13話.ヤなやつ2
ボリュームサンドウィッチとベネディクト風サンドウィッチ。
娘に人気があるのはベネディクト風サンドウィッチなんだよな。。。
13話.ヤなやつ2
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ギルドの奥から2階に上がり、応接室のような会議室のような所に入った。その後、ガースがすぐに入ってきて、いきなり頭をさげた。
「申し訳なかった。」
言い訳もせずに、まず謝る姿勢には好感が持てる。
「謝罪は受け入れますが、あの副ギルドマスターと話し合いをなさるのですか?」
「伯爵領とはいえ、地方ギルドの副ギルドマスターごときが?今日は王国のギルド本部の面々が、このギルドに来ることになった。その件でハブられたんでイラついてたんだろうよ。
だが、本部が来る前に話し合うことが出来そうで良かった。時間を取り決めてないことに別れてから気が付いてな。
本部の面々が午後にくる。その前に、ここのギルド長と簡単に話をしておきたいが良いか?」
「今更、了承を求められてもな。既に決まってんだろ?」
苦笑いで応じるガース。そこにガヤガヤと怒鳴りながら近づいてくる気配が。ガチャッと扉が開くと、初老のおっさんと副ギルドマスターが入ってきた。
「騒がしくて申し訳ない。それとそちらに居られる御仁が例の…。申し遅れた、わしがここ伯爵領ギルドのギルドマスターじゃ。」
副ギルドマスターが居るので名乗りはせずに軽く会釈するに留める。初老のおっさんとガースはその意図に気付いてるので何も言わないが、何も知らない副ギルドマスターは、当然いきり立つ。
「何だお前は!先ほどもそうだが、伯爵領のギルドマスターが名乗ったのにその態度は!」
「その前に何故当然のように、ここに座る?」
「ガース!今はその話をしているのではない!こやつの態度の話をしているんだ!」
元々の話をすり替えて自分本位の方向へ持って行く。強引に居座る気か?
「お前がここにいると話が進まないんだよ。」
暗に出てけとガースが遠回しに伝えるが、聞こえていないのか聞く気がないのか。
「そもそも!ギルド本部のお歴々がいらっしゃるのに、こんな訳の分からない輩を連れ込んで。いくら私が副ギルドマスターであり貴族の地位を賜っているとは言っても庇い切れんぞ。ガースは事の重大さが解かっているのか?」
ん?貴族??こりゃ典型的なダメ貴族だな。屁理屈にもならない事を尤もらしく言っちゃってさ。。。
視線でガースとギルドマスターを見つめる。ギルドマスターは頻りに汗を拭きながら、困ったような顔をしているが、瞳の奥に試しているような気配がする。こりゃ巻き込まれたか?っていうより利用されたパターンか。そんなに俺らは安くないぜ?そのケンカ買ってやる。
「さっきからゴチャゴチャいってるけど、副ギルドマスターさんは、誰の権限でここに座ってるの?」
一瞬の空白。間髪入れずに
「あ、ギルドマスターかな?普通に考えたらそうだよね、一緒に入ってきたんだし。」
一瞬、二人とも表情が崩れたよ。ギルドマスターにとっては予想外の反撃に映ったかな?
「ガースさんはさっき、この人は同席しないと言った。それなのに、ギルドマスターは入室させたってことで事実関係は合ってるよね?」
「い、いや、それ「事実関係は合ってるよね?」はちが……その通りじゃ。」
違うとは言わせないよ?違うというなら入室させない。勝手に入ってきたなら叩き出せば良いだけだ。
大方、貴族の柵でほとほと困ってるからこっちへ丸投げしたんだろうけど。
「事実関係を確認したところで、ギルドマスターさん。貴方の取るべき行動は?改めて俺らに許可を取る?なし崩しで話を進める?
地方の一支部のギルドマスターである貴方の立場が、これからどんな影響があるか、理解して発言してね。」
「……関係のない者の退出を。それと改めて謝罪する。」
「ギルドマスター?!これはただの脅しで…」
「出てけ!!」
「ひぃっっ!」
副ギルドマスターが転げる様に退室した。結局名前も聞いてなかったな。どうでもいいけど。
「さて、無駄な時間を過ごさせた罪は重いけど、これからの話での挽回に期待しようか。」
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「こんなところかなガースさん。」
「そうだな。あとは本部の対応次第だな。」
「…本部もここみたいに派閥があるんだよね?」
「確かに一枚岩ではないが、後ろ盾が必要なのは誰しも理解しているはずと…思いたい。」
「どんな人たちが来るのかねぇ?」
あれから俺たちの基本的立ち位置、他国の賢獣の立ち位置、後ろ盾としての行動指針など、分かる範囲で説明を受け、あとは本部の対応次第で動き方を考える事となった。
「じゃあ面倒な話が始まる前に、腹ごなしでもするか。」
「で、では食事をこちらに。。。」
「あ、食事は自前で済ませます。別室借りれる?」
ギルドマスターの印象も良くないし、食事まで一緒に居たくない。それにヤン、ランもご飯食べさせないと拗ねちゃうからな。あ、ガースはヤンとランのこと知ってるから一緒でも構わないかな?
「ガースさんも一緒に食べる?ヤンとランのこともあるし」
別室に移動してヤンとランをバックから出してあげる。2匹とも大きく伸びをした後、キョロキョロと辺りを見回してる。サングラスとバンダナを外し、楽な格好に戻る。
「ご飯にしよう。」
「「みゃーい(はーい)」」
あんまり匂いのキツい食べ物じゃない方が良いかな?サンドウィッチとスープで良いか。ガースもたくさん食べそうな体格だしな、ボリュームサンドウィッチにしよう!
某有名ホテルのアボカドとトマト入りのボリュームサンドウィッチと「サンドしていないではないか!」と言いたくなるようなお洒落なエッグベネディクト風サンドウィッチ。
ガースにはビーフステーキサンドウィッチを出してやろう。スープはミネストローネで良いか。
バックから出したように見せかけてストレージから次々と出す。スープは木製のカップにケトルで注ぐ。
「メチャメチャ旨そうだがどうやっていれてたんだ?スープなんて湯気が出てんだぞ?」
「細かいことを気にするな。ハゲるぞ?」
途端に頭に手をやるガース。気にしてたんだ。。。なんかスマン。
「慣れない味付けだと思うけど、金貨を出しても食べれない代物だから。」
「確かに見た目も珍しいな。」
「こっちにはふんわりしたパンはあまりありませんからね。レシピを売るだけで一生贅沢な暮らしが出来ると思いますよ?」
こっちにはビールやパンに作るイースト(酵母)の存在は知られているが低温発酵の知識がまだ無いらしい。ふっくらとしたパンはほとんど出回っていないようだ。
「賢獣様の知識ってすげーな。ここまで料理にまで精通してるなんて。。。」
勝手に勘違いしてくれてるので、そういう事にしておこう。
「とりあえず食べよ。」
「「「「いただきまーす(みゃうみゃうみゃーん)」」」」
「!なんだこれ!塩でもハーブの味でもない!この肉の柔らかさにこの茶色いソース!メチャクチャ旨い!!この前の野営でも旨そうな匂いさせてたけど、こんな旨いもん食ってたのか?」
喋るのか、驚くのか、食べるのかどれかにして欲しい。
「王族だってこんな食いもん食べたことないだろうな。金貨を出しても食べれないってのも納得だ。これだけでも価値のある時間だった。」
食事が終わり、恍惚とした表情で余韻に浸ってるガース。これから本部ギルドとの話し合いがあるけど大丈夫か?
食後のお茶(俺とエンはコーヒー)を飲んでいるとドアをノックする音が。
「ギルド本部の方がお見えになりました。ご準備はよろしかったですか?」
「今行く。」
サングラスを掛け、顔を隠してから、ガースを先頭に先ほどの部屋へ戻る。そこには王都のギルド本部の人らしい5人と、副ギルドマスターが座っていた。ギルドマスターはまだ来ていないようだ。
「我らが先に座っているのを見て、何も謝罪の言葉も出てこないのか?普通の常識を持っておれば、先に来て出迎えるくらい当たり前だろう?」
副ギルドマスターが偉そうに文句を言ってくる。それに対して何か言おうとした者が居たが、この中でも偉そうな恰好をしたものが視線で黙らせるように遮った。
「戯言のような茶番に、わざわざ王都から来てやったんだ。相応な結果を期待しているぞ。」
ん?こいつは話の内容を知っていて茶番と言っているってことか?
それだけ賢獣の存在は希少だってことなのかな。。。と考えているとガースが副ギルドマスターが何故ここに居るのかを聞いてくれた。
「何故、お前がここに居るんだ?」
「わしが許可した。」
「ギルドマスターは?」
「文句を言ってきたので退出させた。」
うん。簡潔に説明してくれてありがとう。要はこの偉そうな人は貴族派で副ギルドマスターが泣きついたって感じか。そして反発したギルドマスターは退出させられ。。というより、体よく逃げた、と。
「言葉を失うとは、こういう事を言うんだろうか。」
ガースが呟いたのが聞こえた。
「ガース、交渉の前に、この展開は予想してなかったわ。」
「流石に俺もだ。」
「何をコソコソと喋っている!そこの顔を隠した2人がそうなのであろう。早くその隠しているものを外して、顔を見せてみろ。」
横暴な態度の偉そうな人が仕切りだしてコチャコチャ言ってたら他のギルド本部の1人が我慢し切れなくなったようで
「さっきから何を言っているのですか!この件の代表は私です!貴方は頼みもしないのに勝手についてきてるのですから、偉そうに語って話を進めるのは止めてください!」
「確かに今回の件については直接、私に依頼はなかったが、立場は貴君より上だということを忘れるな。」
「忘れてなどいません。ですから帯同も、同席も文句が言えなかったのです。ただ、この件に関しましては私が任を追っているのですから!
ましてやこちらの御仁にご無体な応対など許されません!邪魔をするのならば、しかるべき報告を上へと上告致します!」
「ふん、勝手にするが良い。証拠もなければ信憑性もないのだからな。それはお前たちのことも含めてなのだぞ?さっさと顔を見せろ。」
なんか内輪もめが始まったかと思ったら、こっちに戻ってきた。
「ガース。どうすれば良いと思う?選択肢を選ばしてやろうか?」
「勘弁してくれ。絶対に最悪へ導く案しか出さないつもりだろ。」
「あれ?俺の性格、段々理解し始めた?エンに魔力を開放させるのが一番穏便だけど、それだと面白くないから王国の賢獣でも呼んでやろうかって思ってたんだけど。」
「マジで止めてくれ!頼むから!」
真剣な、それでいて泣きそうな顔なガース。そこでエンが「なるほど」とぽんっと手を叩き相槌を打つ。
「それってフリなんですよね?判りました。。。もう間もなく到着するそうです。」
「フリじゃねえ!ってもう呼んじゃっただと??」
「実は近くに待機してもらってたんです♪」
まるでコントの様にお約束の流れが出来上がり、ガースの悲壮な顔が何とも面白い。
「だから何をコソコソと喋っている!!」
勝手に盛り上がっていると、本部ギルドのお偉いさんがブチ切れた時、窓のブラインドを盛大に吹き飛ばし、首飾りを掛けた1匹の白いフクロウが飛び込んできた。
Q.副ギルドマスターって名前が出てこない件について。
A.モブの名前を考えるのが面倒臭い。
Q.サブタイトルのヤな奴ってだれですか?
A.主人公です。
まだまだ表現が足らず申し訳ありません




