21話.閑話 食の探究者 フーヴォの食レポ♪
食レポって難しい!
想いを言葉に紡ぐってこんなにも…、日々の料理に感謝をしても言葉にするって意外に難しい。。
21話.閑話 食の探究者 フーヴォの食レポ♪
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「……ホーゥホー?(……なんじゃこの刺激的な香りは?)」
暴力的な香りが辺りを蹂躙している。記憶を探ってみても嗅いだことのない香り。意識がぼんやりとしているが我の食に対する嗅覚は鋭敏だ。未知の香りに我の嗅覚レーダーにビビッときた。
「目が覚めたか?」
どこからか声が聞こえるも、まだ意識がぼんやりとしているのか、この香りに気が行ってしまい、香りの出何処を探してしまう。
キョロキョロと首を振ってみると、無意識でもあるに関わらず、匂いの発生源とも云うべき、台所らしきところの寸胴鍋に視線が固定された。
「ホーーー!(新しい料理か!)」
我は一気に覚醒した。食の探究者としては、ちとはしたなかったかも知れんが、ばっさばっさと翼で羽ばたき、エン殿の肩口に止まり、問題の香りの元であるドロッとしたスープをじーっとのぞき込んだ。
(何であろう?この茶色いスープは?)
声を出すのも忘れ、材料や香辛料を記憶の中から探してみる。やはり該当するものが無い。本当にアボ殿とエン殿には驚かされる。
ふと、隣を見ると、アボ殿が別の料理を作り始めているぞ?また知らない調理法だ。
あれは油であろうか?それ程高温ではないが並々と鍋に注がれておるぞ?
あの黄色い細き棒状?短きすぱいらるな形状の?あれは食べ物なのか?薄く黄金色になるまで泳がせておる。
次の行程か?網ですくって味付けをしておるが、塩とハーブ以外はまたも知らない調味料じゃ。カリカリの見た目が食感を期待させるの。
サラダは普通に葉物じゃったが、乳白色の液体をかけておる。味に期待大じゃ。
何かの卵をお湯で煮ておる。これは分かる。ゆで卵じゃ!付け合わせ?らっきょう?知らんな。何かのアクセントになるのじゃろうか。。。
しかしこれは賢獣の知識では決してない。そもそもこの部屋自体おかしいぞ。材質も不明じゃし、そもそもこの竈も、どうやって火をくべておるのじゃ?湯気や煙が外に行く謎といい、あきらかにおかしい。
きっと、これはアボ殿の秘密であろう。無理な詮索はしたくはないが、このような機能的な台所も珍しいでは済まんぞ。この室内を照らすロウソクではない魔道具一つ取っても奇妙奇天烈じゃ。
お?何やら大量の白き粒を水で洗っておる。見たこともない窯の形状じゃの。鉄窯か?また奇妙な材質のものにはめ込んで…ん?何か押したら微かに音がした。
不思議一杯じゃ。もしここにレーラが居ったら何と言うかの?
ま、あの魔性の香りの料理に比べたらどうでも良いがの。早く食べたいものじゃ!
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いきなり寝そべったタイプの椅子が消え、違うタイプの椅子が現れたりしたが些細な事。今は魔性の香りの料理にくぎづけじゃ!
ヤン殿とラン殿も今か今かと待ち望んでおるぞ。
「それではいただきます!」
焦ってはダメじゃ!我も王国の賢獣。あくまでも優雅に、気品を忘れてはならん。さも普通を装って食するのじゃ!
まずは観察じゃ。さきほど洗っていた白き粒に魔性のスープがかけられておる。
「「みゃうみゃー!(からいけどおいしー!)」」
なぬ?辛いのか?
「ホーーーー!ホゥーーー!(暴力的なスパイスの香り!刺激的な辛さ!)」
これはリンゴをすりおろしているのか?辛さも抑えられてマイルドになっておる。思ったよりも辛くないが、空さの中にもフルーティさがある。この奥深さが逆にコクを出している感じがするのじゃ。
ん?アボ殿が卵をスプーンで割って食べておるぞ?味の変化、略して味変か!それでは我もとろりとした卵と一緒に口の中へ。…よりまろやかに口内に広がる風味。たまらん!!
スプーンが止まらんのじゃ!一口大の根菜やすじ肉もグッドじゃ。香辛料を使っておるとはいえ、何故にこのすじ肉は血生臭くないのであろう?不思議じゃ。秘密の処理方法があるのかの?
あぁ!もうなくなってしまったのじゃ!味わって食するつもりが一心不乱に食べてしもうた。
なぬ?お代わりもあるじゃと?!お代わりを所望する!!
今度こそ味わいながら……無理じゃ!スプーンが止まらんのじゃ。これは禁断の料理じゃ!魔性の料理。分かっておってもスプーンが止まらぬ。
鍋のカレーが無くなった。まだあの料理を堪能していたかったが仕方がない。少しさびしさも感じるがこれで最後というものでもない、と半ば強引に諦めようと思っていたら、今度はプルプルした黒いものが出てきた。アボ殿が白いミルクのようなものを掛けてくれたが、これも食して良いのか?
あれだけ後味の引く衝撃的な味わいの料理の後では何を食しても感じないと思うのだが……!
なんと!この冷たいこの黒い食べ物は?!ほんのり苦みがありつつも白きミルクが程よく中和させてくれる!
なぜがカレーの後に食すのが正解と思えるデザートじゃ。初見では見た目の黒という不気味な色合いが一口食した途端、なんとも光沢があって上品に見えてくる。
アボ殿のチョイスはなかなかじゃの。いつかコース料理も食べてみたいものじゃ。
あっという間にコーヒーゼリーなるものも胃の中に納まってしまった。
その後、カレーたちの余韻に浸っておると、油で泳がせていたものとエールのようなアルコールをアボ殿は持ち出してきた。
食後酒かの?重めのワインではカレーには合わんしの、軽めのエールの方がサッパリとしとるし、種類によってはフルーティなものもあるしの。
またもや衝撃な料理じゃ!い、いや、料理自体は特別な物でもないのだが、手(脚)が止まらん!!お菓子感覚でバクバク食べてしまうではないか!
酒のお供としても最高じゃが、これ単体でもいつまでも食べていたくなる魔性の食べ物じゃ!楽しく騒ぎながら摘まむには最高のお供じゃ。
みんなの笑顔を引き出す食事の数々。これが一番レーラが望んでいたものじゃったの。我もレーラに会いたくなってしまったのじゃ。
少し酔ってしまったかの。。。
この先、フーヴォは王国に戻る気は起こるんでしょうか??




