25話.二人の王子
世界会議まで、まだ遠い。。。
牛歩の歩みの展開で申し訳ありません。
25話.二人の王子
*****~*****~*****~*****
「「「………」」」
飛び立った途端に障壁にぶつかり墜落。これってお約束ってやつ??
「……どぉしよっか?」
「……とりあえず、いつ目を覚ますか分かりません。緊急の様でしたし、エーバー王国までお連れした方が宜しいのでしょうか?お連れするのであれば、フーヴォ様のお住まいも分かりませんので、…ギルド本部ですかね?」
「そうなるかな?」
漫画のようなたんこぶを作って気を失っているフーヴォを見ながら、軽くため息をついた。
「エルマ様。先日ご一緒にいらっしゃった二人組みの方が面会希望でいらっしゃってるのですが、いかがいたしますか?」
「?!行動が早すぎ!ま、その方が嬉しいんだけど。。そうね、第3会議室へお通しください。すぐに向かいます。」
王族の方が帰られて30分も経ってないのに連絡が着いたことにも驚いたが、こちらとしても今後、何らかの連絡手段を持たなければと思うエルマだった。
「お待たせいたしました、アボ様。エン様。」
「エルマさん、こちらこそ面会の約束も取り付けてないのに急にお呼び立てしまして申し訳ありませんでした。」
「え?」
「ん?」
なんか微妙に会話がズレてる?
「…ひょっとして、フーヴォの緊急の呼び出しって。。。」
「はい、ギルドから呼び出しを掛けさせて頂きました。他に連絡手段が無かったものですから。」
「じゃあフーヴォが気を失っちゃったのは俺らのせいってことか。」
「フーヴォ様に何か?」
王国の賢獣にケガを負わしてしまった事に、若干冷や汗をかきながら、「実は…」と経緯を話す。目が覚めたら何かお詫びにお菓子でも上げてご機嫌取らなくちゃいけないかもと思うアボだった。
「そ、それでフーヴォ様は?」
「ここに。」
脇に置いてある背負子の布をめくり、フーヴォをテーブルの上に。「ホー、ホー…」と暢気に寝息をついてるフーヴォを見つめる。気を失ってるんだか、単に寝ているのか分からない。
「もうすぐ目が覚めるとは思うんだけど、先に何で呼び出したのか聞いても構わないですか?」
「実は……、」
掻い摘んで説明してくれた。
・ギーホが消息不明になった。
・赴任先(左遷先)からの問い合わせで発覚。
・足取りは伯爵領までは追えたが、そこから先が不明。
・消息を絶つ前、最後に接触したのがガブル伯爵だった。
・消息不明になってから5日ほど経っている。
・赴任先へ向かう(引っ越しの)準備はされていた。
・元々ギーホは侯爵家の次男坊で自身も子爵の爵位を持っている。
・爵位を持っている為、王国並びに実家である侯爵家にも報告の義務が生じる。
・不自然な点が多い為、また、時期が時期なので(契約魔法には抜け道がある為)どこからかアボとエンのことが漏れる可能性があること。
「申し訳ありませんでした。今から思えば、世界会議が終わるまで、こちらで監禁しておくべきでした。」
「でも契約魔法で縛ってたわけだし、ねぇ。…とりあえずは王国とかへの報告?」
「そうですね。事情をある程度説明しなくてはならなくなるのですが、私共も契約魔法で縛られているものですから。。」
「同伴しろってことか。」
「申し訳ありません。」
面倒なことになったなぁと溜息をつきそうになった時、やっとフーヴォが目を覚ました。目が覚めたフーヴォは事の次第を知り、一緒に登城してくれることとなったのだが、
「流石にこの格好じゃお城に行って王族の方と話すのはマズいかな?」
「別に構わないのでは?」
「せっかく王城に行くんだし?」
「なるほど。でしたら…」
エンはどこから取り出したか、読み途中の本『ドキ♪ドキ♪マジカル★ステッキ ~追放悪役令嬢はお花畑ヒロインをざまぁする~』の表紙を飾っている悪役令嬢のドレスにしたいと話す。
「流石にそんなドレスは……、あった!これとこれを合わせれば似た感じになるかも。サイズ合うかな?何種類かあるけど…」
ストレージ内を検索してドレスショップから持ってきた物から見つけ出した。
「じゃあ俺は、これに合わせて…」
脳内で検索リストを二人で眺めながら着ていく服で盛り上がっていると、
「ホーーゥーー(服なんてどうでも良いじゃろ)」
とフーヴォに飽きられた様子で呟かれてしまった。
ギルドで馬車を用意してくれてる間に、別室で着替えさせてもらう。
エンは黒のハイネックでスリットネックになっている、レトロ風花柄レーストップで、スカートの部分は白のマーメードラインに黒のオーガンジーが透け感を出して、スタイルが良いエンにはとても似合ってる。
対して俺は某刀が乱舞するアニメに出てくる軍服風の恰好のコスプレ衣装があったので来てみたら意外と、エンとのバランスが良かったので、それにした。
3ピースになっていて、白シャツの上に金のボタンが縦に10個以上付いた無駄に着にくい黒のベスト。ロングのコートは襟になってる部分に金の刺繍がシンメトリーに入っている。
赤いマフラーみたいのが付属で付いてたけど、暑かったので着けるのを止めてしまった。無くても変じゃないしね。
エルマさんが馬車の用意が出来たと呼びに来たが、エルマさんは最初、縫製の技術の違いに驚いていた様子で、次に着替えの服をどこに持っていたのか、とても聞きたそうな感じだったがスルーしておいた。
*****~*****~*****~*****
侍女さんに案内されながら、エルマさんグランドマスターが先頭に、フーヴォは俺の肩に乗ってエンは俺の横を一緒に歩いていく。ヤンとランは、ランがエンの肩口にコサージュの様に引っ付いてる。ヤンは俺の内ポケットの中。
どうやら第2王子の執務室に向かうらしい。すれ違う侍女などはフーヴォを見ると立ち止まり、通り過ぎるまで深々とお辞儀をしていく。ちょっぴり気分が良い。
廊下を進んで行くと、いきなり『ちっ』と、グランドマスターの舌打ちが聞こえた。どうやら好ましくない人物と遭遇か?
侍女が立ち止まり、脇に避け挨拶をする。グランドマスターとエルマさんは脇には避けない。相手は3人。若いが、かなり高位のお貴族さんみたいな雰囲気だけど。。俗にいう典型的な貴族の雰囲気。とりあえず俺たちは黙って頭を下げておく。無駄な軋轢は時間の無駄だからな。
しかしフーヴォという賢獣が居るのは分かっているはずなのに、通せんぼするかの様に、立ち塞がるのってどうなの?
「これはこれはフーヴォ様とグランドマスター。本日は何用かな?」
「…ガララント第1王子。お久しぶりですな。此度は第2王子と面会希望でな。急ぎますゆえ、また次回、時間がある時にでも。」
と言って、明らかに話したがらない様子で侍女に先を行く様、視線で合図を送るが、第1王子は一向に、退く気配を見せずに、
「おや?そちらに居るレディは?王城でも見ることのない洗練とされたドレスのようだが、どこぞの貴族であろうか?」
こういう時って勝手に喋るのって不敬に当たるんだったよね?エンも分かっているのか、応答はせず、グランドマスターに任せるようだ。
「…こちらは第2王子の客人だ。約束の時間に間に合わなくなるので失礼するぞ。」
「まあ、待て。そんなひと言ふた言で時間は掛からぬわ。お前、名前は何という?」
エンも仕方がないと、顔を上げ「エンと申します」と告げたのだが、3人ともエンの顔を見た瞬間、言葉を失ったかのように見惚れてしまっている。エン?何かしたの?
これ幸いに、グランドマスターが侍女に目配せし、第1王子達が呆けけている間にさっさと動き始めた。
頭の中でエンに(何かした?)って聞いたけど(特に何もしておりません)と返ってきたので、エルマさんに聞いてみた。
「エルマさん、さっきの第1王子、何なの?」
「ただの第1王子と取り巻きですわ。」
結構、辛辣な返答が。あんまり触れない様にしよう。そんなこんなで第2王子の執務室へ。侍女が扉をノックをし、返事を待ってから入室。
第2王子が奥のデスクで書類を精査しているのが見えた。第1王子とはまるで違う“出来る”雰囲気を醸し出していた。
「フーヴォ様、並びに皆さま。お忙しい中、ご足労頂き申し訳ない。……初めての方もいらっしゃるようですので、簡単に自己紹介をさせて頂きますね。エーバー王国第2王子のゼガルルトと申します。以後お見知りおきを。」
さっきの第1王子と違い、丁寧に自分から自己紹介をしてくれた。比べちゃいけないのかも知れないが好印象だ。
「ご挨拶ありがとうございます。私はアボ。隣に居るのはエンと申します。二人ともエーバー王国の国民ではありませんが、ただの平民でございます。何分、不勉強な上、無作法な振る舞いもあろうかと存じますが平にご容赦ください。」
精一杯の敬語モドキで挨拶を返す。第2王子は不躾にならないよう一瞬、査定するかのように見つめてから笑顔で
「王国の民ではないと?いや、本当の様ですな。お顔の作りも肌の色も違うようだ。しかし、お召しになさってる服は見たこともないデザインと、きめ細やかな織物で作られた高い縫製技術。とても平民では手の出ない、さぞ名のある方の作品のようにお見受けします。どちらでご購入されたのでしょう?」
あんまり買い被られても。。。ほんとに平民なんだけど。でも、さり気なく探って出自を確かめようとしているのだとしたら、流石と言ったところか?
なんと返事を返そうかと思案していると、いきなり扉が乱暴に開かれさっき会った第1王子達が、なだれ込んできた!
ブックマークや評価★のエネルギーをよろしくお願いします!




