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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
序章 準備万端?編
3/93

3話.サヨナラの前に1

読んでいただきありがとうございます。

3話.サヨナラの前に1





「はい。。。はい。ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんがよろしくお願いします。。。はい。それでは失礼いたします。」


 とり急ぎ会社に電話して、兄弟を一人犠牲にし(笑)急遽休みを取得。溜まっていた有休を消化することで対応した。「ふぅー」冷めてしまったコーヒーを一気に流し込み、ため息を一つ。ソファーの前のローテーブルの前には子供の頭くらいある卵に、いつの間にか置いてあった小物袋。中には向こうの貨幣?4種類。10枚づつ入ってた。貨幣価値は分からないが、これが当面の生活費ってことだろう。


「ほんとに異世界に行くんかな。。」


 ボヤくように呟くと、胸の辺りに手を置く。今までの身体と違う確かな証拠。魔石が確かにここにあるのを感じる。目の前にある賢獣の卵と異世界の貨幣、そして魔石。これだけ物証が揃っていたら騙されているわけではないだろう。


「とりあえず残された時間は、今日を入れて3日。向こうに行く準備もそうだけど、能力の確認もしなくちゃな。」


 部屋にある、姿見の前に立ってみる。10歳程度の身体レベルから成人の平均レベルまで引き上げた加減か、一回り大きくなっている気がする。内臓は、確かめようもないか。まさか毒とか腐ったものを食べるわけにもいかないし。「いや、待てよ。。」と、確かめる方法を思いつく。

 おもむろに駆け出し、近くの公園まで走る。思っていた以上に体が軽く走りにくい。午前9時前の公園はすでに暑く、セミの鳴き声がうるさく鳴いている。

 軽く周りを見渡し、人が居ないことを確認すると、軽く屈伸した後に思いっきりジャンプしてみる。

 結果は垂直飛びで1.5mを軽々と超えた。一流のバレーボール選手のジャンプ以上に飛んだことに軽く衝撃を受ける。今までの自分と比べて、少なく見積もっても3倍くらいの身体能力を得ている気がする。次にジャングルジムに上り一番上から、思いっきりジャンプ。地上から5mくらいまで飛び上がったあと、膝を曲げずに降り立った。ずしんと関節、内臓に衝撃が来るが特に痛みもない。内臓にいたっては3倍どころではない強化具合だ。次は砂場へ移動し、助走なしで飛んでみる。。砂場を跨ぐ形で飛んでしまった。


「これが向こうの平均的な成人の身体能力?オリンピック選手が泣いてしまうな。これで身体強化の魔法を使ったら。。考えるだけで恐ろしい。

 確認はもういいや。力の加減も上手くできないし。とりあえず部屋に戻ろう。」


部屋に戻った後、次に魔法の確認をしてみることにした。


「複製だと魔力は使っちゃうと減ったままになっちゃうから。。時空間操作魔法ならどうかな?」


ソファーに座ったあと、目の前にある賢獣の卵を見つめてみる。


「魔法はイメージって言ってたけど、ある程度はその魔法に対して理解してないといけない。

 専用の空間に時間停止の機能を持ってるイメージで、リスト表示付きのストレージ。パターンとして、手で入れるってのがあるけど現実的に考えると不可能だよな。時間が停止してる場所にどうやって手で入れるって話だもんなー。

 色々悩みながらもイメージを固めていく。そして賢獣の卵を見つめて「入れ!」と念じると賢獣の卵がふっと消えた。


「おぉ!成功した。ローテーブルにも抉れも傷もない。触れ合ってる物でも、選んだものだけ収納できるってことが確認できたし、手で触れなくても大丈夫だった。魔力は…うん、減ってない。良かったぁ!ついでに貨幣もしまってと。これで次の実験に行ける。」


 何回か出したり閉まったりしてみた後、魔石に意識を向けて魔力を確認すると、減ったようには感じず、収納する分には魔力を使わないことが分かった。

 次の実験だ。テレビの横に置いてある砂時計をひっくり返し、時間を10倍のスピードで加速するように念じてみる。すると勢いよく砂が下に落ち始めたが、魔力も一緒に減り始めたため、一旦中止する。


「やっぱり時間の操作は魔力を使うね。あとは加速の度合いで魔力の減りが変わるかだけど。。。時間加速のスピードを5倍、-5倍、-10倍と。貰った魔力が少ないからあっという間に半分になっちゃった。色々試すのは難しいか。多分、複製よりはコスパは良いけど魔力は減る。」


 次は魔力練気法を試してみる。「魔力を練る。。。」魔力自体は身体で感じている。ただ、この魔力を練るイメージが浮かんでこない。魔力も反応がない。


「あ、練るだけじゃなくで循環も……いや逆か。まずは循環するように動かしながら……、慣れてきたら……動かしながら練り込むようにして練度を高める……。」


 拙い錬気ながらも魔力がほんの少し回復してきている気がする。ここで錬気で回復した分だけ、魔石の時間を進めるように加速魔法を掛ける。最初はほとんど加速しない。当然、回復した分だけ加速魔法を使っているので、魔石の魔力が回復するわけではない。しかし魔石は時間の経過によって育つと言っていた。錬気によって魔力が循環され練られていく状態で時間が早められれば魔石が育っていくと、そう考えていた。そしてその考えは間違いではなく、魔石が育った分だけ、時間加速の度合いを早めていった。


*****~*****~*****~*****


「さて、向こうに行った後に必要になってくるもの、欲しくなるもの、困ることは…。書き出してみるか。」


■必要になるもの

・防衛手段(武器、防具)

・衣食住(洋服・食料・住居)

・医薬品

■困ること

・トイレ(トイレットペーパー)

・食事関係(向こうにない食材・調味料)

・お風呂

・仕事(お金を得る手段)

・戦闘手段

・移動手段

・目立つこと

■欲しくなるもの

・嗜好品(娯楽品)

・文房具

・向こうにない知識・技術・製品


「大まかに書き出すとこんなところか。重複するものもあるけど、煮詰めていこう。」


 必要になるもの。魔物が居る世界なんだから戦うこともあるかも知れないから防衛手段は必要。困ることの戦闘手段にも被るけど、せめてナイフは欲しいし防御する何かも必要だ。


「パッと思い浮かぶもので攻撃できるものは包丁、ナイフ、刀、拳銃。防御できるものって…分からん。ちなみにナベのふたは却下。ミリタリーショップでも覗けばいいか。

 次に衣食住。異世界の時代設定が中世って言ってたから、現代の生活に慣れ親しんだ人間には厳しいものがあるだろうなあ。着替えと携帯食料、テントは必要か。放り出される場所が平原のど真ん中って場合もあり得るし。」


 転移場所はいきなり死なないように上空10,000mとか海の中じゃないとは言ってたけど、町の近くとは言っていなかった。最悪の事態は想定しておく。

 医薬品はケガの治療に必要なもの。包帯とか化膿止めの抗生剤とかかな。病気は、この身体になって頑強になってるからそこまで必要じゃないかも。


「さて次は困ること。排泄関係だよね。現代人のデリケートなお尻にトイレットペーパーが無いのは困るよな。携帯トイレは。。そこまで必要無いか。目隠しは欲しいけど。大草原で開放感あふれる野グソ…無防備過ぎてすぐ死にそう。

 次の食事関係。必要・困る・欲しい全てに重複するけど、向こうの世界の食事事情が分からない。ラノベ定番のお米がない。味噌、醤油などの調味料が無い。絶対に必要ではないけど、もう二度とこの世界に戻れないんだから、無いと余計に恋焦げれるよなあ。

 仮に向こうの世界で探して見つかれば良いけど、魔物が跋扈する世界を旅するのも危険が多い。死にたくないし。普段、食べ慣れているものを準備すれば良いのかな?

 お風呂は定番かなあ?シャワーだけだと物足りないだろうし。でも困ることっていうよりは嗜好、娯楽に分類かな。


仕事。どんな世界かも分からないからどんな職種、仕事があるのか。定番の冒険者ギルドとかあるのかなぁ。いずれにしても外貨を得る手段は考えないといけない。

 戦闘手段は、無理。逃げ一択。そもそも現代人に戦闘行為なんて無理ゲー過ぎる。防衛装備は容易するにしても、いざとなったら逃げ一択!

 移動手段は、徒歩。馬なんて乗れないし、流石にバイクや車はなぁ。使うことは出来てもメンテナンスが出来ない。それに向こうの偉い人に見つかったら、すぐに取り上げられるのが目に浮かぶ。目立つことは、生活が落ち着くまで一番避けなければならない。

 欲しくなるものは、アルコール類、タバコ、お菓子などの嗜好品。特に向こうの世界のアルコールなんて、定番だとワイン・エールくらいだろ?技術・文明が発展してないんだから当たり前だけど。

 そして文房具。向こうの世界だと、羊皮紙かパピルス紙くらいかな?筆記用具も羽ペンレベル?自分用にノートと万年筆は必須かな。ノートパソコンとかも充電器があれば使えるし役に立つかな。

 最後に、向こうにない知識・技術・製品。調味料やノート・万年筆、ノートPCもそうだけど、自己の生活を豊かにする反面、周りからは羨ましがれ、せがまれ、奪おうとしたり最悪、誘拐とかの危険も近づいてくる。しっかりと自衛手段を確立するまでは秘密にするようにしよう。」


 ある程度、検証?をした後に同時進行していた魔石の成長具合を確認してみる。


「おぉ!錬気も時間加速のおかげでかなり滑らかに出来てる!魔石の総量がエゲツないくらい増えてる?!いったん魔力の回復にまわすか?いやいや、ぎりぎりまで総量を増やすか?いまの魔力の総量を魔力の残量と比較すると。。。おお???」


なんと、1/10,000!?ということはストレージの大きさも小型のキャリーバック位から、10m×15mくらいまで広がっている!!


「ストレージに入れる分には魔力を使わないから、このまま時間加速しながら錬気して、総量を増やしながら持っていくものを収納していこう。

 それにしても時間加速、反則すぎるだろ。魔力の回復にしたって60倍にしたら、こっちの世界でも1日で満タンで回復しちゃうぞ?いや、だとしたら、出来るだけ時間加速が出来るように、もう少し増加分を回復に回そう。複製したいものもあるし。」


 どんどん加速していく魔石の成長具合に若干引きながら、準備を進めていこうと思った。


*****~*****~*****~*****


 ストレージの容積が増えたことにより収納できる量が増えたため、向こうの世界に持っていくものを大まかにまとめてみる。

・衣食(食料、調味料、衣類)

    →  洋服屋さん・スーパー

・防衛手段(武器、防具)

    →  ミリタリーショップ

・医薬品(治療道具、救急セット)

    →  薬局

・その他(テント等)

    →  アウトドアショップ・ホームセンター・雑貨屋・釣具屋


「まずは時間の掛からないところから潰していこう。」


ということで銀行に行き、預貯金を全額下ろしてきた。そこでふと気づく。


「ちょっと待て。いくら異世界に行くからこっちのお金も必要なくなるといっても、律義に全てを買う必要あるのか?複製の魔法も、ストレージもあるのに?」


 魔力がない状態だった時ならばともかく、時間加速によって魔力もストレージの容量も増えている。ストレージに入れるのは手で触れていなくても問題なく収納できるし、倫理観を無視すれば万引きもやり放題。どうせ3日後には居なくなるんだしなぁ。


「よし、この際、騒ぎになっても構わん。自分が生きていくために行動しよう!

 だとしたらあと3日とはいえ、小細工もしないとな。魔法の練習にもなるし。」


 おもむろに財布を取り出し、免許証を見つめる。倫理観を捨て、自分勝手に生きることを決めた瞬間だった。






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