60話.常識?非常識?11
考えてみたら、セガルルトは15歳なんですよねぇ。。。
60話.常識?非常識?11
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「ほ、報告致します!」
「どうした?」
アボやセガルルトが休憩&打ち合わせをしていると、渡り人に付いていた侍従が駆け込んできた。
「先ほど、渡り人殿たちの部屋にガララント王子が!」
「…余計な事を!国王より近づくなと言われていたはずなのに!」
荒れるセガルルト。流石にこの展開は、俺も読めなかった。
「せっかく纏まりかけて来たのにねぇ。」
「ガララント王子の目的は何だろう?」
「希少な魔法適性?」
「渡り人の異世界の知識?」
「…単に物珍しさの気がする。。」
「否定出来ない処が、同じ王族として恥ずかしい限りです。」
「ちなみに第1王子のバックは?」
「教会も含め、まだ確認は取れておりません。」
「うーん。…目的もはっきりしないから、出たとこ勝負になっちゃうけど、行くしかないか。」
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渡り人のいる部屋には第1王子、そして取り巻きの宰相の次男のジェームス、騎士団長の嫡男のバッカスが訪れていた。
我が物顔で押し入り、テーブルに残っていたジェノベーゼパンとグリッシーニを見つけ、渡り人との対話が目的だったにも拘らず、当初の目的も忘れ貪るように食べている。
その姿はとても王族・高位貴族には見えない所業であるが3人達は然程、気にしていないようだ。それよりも物珍しい食べ物に「これは新たな賢獣様の恩恵か」「フーヴォ様と契約して恩恵を賜ったのだろう」などと見当違いの話をしている。
粗方食い散らかした後、グレープジュースも奪い取り、グビグビ飲む3人。葛城そらの「あぁ…」という声が無残にも部屋に響く。当の3人はその声にも耳を貸さず、アボが用意した物を全て食べきってしまった。
「…フーヴォ様の恩恵は素晴らしいものだな。おぬし等もそう思うであろう?我らを差し置いて食すのはどうかと思うが。…まぁ今回は不問に致す。して、愚弟との話はどうであった?」
あまりにもの理不尽さに言葉を失う渡り人の3人。その気持ちに全く気付かないガララントは、当初の目的である渡り人の葛城そらと松本キラリに対して、言葉を続ける。
「どうも愚弟たちはおぬし等を利用しようとしている節があると報告があっての。第1王子として看過できずに参った次第だ。
渡り人としてこちらの世界に参った者達を、権力闘争の渦に巻き込むのは忍びない。何を言われたかは知らんが、どうせ碌でもない内容で煙に巻こうとしておるのだろう。
それに、わざわざ教会にて魔石も付与してやったのは忘れておるまい。私はおぬし等の味方だ。悪いことは言わん。愚弟ではなく私に着いて来い。望むものも用意しよう。どうだ?」
あまりにも上から目線のガララント。そもそも教会にも無理矢理連れて行かれ、碌な説明もせずに魔石を付与した事を、“施してやった”と言わんばかりに恩着せがましく被せてくる。流石にその言い方に葛城そら達は頭にくる。
「…望みの物?」
「ああ、これでも第1王子だからな。大抵の望む物も思いのままだぞ?」
「じゃあ今、食い散らかしたグレープジュースとパンを返してよ!あれは私たちに用意してもらった食べ物なんだよ!」
「そうだ!せっかく向こうと同じレベルの食べ物だったのに!あれは勿体ないから後でゆっくり食べようとワザと残しておいたんだぞ!それを全部食べやがって!」
「いきなり入ってきて、私たちに用意してくれた食べ物を無断で食べ散らかして当然みたいな顔してるお貴族さまなんてお呼びじゃないわよ!」
いきなりキレ気味に騒ぎ出す渡り人3人。面喰らったガララント達であったが、勝手に用意されていたものを奪い取って食べた事実を、隠すかのように逆切れする。
「な、何だと!不敬であるぞお前ら!王族に対して何たる物言いだ!!」
「不敬って言う前に、自身の行動を顧みて話をしろよ!常識で考えりゃ分かんだろ!」
どの口が常識と言ってるんだと小1時間ほど問い詰めたいと扉付近に待機している侍女や護衛の騎士達は思ったが、口に出せる状況では無いため黙っている。
「早く、食い散らかしたグレープジュースとパンを返してみせてよ!大抵のものは用意してくれるんでしょ!」
食い物の恨みは恐ろしい。特に高水準の食生活を送っていた渡り人3人にとっては、尚更である。
あまりの迫力にタジタジなガララント達。そこへやっとアボ達がやってきた。当然、大声で怒鳴りあっていたので、内容はそこそこ掴めている。
「…兄上。いや第1王子ガララント。何故ここに居るのか説明してもらおうか?私の記憶が正しければ、国王より接触禁止の命を賜っていたはず。国王の命を蔑ろにするほど第1王子の地位は向上したのであろうか?不出来な愚弟にも分かるように説明してもらおうか。」
静かながらも、その静かな喋り方が逆に恐ろしさを増している。15歳の少年とも云うべき男の覇気では決してなく、王としての片鱗がすでに表れているようだ。
「セガルルト。ま、まずは落ち着け。これは不幸なすれ違いがあったのだ!」
「ほぉ…、不幸なすれ違いですか。それは興味深い。後ほど、是非とも国王も踏まえて話を聞かせて貰おうではありませんか。」
「ち、父上は関係ないではないか!」
「国王より、公的な命にて接触禁止と申し付けられたのではありませんか?それでも関係ないと?」
「そもそも接触禁止というのが間違っておるのだ!それに、この者らに教会で魔石を付与する指示を出したのは私だぞ!状態を把握するためにも、最後まで責任を取るのは当然ではないか!」
「だから国王の命を蔑ろにするというのですね?貴方が属する国の頂点である国王の“勅命”を無視すると。」
「そ、そうは言うておらん!だから不幸な行き違いで父上も……」
フーヴォの能天気な響きの声が、ガララントのグダグダな言い訳にもならない言葉を遮った。
「ホー?ホーーゥホーーーー?」
「「あれ?渡り人の皆さん、テーブルに出したジェノベーゼパンとグリッシーニ。全部食べてしまわれたのですか?かなりの量をエン殿たちがお出ししたと思ったのですが?」とフーヴォさんは申しております。」
「ホーーホーーーゥ?」
「「貴方様の為にお出ししたのですから貴方たちが食すのは問題ありませんが、恩恵の機密があるのに、その他の方はよもや食してはいませんよね?」とフーヴォさんは申しております。」
冷静に通訳するエン。そしてその言葉にビクッとし、冷や汗が流れ出すガララント達3人であった。
安定のガララント。
食い物の恨みは舐めてはいけません。
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