48話.賢獣祭3
エンさんの暴走、一応着地?
48話.賢獣祭3
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エンの独白に、悲しみの波動の魔力を纏ったコウキとシャーヤの鳴き声。
その切なげなその声は、大広場全体に響き渡った。
独白という形で、ハーベスト神皇国とホランド公国の犯した罪、賢獣を穢した事実を静かに大広場に集まった者達に伝えたエン。その演出は、コウキとシャーヤの悲痛な鳴き声。
世界会議で危惧していた、暴動へと繋げかねない“扇動”とも云うべき言動。
エンはどう着地を付けようとしているのか?
「ここに集まる者たちよ。我は問う。この世界に賢獣は必要であろうか?
この世界に“世界の愛し子”と呼ばれ、人々を守るために結界を、障壁を張り、人々の安寧を心から願い、献身的に命を捧げて来た賢獣が、道具の様に酷使されようとも見返りも求めずに、唯々持てる力を行使するために生きる。。。
これが賢獣に生まれた宿命というものなのか?
“世界の愛し子”とは道具のことであったのか?
人という種のみ、魔獣の脅威から身を守る為だけに、利用される存在なのか?
ハーベスト神皇国とホランド公国だけではない。他の国の賢獣も多かれ少なかれ、そのような存在だと思われてはいないか?
…再度、問おう。賢獣という存在は、利用されるだけの使い回しの効く道具であるのか?」
人々の怒りの矛先が、行き先を無くしてしまった。ハーベスト神皇国とホランド公国への怒りが膨張し、今にも爆発して暴動へと移行しようとした瞬間、エンが問うた言葉。
お前らも同じだろと言わんばかりの問い。暴発しそうな風船が、一瞬で萎んでしまったかのように、両国への怒りが消えてしまった。
「もし「そうだ」と、少しでも思う者が居るのならば、ハーベスト神皇国とホランド公国の行った行為と、どこが違う?何が違うというのか?
勘違いしている者も多いだろう。賢獣とは『世界の安寧』を願うものであり、決して『人々の安寧だけ』を願うものではない。
敢えて言おう。世界全体の“平等”と人々の住む国だけの公平”は違うのだ。」
大広場に集まった人々は、不安に駆られる。賢獣の恩恵だけを搾取して、生きてきた人々に対して、反旗を振り翳されるのではないのだろうかと。
ハーベスト神皇国とホランド公国だけでなく、どの国の賢獣も恩恵を下賜することが無くなってしまうのかと。
「…祭りを前に、不安にさせるようなことを言って済まなんだな。賢獣教の経典、原典の解釈が、あまりにも湾曲・曲解して皆に伝わっておるので苦言を申してしまった。
これについてはハーベスト神皇国が責任を持って改定するとの言質を取っておる。」
ここで、ハーベスト神皇国が経典の改定をするという事を、賢獣の口から発せられた。逃げることは出来ない。これだけの人々の前で賢獣自らが宣言したのだから。
ハーベスト神皇国としては、エンに宣言されてしまった以上、行わない訳にはいかないが前途多難だ。只でさえ、賢獣に見限られてしまっている上に、経典までも否定されてしまったのだから問題どころの騒ぎではない。信徒に対してどのように接すれば良いのか?
全てを否定された上で、魔獣の脅威に晒される、正に国の滅亡へのカウントダウンを数えながら経典の改定を同時進行で行わなければならないのだ。
まだ、自らが己の罪を悔いり告白していたのであれば、少しは猶予が得られたであろう。しかし、エンに任せたという事は情状酌量の余地は一切無くなったという事。安易に保身を求めた結果である。
「無論、賢獣コウキが居なくなったハーベスト神皇国については冒険者ギルドも協力を申し出てくれた。魔獣への脅威は多少は減るであろう。コウキや我も、経典の改定が終われば、協力も吝かではない。枢機卿を始め、教会の者たちが早急なる改定を、信徒たちを含め皆心待ちにしておるからの。」
どんどん逃げ場を無くしていくエン。経典を原典の通りに戻すことは、自身の保身さえも捨ててしまうことになる。権威や権力が無いのが原典なのだから。
今まで権威や権力に縋る者達にとっては、耐え難い屈辱が待っているだろう。エンやアボにとっては知ったことではないが。
あとはホランド公国ですね。
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