39話.世界会議5
登校時間を間違えていたのに気づきました。
すみません。
39話.世界会議5
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はっきりと理性の宿った瞳のコウキが顕現した。エンとアボは【纒衣】を解き、改めてコウキに語り掛ける。
「コウキよ。気分はどう?」
「シュルルルー♪(これが正に生まれ変わった感じでー♪)」
とぐろを巻いたかと思うと、バネの様にぴょんぴょん跳ねている。
「ホーーーゥホーー(そういえば其方はお転婆じゃったのぅ)」
「ブルル、ブルルル(100年前の顕現時は、チョウチンと一緒に良く遊んでいたかしら)」
「シュル!シュルルルルー♪(お転婆なんて失礼な!ちょっと好奇心が旺盛なだけよー♪)」
各国の主達が慌てだす。そもそも賢獣と主の関係は、魔力のパスを通じて意思疎通を行う。
すなわち顕現時に主の魔力をどれだけ、卵の段階で注いだかによってパスとしての繋がり、そして理解力もそれに応じて上下する。
それこそ500年前は、魔獣の脅威に晒されながら、何年も掛けて卵に魔力を注いで顕現させてきた。それによってパスを太く繋いできた。
しかし最近の顕現は、ほとんどの賢獣に対して、魔石や大規模な魔法陣などを使って早期の顕現を推奨されている。魔獣の脅威が増している、他国の脅威も増しているなど、様々な理由があると言い訳して。
その結果、主とのパスのつながりが薄く、意思疎通は出来ても理解力は乏しく、賢獣との関わり合いも少なくなってしまっていたのだ。
しかし今、賢獣同士が和気あいあいと会話を交わしている。ここ100年、賢獣同士での会話も久しく見ていなかった。
主達は慌てだす。普段見ていた賢獣の様子と全く違う一面を見させられているのだから。自分の知らない賢獣たちの楽しそうな会話。
これこそが本来の“世界の愛し子”なのだ。我らの知っている普段の賢獣の姿は、凛とした佇まいと言葉少なな関わり合い。
魔獣の脅威は今も昔も変わらない。しかし過激派の到来により、種族間の争いが賢獣との関係を悪化させてしまっている。
国策が間違っていると暗に言われている状態。関わり合いが少なくなった弊害で賢獣が何を考えているかも理解出来ていないのだから。ホランドのように、賢獣にいつ見放されるかも分からない状態なのだ。
「さて、話が反れてしまったが、ハーベスト神皇国よ、これで問題は無いな?コウキも、こうして元の姿に戻れたのだから。」
「……」
賢獣を己の意のままに操ろうと画策してきたハーベスト神皇国。長年の計画が一瞬で瓦解した。理解は出来ても納得なぞ出来るワケがない。教皇自身が主ではないため、余計に理解が足りていないのが問題を余計に悪い方へ向かわせていく。
「た、確かに見た目はコウキ様でございます。しかし、顕現は貴方様の魔力のみでした。そうですよね?」
「確かに。」
「であれば、主は何方になるのです?少なくとも我が国の賢獣が失われたのは変わりません。賢獣の加護を無理矢理奪っておいて何も無しではあまりにも無体というもの!」
「……」
「このような暴挙がまかり通るようでは、国としての体裁も、何もかもが瓦解してしまいます!」
「シュルル?シュルウウ?(別に構わないんじゃない?バッカじゃない?)」
「ブルルルル(世界の安寧をはき違えているね)」
「ホーーーゥホーーーーホーー?(そもそも、コウキがいつからハーベストのものになっておるのじゃ?)」
「シュルウ。シャーーウウ!(私はものじゃないし。薬と悪しき人口魔石で縛っていたくせに!)」
これまで沈黙を守っていた中立派のリリーとヴィヴィまでもが参加しだす。
「ゴアゴァーー(見捨てられても自業自得だ)」
「ガゥガゥガーーー(自身の行いを正当化しようとしても無理が過ぎる)」
「モグモグモーー(それよりこれが終わったらコウキ!遊びに行きましょう!)」
「キュイキュイーー(私も行きたーい!)」
チョウチンとレーレーはマイペースなようだ。
「モソモソ…(金にならん会話は不毛だの)」
「グァグアーー(肉食いてえ)」
ショウモンとクマゴンは別の意味でマイペースだ。
そして、開催国であるエーバー王国のパウルルトが発言した
「結果からみれば、賢獣様に見捨てられたってことだ。言い訳しても、それが通る訳がない。」
「だからそれは無理やり……」
「これを無理矢理と言うのならば、賢獣を薬漬けにするのも無理矢理ではないのか?賢獣様が薬漬けになるのを同意したとでもいうのか?!」
「…けして薬漬けなどには。。」
「お主には言っておらなんだが、ハーベスト神皇国以外の首脳陣にはエン様の御協力により同時通訳をしてもらっておる。賢獣様のお言葉を直にお聞きしておるのだ。」
「そ、そんな!何故我らに断りもなく…」
「己の行為を振り返れ。そしてコウキ様のお言葉によって薬漬けにされていた証言も取れた。それこそ世界に弓なす行為!国としての体裁云々よりも心配することがあるのではないか?」
「…その通訳がありのまま伝わっているとは限らな……」
「愚か者が!!!」
「“世界の愛し子”である賢獣様に何、戯言を申しておる!」
「そもそも、ウソをついて通訳したとして各国には主が居るのだぞ?間違った表現やウソを申したとしても、すぐに訂正が入るわ!」
何も反撃出来なくなり、追い詰められていくハーベスト神皇国。
そしてハーベスト神皇国は賢獣の加護を失い、見捨てられ世界会議での発言権を全て失った。




