55話.常識?非常識?6
夜逃げしたい今日この頃。。。
55話.常識?非常識?6
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「ホー、ホー。ホーーーゥ…(アボ殿、エン殿。ちと相談事が…)」
「どした?」
フーヴォは俺らが座っている所まで飛んでくると、お菓子が置いてあるテーブルに降り立ち、お茶請けのクッキーを摘まみながら、言い辛そうにチラチラと2人の顔を見てくるが、一向に話そうとしない。
「王国で何かございました?」
「ホランド公国の移民についてかな?」
アボとエンの問いかけにビクッとすると、申し訳なさそうに話し出す。
「移民については何とかなっておるのじゃがの、…そのぉ。」
「…移民についてじゃないのに、言い辛そうにする理由。俺たちに不利益な、もしくは厄介ごとなんだろうけど。。」
「いづれにせよ、フーヴォさんが語らねば、先に進みませんわ。」
口の重かったフーヴォが話し出した内容は、中々ヘヴィーな内容だった。
フーヴォ曰く、王国内にて、3人の渡り人が発見されたそうだ。見慣れぬ服装の男女だったそうで、すぐさま、王宮に連絡が入り保護。経緯を聞き取り、渡り人と判明。3人とも元の世界で高等教育は受けていたようで、それなりの知識は持っているようだが、「召喚された」「これは拉致だ」等、被害妄想爆裂でほとほと困っていたそうだ。
その中で、魔力が無い世界から来たという事で確認してみたら、3人とも魔力無しと分かった。3人共、身体能力も乏しく(こちらの世界の基準で考えると10歳程度)特殊な能力も発現していないことから、魔石を提供・付与することになった。
「…うん、厄介ごとの予感がヒシヒシと伝わってきた。ちなみに3人は若い?」
「ホーーーホー(3人共15歳と言っておった。)」
「じゃあ、学生さんだね。特別な知識も職業的な能力も身につけてない、一般人かぁ。3人は、知り合い同士なのかな?」
「ホーーホーーーゥホーー(同じ学び舎に通っておったそうだが、話の内容的には顔と名前は知っている程度の関係のようじゃ)」
「えー?!ここは幼馴染テンプレじゃないんですかー?」
エンが愛読書の一つ『召喚パラダイス♪私は幼馴染と王太子、どちらを選ぶ?』を手にして叫んでる。エンさんや、キャラが崩壊しているよ。。。
「それで?話を戻すけど、渡り人に魔力生成機関である“魔石”を付与?したの?」
「ホーーーホーー(一部の暴走した輩の行いでな)」
「暴走?」
なんでも以前、とある国で主のいない賢獣に渡り人が主となったことがあるそうで、主のいないフーヴォに宛てがおうとした一部の貴族が暴走したらしい。
それに渡り人の持つ知識や、魔法ではない不思議な能力も確認されており、恩を売る・自身の勢力に取り込もうとした模様。しかもその主犯格は第1王子。
その後、王族(第2王子)が察知し、教会に駆け付けるも、時すでに遅し。王族が秘蔵している高価な魔石を付与してしまった後だったそうだ。
「ほんと話題が尽きない第1王子だね。それで?」
魔石を付与されても、すぐには魔法を使える訳もなく、渡り人の1人がブチ切れ騙された!と喚き散らす。といっても10歳程度の身体能力では生きていくのも大変なのは事実。元の世界に戻れるわけでもないし、最低限の生活が出来る様に宮廷魔法師が3人に魔力循環を施し、魔石と身体を馴染ませて何とか年相応の身体能力までは向上させた。
までは良かったが、ここでまた第1王子がやらかした。無理矢理フーヴォと3人のお見合いセッティング。
緊急呼び出しまでしてフーヴォを呼び出し、主として再契約させようと強要。その際、急な呼び出しだった為、フーヴォの手(脚)にはアボから貰った色とりどりのマカロンの入った袋を握ったままだった。
結果、渡り人達が騒ぎ出す(食生活が乏しい事も、気持ち的に限界だったらしい)。そしてアボ達と共に居たこともバレてしまう。
向こうの知識を持った渡り人からしてみれば、美味しくない食生活をしていた時に、馴染みのあるスイーツ(マカロン)を持っていたフーヴォを見れば騒ぎ出すのも当然の事。
いくら賢獣の知識だと伝えても収まらない。困り果てた第2王子はフーヴォに相談。そしてフーヴォはアボに相談。←今ココ。
「それで?食生活の改善のプレゼンをすれば良いの?でも、きっと不満は無くならないよ?次から次へと噴出するに決まってるもん。そしたらまた頼む気?結果的に渡り人のお悩みごと全てを俺らに丸投げすることになるんじゃない?」
「ホーー。ホーーゥー…(その通りじゃ。じゃが断ろうにもワシでは意思疎通がのぉ…)」
「そっか。フーヴォと普通に会話できるヒトが居ないっけ。」
「ホーーー。ホーーーゥ…(じゃから申し訳ないのじゃが、一緒に王国まで来て欲しいんじゃ…)」
「そういう理由だったなら良いよ。あくまでもフーヴォの意思を伝えるだけで良いのなら。」
「通訳する以外、お助けするおつもりは?」
「全く無い。保護すると決めたのは王国の判断。打算があったにせよ、保護すると決めた以上、最後まで責任を持つのは王国。フーヴォにも関係のない話だし、当然うちらにも関係ない。」
「ホーホー。ホーーーー(当たり前の話じゃの。じゃが、ちと気になる事があるんじゃ)」
「気になるって何が?」
「ホーーゥホーーホー(付与された魔石と渡り人の相性の問題かも知れん)」
「何か問題があるの?まさかまた人工魔石??」
「ホーーホーーーホーーーウ…(いや、今回使われた魔石は、次回の賢獣の顕現用の魔石なんじゃが…)」
「人工魔石じゃないのに問題あるの?」
「ホーーーゥホーーーー(気のせいかも知れんが、渡り人自体の問題かも…)」
フーヴォ曰く、
・こちらの世界に適応出来ていない渡り人の身体に無理矢理、魔石を付与した可能性があることと、渡り人の身体という器と、魔石の(魔力量の)器が見合ってない可能性。
・渡り人に『鎖式』を試したところ、3人の内、2人は特殊系である“光属性”と“聖属性”の可能性がある。
・ただ、この希少属性が渡り人の特殊性なのか、意図してこちらの世界に送り込まれた渡り人だからなのかの判断が付かない。
「つまり、渡り人の身体に魔力が馴染むのかの問題と、身体の器以上の容量を持った魔石の魔力によって身体に変調をきたす可能性。
渡り人という特異な存在に加え、希少属性である“光属性”か“聖属性”が2人現れたという偶然。
あまりにも偶然とは言い辛い、渡り人の特殊系の魔法適性の為、何かの予兆ではと疑っているって感じ?」
「ホーーー。ホーゥ…(概ね、その通りじゃ。そして最後に…)」
フーヴォは思いっきりタメを作って言い放った。
「ホーーーーホーーーゥ!(3人の内2人の渡り人には一切の常識が通じない!)」
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