32話.何食べようか?
次話が世界会議前夜になりますので、今回は短いです。
32話.何食べようか?
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何とかゴタゴタが収まり、拠点に戻ってきたアボ一行。
「食事は簡単でも良い?」
「「みゃみゃみゅみょみゃみぃー(つまむのがいー)」」
「つまむ?うーん、お寿司にしよっか。」
「「みゃみぇみゅー(たべるー)」」
とりあえず寿司下駄を皆の前に置き、醤油皿に刺身醤油を垂らす。
そういえば昔、連れって行ってもらったカウンターのお寿司屋さんで、5色のバランスとか聞いたことがある。
『味とともに重視したいのが、“色み”なんよ。白、青、赤、黒、黄と、彩りを意識して。味も食感のバランスも、おのずと整うんや。』
【白】烏賊、鯛、平目など
【青】鰺、小肌、細魚など
【赤】鮪、海老、赤貝など
【黒】軍艦、海苔巻きなど
【黄】玉子焼き、数の子など
色み、彩りをバランス良く食べると、味や食感も味わいが変わってくるって言われたっけ。結局良くわからなくて、いつも“お任せ”でお願いしてたけど。
「まぁとりあえず、はまち、いか、えんがわ、あじを2貫づつ。」
俺なんかは質より量って感じで食べてたよなーと過去を振り返りつつ、どんどん出していく。
「次は炙りサーモン、ボタンエビ、マグロ、中トロ、いくら、ネギトロ。」
ヤンとランが勢いよくお寿司を口の中へと放り込んでいく。見てると惚れ惚れする食べっぷりだ。
「次はヤンとランが好きそうな玉子だよー。」
ちょっぴり甘目の、だし巻き卵。子供が好きな寿司ネタ№1だからヤンとランは絶対に好みの味だと思う。
「「みゃうみゃうー(これすきー!)」」
「リクエストがあったら言ってねー」
「それでは『えんがわ』をお願いします。」
おおっと、エンさん。なかなか渋いチョイスだね!ちなみに俺も大好きだ!
「ヤン、ラン。あなごと鉄火巻き、かっぱ巻きも出しとくね。」
俺はその間に、あおさの潮汁、エンは濃いお茶を。結局、皆で200貫以上食べたのであった。ちなみにヤンとランの、食べた量と体の大きさが釣り合いが取れない件については、今更問わないことになった。
「お腹いっぱいだねー。」
「今日のお寿司は、目の前が海という事もあって、より一層美味しく頂けた気がします。」
「そうだね。食事って料理その物の味もそうだけど、食べる場所や雰囲気、一緒に食べる相手によっても印象は変わるよね。」
お寿司の後に茶わん蒸しを食べ、今はイカの一夜干しを七輪で炙りながら、エンと2人で酌み交わしている。
俺が飲んでいるのは山廃仕込みの特別純米酒だ。最近だと山廃仕込みでも、新酒の状態で飲まれることが多いが、個人的には、熟成させることによって、旨みがこなれて、酸も馴染んで“その真価”を発揮するように思う。
今回の山廃仕込みの特別純米酒は、常温で飲んでいるが、冷蔵での低温熟成で3年経っている物。
年数のわりには熟成味は強くはなくて、味わい自体はよりやわらかくなって、イカの風味を消しさることなく、美味しさがアップしている気がする。
一方、エンが飲んでいるのは、パリっと香ばしく焼かれた「イカの一夜干し」に、バイエルン州のヴァイツェンビールを合わせていた。
所謂“泡モノ”だけど、葡萄を原料とするスパークリング・ワインとは大きく印象が違う。
エン曰く、一般的な大麦麦芽で作られるビールよりも軽快でフルーティ、かつスパイシーな個性を持っているそうだ。「ヘフェ」と呼ばれる酵母が含まれることで白濁するビールなんだそうだ。
元の世界の住人であった俺よりもよっぽど詳しいエン。アルコールの違いなんて、ましてやビールの違いなんて、そこまで考えて飲んだことはなかった。
時間はたっぷりとあるんだし、そういう違いを楽しめる生き方もエンやヤン、ランと一緒だったら素敵だなって思った。
続きが気になると思ってくださる奇特な方は
是非★★★★★のエナジーを、よろしくお願いします。




