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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
第1章 世界会議編
19/93

19話.行きますか?行かれますか?来ちゃいますか。

今回登場のビスコッティを家で作る時もそうですが、グラニュー糖など向こうの世界で使わない食材が多く、そのまま書けないもどかしさが多いです。。


19話.行きますか?行かれますか?来ちゃいますか。



*****~*****~*****~*****



「じゃあ、開催日まで隠れさせていただきますね。」


「ホーホーホーゥ(本来は世界会議までゆっくりとしたいものなのだがのう。)」


 ギルドも王国も一枚岩ではないという事だろう。特に貴族派は、自らの派閥に恩恵をもたらす存在を取り込もうと躍起になるだろう。いくら契約魔法で俺らの情報を漏らすことは出来なくなったとはいえ、身内の中であれば、契約に抵触しないのだから。


「別に構わないさ。観光以外にこれと言って目を引く物も無いしね。飲食も正直、口に合わないしさ。」


「確かに賢獣様の恩恵による料理はこの国の料理とは比べようもない代物ですから。」



 結局フーヴォが居座る形となり、茶菓子など食べさせていたら(餌付けではない)いつの間にか、ギルド職員も一緒に食べていた。

 今のお気に入りはプレーンなビスコッティなんだそうだ。素朴な食感が好みなんだと。ワインに浸して食べてる。

 簡単なビスコッティなら、この世界でも問題なさそうだからレシピを教えて一緒に作ってみた。何人かと(フーヴォも着いてきた)厨房に来てオーブン?竈?らしきところで作業。


用意するのは卵に薄力粉にメープルシロップ。アクセントにレーズンやナッツ。


卵とメープルシロップをすり混ぜて、薄力粉を振るいに掛けながら練らないように混ぜる。

今回は2種類つくるのでそれぞれ、ローストしたナッツとレーズンを刻んで加え、均一になるように混ぜて棒状に伸ばす。

 オーブンでだいたい180°くらい(目算)で20分焼く。一旦取り出し、1cmはばで切り断面を上にして並べ、再度150°くらいで15分ほど焼いたら出来上がり。

 コツは、薄力粉を加えたら練らないように混ぜてグルテンを極力出さないようにすること。

 ナッツやレーズンの他にもドライフルーツなど加えても美味しいと伝えておく。


 レシピは秘匿しても仕方がないので、王国管轄で登録しといてもらった。(フーヴォたっての希望により)悪用される前に、利権は放棄するが「一般の庶民のお菓子として浸透してくれればと願う。」と賢獣の御言葉を添えて。

 フーヴォに前面に出てもらったら、王国では久々の“賢獣様の恩恵”ということで大そう有難られたそうだ。


「ホーホーホー(主不在だと、恩恵一つ下賜するのも大変なのじゃ)」


「ここまで食文化が低いと、何か一つ披露しても飯テロ(・・・)じゃ済まなくなるよな。でもメープルシロップなんて、用意出来るの?」


「アボ様、こちらにもカエデの木は生息していますので大丈夫ですよ。サトウカエデは王国の北面に生息していますので質の良いメープルシロップの採取は可能だと思います。今まで樹液を採取することが無かったので知らなかったようですが。」


「色々と偏ってんだよな、この世界。日本人が昔、渡り人としてこっちに来たんでしょ?言葉は日本語が浸透してんだし。その割に、食文化やその他諸々広がってないのが不思議なんだけど。ラノベだと知識無双とかあるじゃん?」


「こちらに来た日本人が向こうの知識を持っていたにせよ、こちらでその知識を発揮する土壌が無いのですから理解もしてもらえません。現物もない状態でゼロから生みだせるほどの能力を有しているわけではありませんから。」


「使う知識と作る知識・技術は違うってことか。」


「所詮は一般人の有する知識なんて、文明の上に立って初めて効力を発揮できるものばかりですから。」


 俗にいう、スマホを使いこなせる達人が、スマホを作れるかと言えばNOということ。メープルシロップにしてもカエデの木を知らなければ樹液を採取することも出来ないし、そもそもカエデの木を探そうにもこの世界で、カエデの木がカエデの木と呼ばれているとは限らない。違う名前であれば誰にも説明も出来ないのだから。


 生み出す道具も無ければ、無双は出来ない。所詮何も出来ないのだ。向こうの世界には道具・技術の恩恵があるからこそ文明が成り立っている。

 しかしそれさえも、何かが欠ければ、すぐに瓦解してしまう。

 


 例えばガソリンが枯渇して使えなくなったら?

 例えば電気や電子機器が使えなくなったとしたら?



 ガソリンが無ければ輸送も出来ない。食料自給率の低い日本では、特に都市部に住む人間は、すぐにでも路頭に迷うだろう。


 電気が使えなくなれば、冷蔵庫など冷蔵技術の恩恵が無くなる。そうなれば食料を保存できなくなる。ますます都市部に住む人間は、生きていけない。生産農家以外、生き残れるのだろうか?生産農家でさえも農耕機械が使えなくなり、生産量が減って、どうなるのかも分からない。


 それに、何かを製造しようとしても電気は必要だ。道具も電気が無ければ使えない。文明の恩恵が無くなって、いきなり500年前の生活になったら、今までと同じ水準で生きられる訳がない。どれだけの人間が生き残るだろう?



「ラノベの世界みたいに知識チートで即改革は無理。なんとなく理解した。」


「あくまでもアボ様が特殊なだけです。ストレージ内に収められている道具や知識の塊なども含め、それを繋げる賢獣がいるからこそなんですから。」


「だよねー。こっちの知識と向こうの知識、両方を理解しているエン達がいるからこそ、なんだよなー。」


 俺のことを理解してくれて決して裏切らないエンや、ヤンとランがいるからこその俺だ。


「だからこそ、厄介ごとに巻き込まれない様、世界会議が始まるまで拠点でゆっくりしよう。」


「ホーホ?(拠点?)」


「そう、俺たちが暮らす、俺たちの為だけの誰にも邪魔されない所さ。」


「それではフーヴォさん、ギルドの皆さん、世界会議まで2ヶ月弱ですが、しばらくお暇致しますね。」


「ホ?ホ?(え?え?)」


 アボ達がギルド本部から出て行ってしまった。フーヴォは一緒に行きたかったが、アボ達と行動を共にして傍にいれば、何かと目立つ。王都を賢獣がウロウロしていること自体は問題ないが特定の人間と共にいれば、世界会議前にひと悶着があるに決まってると(迷惑だと)、遠回しに言われていたのだが、食の追求者であるフーヴォは納得がいかなかった。



 王宮に、一人寂しく戻るフーヴォ。主であったレーラが亡くなってから、久しぶりの充実した日々であった。


 未知なる食との邂逅。


 美味なる食との出会い。


 世界会議まで待てるのだろうか?あの味を知ってしまったのに?


 フーヴォはエンの魔力を探ってみる。あり得ない所で感知した。どうやってこの短い間に何百キロの距離を移動した?方角的に海だ。おそらく島であろう。

 確かに人間との接触は無くなるだろう。しかし。。。


「ホーーーー!(我慢できん!!)」


一路、エンの魔力を目指し飛び立つフーヴォであった。







フーヴォは食の探究者~♪(笑)


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