18話.閑話 暗躍する者達
腹黒の人を描くって難しい。悪を描く場合も立場や味方を変えれば、悪とは言い切れない場合が多い。
その前に人物像がアバウト過ぎて、上手く書けないのが問題なんだけど。。。
18話.閑話 暗躍する者達
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Side:ガブル伯爵領
息子が帰ってきた。学園の休みの間、討伐実績の補完を目的に冒険者ギルドへ護衛を頼んで出掛けていたのだ。
本来は学園の討伐実習で行われるものを、己の地位の確立の為に先立って行おうというもの。
学園で討伐チームを組む際に、少しでも高位の者と繋がりを持つ為だ。
この世界は魔物がいる。この伯爵領でも毎年、ある程度の被害が出る。もちろん領所属の騎士団も巡回させているし、冒険者ギルドも魔物の討伐を積極的に行われている。
だがしかし被害は無くならない。そのため領地を抱える立場の者は、現場の空気を知らなければならないとされている。
道中無事に討伐の経験を積み、帰ってきたと思いきや、様子がおかしい。
普段であれば、討伐の成果を殊更に自慢してくるかと思えば、あいさつもそこそこに自室へ戻ってしまった。
護衛を依頼したギルドへ詳細の確認をしようと執事に使いを出せば、ギルドがゴタゴタしていると。ギルド本部より使節団が伯爵領のギルドへきているかららしい、との事だった。
その使節団の中に旧友のギーホがいると執事より報告があった為、あいさつを兼ねて、ギルドまで足を運んだ。
ギーホは酷く憔悴している様子だった。話を聞こうとすると急用が出来たと、足早に出て行ってしまった。
これは何かある。ギーホは子爵家の次男だ。爵位は嫡男が継いだため子爵ではないが、学園に在学していた頃は一緒にパーティを組んだ仲だ。あいつの性格はよく知っている。
とりあえず伯爵領ギルドに情報収集する様、指示を出す。結果が楽しみだ。しかし2日経っても情報が一切漏れてこない。相当な事件が起こったか?
そこで私は、懇意にしているギルド本部の貴族派に魔導通信で連絡を取る事にした。ギーホはまだギルド本部には着いていないようだ。そして、ここでも情報が一切漏れ出ない。不自然に言葉を詰まらせる辺り、契約魔法で縛られている可能性がある。相当な案件のようだ。
近々で何か大きなイベントは……!【世界会議】か!今年はここ、エーバー王国が開催国だ。警備上の問題であれば我が伯爵領にも情報が回ってくるはず。王国絡みではなく、ギルドの案件と考えれば?
それとなく、王国にも打診してみたが、これといった反応もなかった。やはりギルド関連での問題か。
勢力的に10の大国に比べて、ギルドは弱い立場だ。強大な戦闘能力を保有していても、所詮は個人・パーティ単位の能力しか有していないからだ。
たまたま、このエーバー王国にギルド本部があるというだけで、どこにも属さない公平・中立を謳った組織ではあるが、いつも厄介な案件を押し付けられている。
それを覆すジョーカーを手に入れたとしたら?それが何かはまだ分らぬが、契約魔法を使ってまで情報統制を行う事案。。。他国にこの情報を売ればどれだけの貸しが出来るであろうか?
問題はその情報をどうやって手に入れるかだが。。。やはりここはギーホに犠牲になってもらおう。
「ギーホ、久しぶりだな。健勝であったか?」
「先日は、慌ただしく、碌に挨拶も出来ずに申し訳ない。最近、人事の移動があって、本部から他へ出向することになりまして。」
「ん?本部勤務からの移動とな。それは寂しくなるの。」
やはりギーホが問題を起こしたから左遷という感じかの?それだと情報としては、ちと弱いな。
「【世界会議】関連か?」
「?!」
カマを掛けただけでこれだけの反応。そして黙秘。どうみても契約魔法に縛られておるの。
「いやいや、いくら我らの仲とはいえ、守秘義務もある。言えぬこともあるであろ。気にするな。」
「申し訳ありません。」
「しかし純粋に、友としてオヌシが居らなくなるのは寂しくなるな。」
「未だ学園からの繋がりとはいえ、友と呼んで頂けるのですか?…ありがとうございます。」
「王都より移動となると言っても、二度と会えなくなるワケではないしの。しかし寂しくなることも事実。そうじゃ移動となる前に、久方ぶりに飲もうではないか!ギーホの都合の付く日で構わん。酌み交わそうではないか。」
「ありがとうございます。ですが移動が明後日の為、空いているのは今日くらいしか。。」
「では今日でよかろう。友のための時間だ。予定は組み直せば良いだけだからな。」
その日の夜、ギーホに迎えの馬車を手配し、誰にも会わないように我が城に向かい入れた。当然酒など交わすことなく、地下牢に入れ監禁だ。
いくら昔は友だったと言われても、何も疑わずに来るものだろうか?よっぽど心も病んで余裕もなかったのかの?所詮は小物。
しかし予想よりも早くギーホの身柄を抑えることに成功したのは良かった。ここからは暗部の仕事だ。
契約魔法は、通常、生きてる間は契約事項により情報を漏らすことが出来ない。もっとも死んでしまえば喋ることも出来ないが。
拷問しようが、自白剤を使おうが、絶対に契約事項に反することは不可能と言ってよい。しかしここには抜け道が存在する。
例えば不死者として使役すれば情報を取ることも出来る場合がある。大抵、死んでからも縛る内容の契約魔法を行うには、かなり複雑で難しくなるからだ。
他にも、契約魔法は魂に刻む魔法の為、魂と体を分離させ、身体に直接聞く方法や、奴隷などにギーホの脳か記憶を移植させ、情報を抜き出す方法もある。もっともギーホも奴隷もすぐに死んでしまうか廃人となるが。
「もっとも確実な方法で情報を抜き出さねばな。」
抜き出す情報がどんなものか、心待ちにしながら夜は更けていく。
久しぶりに昔の知人から連絡が来て会ってみたらねずみ講の勧誘でした。。。




