を任されている時点で『一般の平民』ってカテゴリーから外れてるのは間違いないんだけど。上手くはぐらされたってことは、言いたくないか言えない事情があるのかな?」
「まぁそんなところ。でも高貴な生まれじゃないことは確かだよ。かといって別に、どこかの貴族の落胤って訳でもないし。」
「それでも賢獣様との友誼がある存在なんて。。。」
「それ以上は、踏み込まない方が良いよ?他人のプライベートに踏み込むのは相応の覚悟も必要だし。」
別にそこまで重大な秘密でもないのだが、自身のスローライフの為なので、敢えて匂わす様な言い方で煙に巻いておこう。
「そ、そうね。私らしくもなかったわ。…危ない橋は渡らない主義だし。」
勝手に判断してくれたようだ。タイガやキラリだったら、構わず踏み込んでくるだろうし、そういう意味ではこの子は気楽に接することが出来る。
さて、今日の集計も終わったことだし、拠点で明日の準備でもしようかね。
次回は戦闘技術の授業ですが、テンプレが起こるのでしょうか?
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