71話.ついに学園入学!
学園よりもお店のボリュームが多くなってしまいました。。。
71話.ついに学園入学!
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オープン初日は、怒涛の連続だった。まずは王族、なんでセガルルトが直接買いに来るんだ?一応、気を使ったのか馬車は遠くに止めたらしく、歩いての買い付け。
当然、護衛を伴ってだから他の平民たちは腰に下げた剣に恐れをなす。全く邪魔な存在だった。
ところでこちらの世界では、開店の祝い花の習慣が無いらしく、シャーヤとコウキが作ってくれた花壇?ガーデニングだけだと、物寂しく感じて祝い花を飾りまくった。
地域にも依るかも知れないが、俺の住んでいたところでは、オープンの祝い花は、お客さんに持ち帰って貰う習慣がある。なんでも、祝い花がすぐに無くなると、それだけ来客があったという、縁起が良いとの理由らしい。
店内の采配はエンに任せ、俺とタイガは入り口の規制や順番待ちのお客さんの整理に追われた。
流石に、賢獣の恩恵足る「パン専門店」という事で、不満はあれどケンカ騒ぎなどが起きなかったのは幸いだった。値段もそこまで高くしなかったため、平民も多くの人が来客した。最も貴族(王族)であろうと贔屓や差別もしない店なので、みなさん平等に並んでもらった。最も、差別と区別は違うのでルールを守って頂けない方には退場して頂いている。
店内でフーヴォが嬉しそうに試食していれば、そこまで横暴な態度は取れるはずもないのだが。そして朝・昼の忙しさも一段落して裏の住居スペースのリビングで休憩。
「やっぱり個数制限して正解でしたね。買い占めたい貴族の使いの方など多くて、販売よりも、そちらの手間の方が手古摺りました。」
「セガルルトにも毎朝、王城まで届けて欲しいって言われたよ。」
「王族って朝食はパン派なの?」
「その前にパン自体が存在してなかったんだし。」
俺たちの会話に、渡り人のタイガやそらも参加する。キラリはまだ店内だ。一応、暇を見ながら交代で休憩を取るようにしているのだが、俺たちが学園に通いだしたら、5人も減る形になるし大丈夫だろうか?
「入学する頃には、ある程度落ち着くのでは?」
「それか、午前中だけとか午後は少し遅めって感じで営業時間を区切ってしまえば?」
「それも良い案だねぇ。」
「もう少ししたら来客の頻度も見えてくるでしょうし、営業の時間帯を決めるのはその時でも宜しいのでは?」
「そだね。」
「それにしても、凄い客の数だよね。」
「個数制限があるから、使用人全員で並んでる貴族とか居るもんね。」
「定期宅配の交渉とか、こんなに忙しくて出来るワケねえのに頼んでくるしな!」
「冒険者ギルドに孤児院の子らのお使いクエストでも出す?」
「途中で盗まれそう。。。」
「賢獣様の美味しい食べもんだし。みんなが欲しがるパンだもんなー。治安が良いとか悪いとかの問題じゃねえもん。」
「そこも問題だよね。」
「もう少し認知と普及がしてくれば、変わるのかも知れないけどね。」
「でも定期宅配のシステムが出来れば、混雑も少しは解消出来るんだけどねぇ。」
「アボット様?行商の時に使った大八車を、店の看板を目立つように改造すれば、だいぶ抑止力になりませんか?」
「あれ?アボットさんって行商もやってたの?」
珍しく、エンの失態だな。みんなと一緒にいるときに個人情報を晒すなんて。でもこの程度なら問題ないけど。
「まだ両親が生きてた頃ね。」
「…ごめん、そういうつもりで聞いたんじゃなくて。。。」
こういう言い方すれば聞きづらくなるよね。何とか話を逸らせたかな?
「別に構わないよ。それより、エンリ。大八車の案!上手く行くかな?」
「各家庭や貴族の家格によっても買う量が違ってくるので、こちらでセットのような基準を決めてしまえば計算も、配達も楽になるのでは?」
「Aセットが3つとかBセットを1つとか配達する方も分かりやすいかも。」
「客の我儘を聞くと際限ないから、こちらで指定するのは良い案だね。」
「ただ、この案は冒険者ギルドに持って行くか、商業ギルドに持ち込んだ方が良いのか悩む案件ですね。商売として成り立ってしまうので。。。」
「まあ、こまったらセガルルトに丸投げしちゃえば良いんだけどさ。」
「…アボットさんって、王族も扱き使うんだね。。」
「賢獣様のバックボーンがあるからね。」
「それにしても、いとも簡単に顎で使うのが恐ろしい。」
「胃袋を掴まれた時点で、諦めているのでは?」
「使い方が何か違うと思う。」
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早速、セガルルトに相談?し、今回は孤児院の救済も兼ねて、冒険者ギルド経由で頼むことにした。大八車を何台か用意して、店の看板を複製した物を取り付け、抑止力とした。
そして攻撃的な意思で大八車に手を掛けたら、電気ショックの刑に処す魔道具を取り付けて、配達をしてくれる子たちにも自衛の手段をいくつか持たせた。
宅配の準備が整い、ビラを来店時の貴族やその使用人に渡して、申し込みの受付を開始すると、王都に居るほとんどの貴族に注文を受けた。配達の子たちの安全も考え代金の受け取りは控え、先払いにさせてもらい、1週間単位の配達業務をギルドを通じて孤児院に依頼。朝早くの業務になるが、孤児院も喜んで受けてくれた。
もちろん、『フーヴォの通う店』の一員として制服……はサイズが無かったので、似たような統一感のある服を渡して自覚を促すことも忘れない。
配達システムのおかげで、混み具合は、だいぶ緩和した。でも、忙しい時間帯は仕方がないね。そこは従業員に頑張ってもらうしかない。もちろん給料で還元するから。どうせ元手も俺の魔力だけでタダみたいなもんだし。ぼろ儲けだからね♪
これで俺らが居なくても、何とか店が回るかなー?
「それじゃあ、従業員には悪いけど、明日から学園に通うので、渡り人3人と俺らは平日、居なくなっちゃうけど宜しくね。」
「「「「「はい!畏まりました!」」」」」
「渡り人3人については学園のカリキュラムにも依るけど、学園が終わったら店の手伝いを。給料分は働いて。」
「仕込みが無い分、楽させてもらってるから、その分頑張るわ。」
「どこから補充されるのか未だに不思議だけど。。」
「気にしたら負けだぜ!」
「…何に負けるのかしら?」
そらの呟きはタイガの耳には入らないようだ。ま、入ったところで誰も答えは見つからない気もするけど。
とりあえず今日の営業も終わり、お金の清算も済ませ、各自、楽に過ごす。俺とエンは通いの為、拠点へ戻った。
「エンさん?ちょっと聞きたいというか、相談があるんだけど。」
「何でございましょう?」
「この間話してた、パピルス紙の代わりになるわら半紙のことなんだけど。」
「あぁ、稲わらが無いので「ざら半紙」にして納品した件です?」
「そうそう。一応作り方と、学園で使える様にって大量にセガルルトに渡したじゃん?あれって問題になってない?」
「問題どころか、かなり感謝されていましたよ?いままで木版や砂板を使っていたのが、紙で書いて、持ち帰ることも出来る様になるって。」
そう、パピルス紙も生産に時間と手間が掛かるので、普及率はそれ程高くない。平民は木版や砂板を使って書いては消したりして、覚えるしか方法が無かった。しかしアボのざら半紙の納品のおかげで、これから書籍関係も含めかなりの発展が望まれると、工場を作り大々的に生産を始めている。
「まあ教科書の作成までは間に合わないよなー。」
「印刷技術も乏しいですしね。」
「ちなみに明日持って行くものは?」
「筆記用具は学園に通う者には支給されるそうです。ノートについては先ほどのざら半紙を活用して支給。必要なのはお弁当くらいですかね。食堂もあるようですけど。」
「制服とかないの?」
「有料でございますけど、平民はほとんど着ませんね。最も、学ぶ教科によっては専用の服に着替えることもあるようですが、その場合も基本、後ほど支給されます。」
「あっちの世界みたいにカバンとかは必要ないんだね。」
「ですが今年から復習の為、ノートを持ち帰る用の袋は必要かもしれません。」
「…なるほど。ま、必要ないなら良いか。明日に備えて今日はもう寝ようか。」
王国も、ほぼボランティアで学園を運営してるんだなーと思いながら、ベッドに横になった。
朝になり、いよいよ学園入学の日だ。ちなみに学園の正式名称は、
『王立育成高等学園』といい、学びたい意思のある15~18歳までが通う学園である。
低年齢層向きの学園もあるが、平民はほとんどがそこを卒業したら就職や親の手伝いをするなどして、勉学からは卒業となる。もっと高度な、専門的な勉学に勤しみたい者が通う為の学園。
そのため、専門性の高い授業は選択制となり、学びたいものが選ぶ方式となっている。人気のない授業によっては数人しかいない、又は人気のある授業では100人規模になる授業もあるらしい。
今年は新入生が貴族も含め5クラス、200人ほどの入学者人数だそうだ。講堂の様な所に集められ、新入生代表としてセガルルトが挨拶の壇上に立っている。
セガルルトってホントに15歳だったんだね。3年生代表の挨拶はガララントだった。元気になったみたい。でも前と雰囲気がちょっと違う。傲慢さが少し無くなったような?ちなみに生徒会みたいなのはあるのかと思ったら無いみたい。
そりゃ、そんな制度があったら、王族がいる年は大変になっちゃうよね。ただでさえ公務があるのに、それ以外にも仕事を押し付けられたら問題が起きてしょうがない。
そんなこんなで、指定された平民の基礎学力クラスに、アボットとエンリとして教室をくぐった。
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