42話.閑話:休憩中2
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42話.閑話:休憩中2
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「コンコンコン」と扉を叩く音が聞こえた。
賢獣たちのガヤガヤとした世間話にも似た会話の最中に、来客を告げる合図。
扉の側にいた侍女が確認をしている。来客が誰なのか?誰に対しての来客なのか?まあ、このタイミングで尋ねて来るなんて、あいつらの内、どちらかだとは思うけど。
「賢獣様方及び主様、面会の希望で、ハーベスト神皇国の方が見えられているのですが、いかがいたしましょう?」
やっぱり、か。時間は有限。早速接触してきた。
「しゅる(拒否)?」
「ぶる?(無視?)」
「ホーーゥ(あんまりイジメるでないぞ)」
「とりあえず、ヤンさんランさんは隠れましょう。」
「みゃー(はーい)」
エンさんがヤンとランを隔離。
「冒険者ギルドの控室に、賢獣関係で面会希望のハーベスト神皇国。冒険者ギルドの立場として接する?それとも“世界の愛し子”として接する?」
アボはグランドマスターであるエビンに問う。いや、予定通りとはいえ最終確認だ。元々、冒険者ギルドの立場改善の目的と、エンからの賢獣保護を目的とした今回の一幕。
世界の安寧を考えれば、“世界の愛し子”として接するのがベター。
しかし冒険者ギルドとしては、これから魔獣の脅威に晒されるであろうハーベスト神皇国は、『稼ぎの場』と、『貸し』を作れる絶好の機会。
今までの経緯を踏まえれば、屈辱の塗れた『今まで』からの、ざまぁ展開である。俺だったら、特等席でニヤニヤしながら、さらに追い込むんだけど。。。
「“世界の愛し子”として頼む。」
やっぱり根が善人だね。組織(教団)に関しては、言いたいことはあれど、国が荒れるのは望んではいない。民が魔獣の餌食になるのは見過ごせないか。
「分かったよ。引き続き、計画通りに。。」
侍女さんに「面会に応じる」と伝え、入ってもらう。
会議には同席していなかった面々もいる。エンという新たな賢獣をみて目がキラキラさせているものの、これから頼むであろう内容に戦々恐々としていると言った感じか?教皇と元主は同席していないようだ。ま、当たり前だろうけど。
「此度は面会を許していただき誠にありがとうございます。そしてエン様、初めまして。枢機卿の職を叙階された、ラボメイトと申します。以後お見知りおきを。」
真紅の衣をまとったラボメイト。向こうの世界と同じような格好をしている。だが、教皇を補佐する枢機卿たちは、それに見合う行いをしてきたのか?
教皇と一緒になって賢獣を穢していたのならば、コウキの気持ちを考えると、言葉を交わすのもイヤなんだけど。
「そしてコウキ様。今までの非礼の数々、申し訳ありませんでした。賢獣様のお世話自体、限られた者のみで行われていた為、あのような悍ましき暴挙に気づくことが出来ず、申し訳ありませんでした。」
「教皇と一部の枢機卿、主が中心となって腐敗が蔓延していたようで。。エン様のおかげで、主は託宣者としての資格を失い、教皇は辞任、今確認出来ている関係していた者たちも罷免と致し、エーバー王国のご厚意で牢にて謹慎処分としています。」
「それで?」
エンの硬質的な合いの手に、緊張度が高まっている。
「もちろん経過報告であって、これで許されるとは思ってはおりません。此度の関係者に関しては、コウキ様の御意思を鑑みて、改めて沙汰を下すつもりでございます。」
「……経過報告はいらん。そんなもので賢獣を蔑ろにしたことを帳消しに出来る訳でもないしな。本題を申せ。」
「申し訳ありません。お耳汚しをしてしまいました。」
この人も信仰する神とも云うべき賢獣を前にして、よく真面にしゃべれるなーと、関係ない事を考えていたけど、そろそろ本題へ突入かな。
「大変厚かましいとは存じておりますが、コウキ様!何卒、我がハーベストへお戻り頂けませんでしょうか?
賢獣様を主とし、これまで成り立っていた国であります。コウキ様が居なくなれば、存続も怪しくなります。世界の安寧の為にも、何卒、お戻りください!」
まあ、無理は承知でお願いするのは当たり前だよね。お願いするだけならタダだし。
「しゅるるるーしゅるるるる(無理に決まってるよねー。何されたか分かって言ってる?ほんと厚かましい。)」
※ハーベスト側には通訳なし
「現状、すぐには難しいと言っている。」
エンが無難に通訳している。
「我ら全てが賢獣様に対して信仰心を忘れたわけではありません。我らをこれからも見守り、導いて頂きたいのです。一部の不心得者のせいとはいえ、コウキ様を穢した事実は変わりません。だからといって全ての臣民を路頭に迷わすのはコウキ様もお望みではないはず!何卒、ご再考を!」
今更、情に訴えるの?打算が見え隠れしてるの分かってるよ?いくら“世界の愛し子”とはいえ、安易に元の鞘に戻るなんて都合の良い展開にならないのは承知してるよね?
「しゅる?しゅるるるるるー(それって滅私奉公?人身御供になれっていってるのと同じだねー)」
「我が穢され、段々と色が変色している間、お主たちは何を見ていた?」
おや、エンさん正確に訳さなくなってますよ?
「何を見、何を感じていた?己の保身のみを考えていたのではないのか?」
「……」
「しゅるるるるー(もう縛られるのはいやー。シャーヤと一緒に遊びに行きたーい)」
「今更、腐敗は取り除くことは出来ん。そもそも経典自体が間違っておるのだから。」
「……!」
「まずは原典を再度、読み返してみよ。言葉尻をとって都合の良い解釈にすり替えられた今代の経典を破棄することから始めないと、難しいとおっしゃっておる。」
もはや通訳として機能していない。でも“世界の愛し子”としての返答としては合っているのだろう。そのまま通訳してたら話が進まんし。
「…承知いたしました。時間が掛かろうとも、コウキ様のご意思、賢獣様のご意思に沿った経典に監修し直します。」
やっと、第一段階がクリアって感じか。でもやけにあっさりと通ったな?もっとごねるかと思ったけど。やっぱり賢獣相手に直に話しているのが効いたのかな?
と思っていたら爆弾を投下してきやがった。ま、想定内の爆弾だったけど。
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