36話.世界会議2
36話.世界会議2
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結局、フーヴォの制止の前に、獣人の王がエンの圧に耐えかねて気絶してしまった為、しばしの休憩になった。
「グリンバの獣王も気の毒だったかな?」
「アボ様を貶されたのですから、むしろこの程度で済ますつもりもありませんが?」
「あ、まだやるつもりなんだ。」
「謝罪も貰っていませんし。」
「ま、煽り過ぎないようにね。」
1時間の休憩で会議は再開した。獣王は疲労困ぱいと言った感じだが、何とか意識は回復したようだ。
会議が始まると、すぐにアボとエンは賢獣の証を取り出し、席の隣にある燭台のようなものに置いた。その色は怒りの色。そして一切、言葉を出そうとしない。
今回の主催国であるエーバー王国国王パウルルトが重々しく言葉を開く。
「我が国にとっては10年振りとなる世界会議だ。今回もまた、世界会議を開くことが出来て喜ばしく思う。…出だしは最悪であったがな。」
ちらりとグリンバ獣王国側の席を睨みつける国王パウルルト。
「そして賢獣様方。一部の方はすでに“証”を呈示されていらっしゃるが…、通例ではあります、賢獣の証の御呈示をお願いします。」
それぞれの国の賢獣とその主が賢獣の証を燭台の上に置く。1対の賢獣の証。その中には、1つだけの国がある。エーバー王国と海洋国家パパレーレだ。
この2ヶ国の主は不在。中立派の中でも“日和派”と呼ばれる理由でもある。賢獣様との意思疎通が困難なため、国としての意思決定が賢獣様の意見として反映されていないためだ。
ちなみに、マニー共和国については、多種族人種という側面と、金儲けが出来ればそれで良いという考えで、どっちつかずの政策が多いためだが。
各国の“賢獣の証”の色は次の通り。
■???派
冒険者ギルド
【赫黒】エン……苛立ち・怒り・激怒
■穏健派
・クライファート精霊王国
【清桃】賢獣:ポッポ……楽観・安らぎ
・トロック岩窟国
【清桃】賢獣:チョウチン……楽観・安らぎ
■中立派
・メシドーノツリー樹王国
【清緑】賢獣:リリー……信頼・容認
・高山国家ヨークフィン
【清緑】賢獣:ヴィヴィ……信頼・容認
■日和見
・エーバー王国
【清緑・清灰】賢獣:フーヴォ……信頼・容認・不安
・マニー共和国
【清黄】賢獣:ショウモン……関心・予測・警戒
・海洋国家パパレーレ
【清桃】賢獣:レーレー……楽観・安らぎ
■過激派
・ハーベスト神皇国
【濃紫】賢獣:コウキ……倦怠・嫌気
・ホランド公国
【濃青・灰】賢獣:シャーヤ……悲痛・悲しみ・物思い
・グリンバ獣王国
【濃青・濃灰・赤】賢獣:クマゴン……畏怖・動揺・非難・怒り
一同が証の色を確認する。色によって賢獣との関係、すなわち“世界の愛し子”との関わり合い方が露呈する形となる。これについては嘘偽り、隠すことは出来ない。賢獣の魔力・体表の色を含め、賢獣との付き合い方が現れている。
「…グリンバについては、まぁ分からんでもないが、…ハーベスト神皇国・ホランド公国の両国については、ちとマズいと思うのだが。皆さん、如何お思いか?」
「エーバー王国も『灰』色が入っておるではないか!こちらだけ問うのは可笑しきことではないか?」
「フーヴォ様はあくまでも『清灰』色だ。先ほどの件を憂えて居るだけであろう。ホランド公国と一緒にするな。フーヴォ様に失礼だ。」
「ハーベスト神皇国とホランド公国は昨年【卵孵り】があったばかりであったな?この色はちとオカシ過ぎる。何かあったのではないのか?主殿??」
各首脳が言い合う中、両国の主を見据える。ハーベスト神皇国の主は聖職者の恰好をした若者だったが、胡乱な瞳のまま焦点があっていない賢獣を愛おしそうに羽のついた扇のようなもので賢獣を撫でていた。が、「ギロッ」と首脳陣を見つめると、非難するがごとく激しい口調で口を開いた。
「我らが賢獣コウキは憂いでおいでなさいます!先ほどの一件にしても然り!賢獣様を疑う事自体が、あり得ない!コウキ様は争いに嫌気を指しこの色となってしまったのです!逆にこちらからグリンバの悪行を問い詰めたい気持ちでいっぱいなのですよ!」
「我らが賢獣シャーヤ様も同じであるな。証の色は、悲痛・悲しみ・物思いだ。先の一件に心を痛め、心痛は如何ほどのものかはかり知れん。此度は荒れること必至の事と思い知るが良い。」
怒り心頭の様子の主達だったが、そもそも、こちらに来た時点で、その体表は灰色だったことを忘れているかのようだ。
そしてそれを横目に見る賢獣と周りから憐憫の目で見つめる他の賢獣たち。
世界会議はまだ始まったばかりである。
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