26話.ガララント第1王子
他人の話を聞かない人は、自分の謎理論と感情によって動く。。。
26話.ガララント第1王子
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Side:ガララント第1王子
朝から機嫌が悪い。それもこれもあいつらのせいだ。
僕は第1王子!いずれ王太子になる男だ。なのに何故か、賢獣様が懐かない!レーラ様の血を引く正統な後継者なのに。
今朝もそうだ。せっかく僕が主催の夜会に出席してもらおうと打診したのに、誰も出席してくれないだと!あり得ない!!
つい最近、賢獣様の恩恵で、新たな食品加工料理のお披露目があった。試食をしたが、食感も味も新鮮だった。軽く摘まむにも良いし、ワインに浸して食べても良い。さすが賢獣様だと思った。
それに僕の夜会でもこのビスコッティなるものを出して、広く宣伝するのにも丁度良いと思った。
しかし、国王である父上も、冷めた目で見つめてくる。出てくる言葉は、世界会議の準備が忙しいと、弟のゼガルルトを連れて執務室に籠ってしまうのだ。
確かに弟のゼガルルトは俺よりも頭は良い。しかし顔を合わせるたびに嫌味ばっかり言ってくるイヤな奴だ。同い年とはいえ、第2王妃から産まれてるから継承第1位は俺なのに。
学園ではみんなが俺を褒めたたえてくれる。側近も、宰相の次男のジェームスに騎士団長の嫡男のバッカス。血統も武力も高い者達だ。
人脈作りがゼガルルトよりも上手いから。ひとえに俺のカリスマ故の賜物だ。国王になった際には、皆を引っ張って行かねばならんのだからな。
そんな思いの中、王城でジェームス、バッカスと共に来週の夜会の話をしながら歩いていた時だった。ギルドのグランドマスターとフーヴォ様が正面から歩いてきたのだ。
グランドマスターは、魔物の討伐で困っている冒険者を助けてやった時に絡んで言いがかりをつけてきた嫌なヤツ。
剣や魔法の修練の成果を確かめに魔物を討伐しようと森に入った時に、たまたま魔物と戦っている何人かの冒険者がいた。魔物はヒトを襲う悪い生き物だ。だから協力してやろうと魔法をブチかましてやった。
魔物の近くにいた冒険者も多少ケガを負ってしまったが見事魔物は討伐されたのだから結果オーライのはず。なのに冒険者たちは文句を言ってきて困ったもんだ。
冒険者たち曰く『横殴り』とか『魔法のせいで素材が取れない』『合図も無しに魔法を打つなんて非常識』だの色々言っていたが、魔物は悪い生き物だ。殺して何が悪い?
『協力してやったのに何を言っている!むしろ殺せるときに殺さなければ、被害が民に向かったらどうするつもりだ?第1王子である俺の目の前で、民に被害が出るのを黙って見ていろと言うのか!』と声を大にして言ってやった。そしたらすごすごと帰って行きやがった。
そして意気揚々と帰ってきたら、グランドマスターが文句を言ってきたんだ。怒りが込み上げてきたが、俺も将来は国を引っ張って行く身。グランドマスターも導いてやらなければ。大人の対応をしなければと、俺がその時の状況をしっかり説明してやったら、口を開けたまま黙り込んだ。
そもそもこいつがしっかりと冒険者を教育・訓練させないから、魔物の被害が止まらないんじゃないか。文句を言われるなんて筋違いだ!バカなグランドマスターにも分かるように教育・訓練の大事さも説いてやった。
フーヴォ様は俺が何を言っても聞く耳を持ってくれない。学園の生徒会の会長に立候補するので、第1王子である俺に服従するような魔道具や薬を作って欲しいとか言ったり、今度魔法のテストがあるから、威力を高める為の恩恵をくれと言ったりしても、一度も授けてはくれなかった。だから嫌いだ。単純に俺の言うことを聞いてくれないヤツは気に入らない。
「これはこれはフーヴォ様とグランドマスター。本日は何用かな?」
嫌なヤツが揃って歩いてきやがった。グランドマスターも気に食わないのか、顔を歪めて嫌そうな感じだ。俺も朝から機嫌が悪いが、大人の対応を見せてやる。少しは見習えグランドマスター。
「…ガララント第1王子。お久しぶりですな。此度は第2王子と面会希望でな。急ぎますゆえ、また次回、時間がある時にでも。」
ゼガルルトだと?俺に隠れて何か企んでいるのか?と考えていたが、ふと後ろに控えている女が目に入った。夜会でも見ないような洗練された素材とデザインのドレス。きっと夜会でも花を添えてくれるに違いない。是非今度の夜会に出席してもらいたい。まずは名前も分からんと、夜会に招待出来ん。
「おや?そちらに居るレディは?王城でも見ることのない洗練とされたドレスのようだが、どこぞの貴族であろうか?」
「…こちらは第2王子の客人だ。約束の時間に間に合わなくなるので失礼するぞ。」
そんな急いでゼガルルトの所に行かなくても構わんだろ。どうせ碌な用でもないに決まってる。
「まあ、待て。そんなひと言ふた言で時間は掛からぬわ。お前、名前は何という?」
ゆっくりと顔を上げ、その顔を見た瞬間、身体に電気が走った!この世にこんな綺麗で魅力的な顔をした令嬢がこの王国に居ただろうか?
「エンと申します」と聞こえた声も鈴が奏でるような心地良い声。
俺だけではなく、横にいるジェームスもバッカスもエン嬢の神々しさに、時間が止まったように、呼吸も止めてしまう程に、立ち尽くした。
我に返ったときには、いつの間にかエン嬢は居なくなっていた。
「俺は女神を見た気分だった。」
「俺もだ。今日この時、この場所で出会わせて頂いた幸運に感謝しかない。」
「……見つけた。」
「?」
「ガララント第1王子?何を見つけたのだ?」
「これは愛だ。そうに違いない、俺は真実の愛を見つけてしまったんだ。
さっきゼガルルトの所へ行くと言っていたよな?追いかけよう!今度の夜会にも出席して貰いたいしな!」
「おぉ!それは良い。是非出席して貰おうではないか。」
いそいそとゼガルルトの執務室に向かいながらもエン嬢の話題になってしまう。
「しかしあれほどの見目。隣国の出であろうか?王国ではあれほどの器量の貴族は見たこともない。名前も家名を言わなかったのか、平民で家名が無かったのかも分からんしな。」
「しかし所作はしっかりとしていた様に思える。隣に居た男の侍女とか?」
「そうであれば、もらい受ければ良いか。下手に貴族だと面倒が多いからな。」
3人が3人とも妄想が膨らんでいく。
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「ゼガルルト!失礼するぞ。」
といってドカドカと乗り込んできた第1王子達。普通、ノックして返事があってから入るもんじゃないの?
「「「………」」」
第2王子やグランドマスター、俺たちも全員言葉が出ない。それ程、非常識ってことで合ってるよな?
「兄上?何をしに来たのです?今大事な話し合いをする所なのです。いきなり入ってくるなんて失礼ですし非常識ですよ。」
ゼガルルトが我に返って、ガララントを諫めるが、気にしない風に近づいてくる。
「それは悪かったな。お前はグランドマスター達と大事な話があるというのは理解した。だがこちらも用があってきたのだ。それに全員で話すのではないのだろう?
私もグランドマスターには用は無い。あるのはそちらのエン嬢だ。エン嬢もくだらん話を聞いているのも、つまらんだろ。話が終わるまで、エン嬢を借りるぞ。」
どうやらゼガルルトとグランドマスターとの話し合いで、エンは付き添いだと勘違いしてるのかな?
ある意味、エンが中心の話なんだけどなぁ。
「さあエン嬢、今度開かれる夜会について話がある。是非落ち着いたところで話そうではないか。」
差し出される手に、エンは困った様子でゼガルルトをみる。うん、俺も何とかしてほしい。
「兄上、いい加減にしてください。エンさんも困っています。それに必要のない者なら席について話し合いの場につかないことくらい理解してください!」
「兄に対して何たる物言いだ!もういい。一応お前を立てて話してやったものを。
お前のつまらん政の真似事など見るに堪えれん。早々に終わらせろ!全く、こちらの都合も考えれんのか?自分のことばっかりで人の都合も考えれんとは。そういう機微に疎いようでは、この先苦労するだけでは済まんぞ。」
開いた口が塞がらない。。こいつ何言ってるの?こんな奴が第1王子?
何を言っても聞かないし、退くつもりもないのか、腕を組んで早く終われとばかりに近くにいる侍女にお茶を持ってくるように指示している。
こういう場合はどう処理したら良いのかな?ゼガルルトじゃ荷が重い?ちらっと第2王子を見てみると、怒りと困惑でどう動いて良いのか思案中のようだ。
仕方がない。エンに被害が及びそうなので、動くことにした。もちろん俺ではないが。
「フーヴォ、前にギーホをやったみたいにしてもらえる?」
「え?」
ゼガルルトが不思議そうに俺とフーヴォを交互に見た。フーヴォも「ホーーゥ」と、仕方がないなぁと言った感じで返事をすると、翼を広げ威圧を伴った衝撃波でガララント達3人を吹き飛ばして外に追い出した。
「え?えぇーー??」
ゼガルルト一人が理解の出来ない状態で、疑問の声だけが空しく響いた。
メインの登場人物のの年齢設定を書くのを忘れてた。。。




