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準備万端で楽々異世界生活(仮)  作者: メイシン
序章 準備万端?編
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1話.いきなり過ぎる1

不慣れで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

1話.いきなり過ぎる1






『突然ですが、3日後に違う階層の世界に行ってもらうことになりました。』


「…は?」


『行くにあたって、便宜は図らせて頂きますので安心してくださいね。』


朝起きて寝起きのコーヒーを一口飲んだところで突然、こう言い放った≪頭に直接聞こえてきた声≫。周りには誰もいない。

そもそも、ここは俺の部屋の中。テレビもつけてないし、携帯も通話中じゃない。状況に全くついていけない俺に構わず、頭に直接話しかけてくる声。


『まずは何故、貴方が違う階層の世界に行くことになるか?でございますが、別に、特殊な使命が…ってことではありません。たまたまです。言い方を変えれば、宝くじの一等が連続で当たるよりも低い確率を引き当ててしまったと申しましょうか。もちろん行ったあとは好きなように生きて頂いて構いません。

…本来、起こり得ない暴走と事故が重なった事象の果てに巻き込まれた形でございます。稀にあるんですけどね、神隠し的なことは。ただ、この度の件については偶発的な事故とはいえ修正処理が間に合いそうにない為、こうして事前に説明に上がった次第でございます。』


訳が分からん。本来起こり得ない暴走と事故?3日後までに処理が間に合わないから、違う階層の世界に行くってこと?っていうか、この声は誰?何者??頭がおかしくなったか???もはや思考の放棄に近い。。。


『混乱しているところ申し訳ありません。時間的余裕はございますがあと少しですので、まずはご説明を先に。

 これから行く世界についての説明を簡単に。っと言っても解かりづらいと思いますのでこちらの世界との比較するような感じで説明出来たら良いのですが。

 これから向かう階層の世界は惑星規模はx×xxxX;X×;xx…、貴方の世界で言う“地球”と同規模ですので重力、そして自転・公転速度もほぼ同じと思って結構でございます。尚、大気成分の組成も地球とほとんど変わりせんので、向かった先でいきなり窒息で死ぬということはありませんのでご安心ください。

 また、貴方にとって未知のウイルスや病原体の心配もあると思いますがご安心ください。理由につきましては今からご説明いたします。

 ここが大きな違いとも言えるのですが、これから向かう階層の世界は、惑星自体が魔素(マナ)…いわゆる魔力と言われるものを生成しています。この魔素が生物の免疫力を底上げしてくれると共に、魔素を浴び続けるために極小の生物も巨大化と申しましょうか、寄生虫なども見える大きさ?となり、対処が楽ということもあります。

 そして、そんな中で進化してきた生物は当然、魔力を持っています。皆さん大好き魔法がある世界って訳です。あぁ、皆さんって誰だよって言わないでくださいね。(笑)

 話がそれました。魔法が使える生物につきましては体内に魔力の核、すなわち“魔石”があることが違いですかね。ここまではよろしいでしょうか?』


あーーー。魔法?魔石?中二病を患っていたならば心が疼くと思うが、そんな年齢はとうに過ぎ去っている。

 ラノベでもよくある展開ではあるけれども、そもそも進化の過程が違うんだから、そんな世界に行っても人間はいないんじゃないか?仮に知的生物がいて文明を築いていたとしても、トカゲ人とか昆虫人しかいない世界に俺一人が送られても、害虫扱いで迫害されるか奴隷、ペット、良くて観賞動物…普通に嫌すぎる!


『あぁ、確かに魔力のある世界で生物が独自進化して生物も多様化しております。が、ご安心ください。文明はある程度ではございますが進んでいます。地球で言うところの中世くらいでしょうか?あと知能の有する生物…種族としては、貴方と同じ見た目DNAが同じ人間、向こうではヒト族という種族がおりますので。

 ヒト族も文明を築いて都市国家を形成していますから、あちらの世界に行って孤独に苛まれることはないでしょう。それ以外の種族も、獣人種や木精人種、石精人種・妖精人種・翼精人種・霊精人種といった、こちらの世界にはいない種族も生息しております。言語体系は個々の種族言語はありますが、大陸共通語が一般的で、その大陸共通語は日本語なんです。日本人が階層を渡った関係で根付いた過去がありまして。ま、言語以外は廃れてしまって残っていませんけど。』


思考を読まれてる?声出してしゃべってたか?まぁ声が頭に直接響いてくる時点で察しろって感じだが。

でも…傍から見たら電波系のイカレタ人だよな。自宅に一人だから問題無いが(笑)

 ちょっとだけ落ち着いてきたな。今までの話を要約すると


 ・3日後に理由は偶発的?であり意図的ではないが違う階層の世界に行くこと(避けられない)

 ・魔力、魔法がある世界

 ・行ったあとは好きに生きて構わない

 ・これから向かう階層の世界は地球と同程度の重力、自転・公転

ってことは一日の時間は24時間?一年で365日かな?

 ・大気成分の組成も地球とほとんど変わらない

 ・未知のウイルスや病原体の心配はいらない

 ・知的生物がいて、都市国家を形成。ただし文明の程度は中世くらい

 ・見た目も同じヒト族の他にも種族多数

 ・大陸共通語は日本語

 言語以外は廃れてしまっているってことは、娯楽や食事については期待しないほうが良い可能性が高い。

そして

 ・行くにあたって、便宜は図ってくれる

って感じかな。

うーーーん。どこまで信用できる?

そもそも本当に違う世界に行っちゃうのか??


『少しは現状把握は出来ましたか?それではここからが本題でございますが、最初に便宜を図る旨、お話ししました。

 まずは後顧の憂いが無いように、こちらの世界で生きてきた痕跡は全て消し去ります。要は貴方という存在自体を消し去るということです。行ってしまえばもう、この世界に帰ることは出来なくなってしまうので。ご家族、ご友人の記憶から今お住いの住居、職場の関係につきましても処理しておきます。あ、貴方様の記憶につきましてはそのままですので。』


 それは助かるな。両親は二人共他界してるから問題ないけど兄弟は疎遠となってはいるが一応居るし。「3日後に異世界に行くから、じゃあね」とは言えない。上手く説明できないし、職場に迷惑掛かるかも知れないとは思ったけど、存在自体が消えてしまうなら“元から居なかった”ってことになるだろうから大丈夫だろう。

 あと今住んでるマンションの解約とか家具の撤去、住民票の手続きとか面倒が省けて良かった。流石に3日じゃ全てを片付け出来ん。


『次に、こちらから渡った際“転移場所”をある程度指定できるようにします。流石に上空10,000mとか海の中では…ね。』


当たり前だろ!もしそんなんだったら鬼畜過ぎる。


『それから当面の間、生活できるだけの向こうの貨幣をお渡しいたします。』


向こうの貨幣価値も知らないから、あとで世界情勢も含めて教えてもらおうかな。この際、聞けるものは聞いておいて損はない。


『あと、生活基盤のない状態でいきなり行くことになってしまいましたので、あちらの世界で生きていく上で、不便がなるべく少なくなるよう、魔力生成機関の“魔石”をお付けいたしますね。まあ向こうに行った後でも、神殿でお付けすることは出来ますけど高額ですので。』


おぉ!魔法が使える様になるのか、単純に嬉しいな。


『ただ、幾ら魔石があっても魔法が使える様になるには、魔力を生成する魔石を育てなければいけません。』


ん?育てるって。。ラノベで定番のレベル制か?


『レベル制ではありません。育てた結果として階位というがありますけど。

では、育てるとは?でございますが大きく分けて3つございます。

1.文字通り育てる。

  魔力を行使して魔力を増やす、効率化を模索しながら使うことによって魔石を育てる方法ですね。もっとも単に魔力を使っても微々たるものですし一定のランクまで。無意味に使っても育つ訳ではありません。


2.魔力の譲渡。

  特殊な条件化や儀式、誓約・契約によって魔力を得る方法ですね。一族の秘術や魔物・魔獣との契約、魔力を内包した魔具を使った方法などです。


3.時間の経過

  単純に時間の経過によっても魔石は育ちます。育ち方は個々の環境・資質、種族によって差はありますが、魔石を体内に持つ者であれば、例え魔物であっても時間経過によって強大な力を持つ者がいるといったところでしょうか。


次に階位については単純に人の主観に基づいて分けられております。魔力量の多さ・大きさ、魔法威力の過多など。魔物の脅威のランク付けにも同じ階位で呼んでいますね。』


 階位については誰が判断するかによって変わるってことかな?それにしてもレベル制ではない、かぁ。。ラノベのようにレベル無双は無いってことか。普通に考えて、鉄の塊のような剣を振り回したりとか出来るわけないもんな。明らかに物理法則を無視したぶっ飛び設定はないと思って良いかな?あ、身体強化の魔法とかあったら可能か。いや、あるのか?魔法の種類・種別とか?


『ございますよ。種族的な向き不向き、得手不得手によって習得の度合い・強化が出来るかは当人次第ではございますし、また資質によっても大きく左右されます。あと、あちらの世界の人々は視野が狭いと申しましょうか、発想が貧素ですので魔法の種類・発展について、歩みはかなり鈍いです。現状、魔力の恩恵に寄りかかっているだけですので、四大元素の魔法などはありますが特殊な魔法などは元々発想がないので開発されていないのです。逆に言えば、術理を理解し必要な魔力量で魔法を行使すれば、既存の魔法でも新たな魔法でも、発動するというわけなのです。』


へー。じゃあこっちの世界で知識を持っている分、魔法を開発するには有利か。魔力量についてや術理は要勉強だろうけど。

 それよりも、3日後と時間的余裕があるとはいえ、何故にこんな丁寧に説明を?そして便宜を図ると言って、この優遇された待遇。。。なんで??


『…!』


ありゃ?向こうの思考というか感情の揺らぎが流れ込んできたぞ?相当焦ってる?


「…ちなみに原因を作ったのは誰?」


 怒りを思いっきり乗せて、敢えて声に出してみたら面白いほど慌てた感情で言い訳じみた返答が返ってきた。


『本来貴方がこの世界で全うされるはずの人生がこの件に巻き込まれてしまったために違う階層の世界に行くことになってしまった事が大変心苦しく思ってで「原因を作ったのは誰だ?」すね…』


 追い立てられるかの様に勢いよく言い訳じみたことを語り出したが、被せるように理由を聞く。


『…』


「原因を作ったのは誰だ?」


『…階層管理者3柱です。』


「あんたの立場は?当事者の1柱?」


『当事者の監督責任のある立場です。』


「当事者たちが内々に修正処理することが出来ずに発覚した感じ?」


『全くもってその通りです。本来、干渉することも禁止されている階層の世界でしたが事が大きくなり過ぎ、その被害は階層破壊に至ることが確認されました。

 そんな時に貴方様の存在が確認されたのです。この階層の世界では特に影響を持たさない貴方様ですが、階層破壊を回避するに当たっては絶大な効果を発する唯一の存在だったのです。』


「要は人身御供、生贄ってことか。」


『うぅ。。身も蓋もない。でも言葉を選ばなければその通りです。こちらの階層管理者と連絡を取りましたが、これ以外に回避する方法が見つからず、、。

 こちらの階層管理者は、貴方様が自身の管理する階層から“他管理者の都合”で存在ごと消え去ってしまうのはあまりにも忍びないと…、存在が消えるということは輪廻の輪からも外れることになります。未来永劫、生まれ変わることも出来ないのですから。』


 え?生まれ変われないとかはどうでもいいけど(どうせ記憶を受け継いで次の生を歩めるわけじゃないんだし)今の話しぶりだと他の階層に行くんじゃなくて存在ごと消されて死んじゃうんじゃない?


『不安にさせるような言い方で申し訳ありません。確かにこの階層での貴方様の過去・現在・未来までも、存在自体を消し去る必要がございます。今回の階層破壊を回避する条件の一つですので。』


それはつまり、死ぬってことだよな?


『ここで重要なのが“この階層における”貴方様の存在というところです。』


単純に俺を消すんじゃなくて、この階層での俺を消して、俺自体は他の階層に移すってこと?


『貴方様の複製をお創りします。肉体だけじゃなく魂も精神も。ただ、複製では何故か階層破壊を回避することは出来ませんでしたので。不思議ですけど。』


ちょっと待て。今の言い方だと、複製を他の階層に送るってことだろ?結局、俺死ぬんじゃん!それに“出来ませんでした”って、もう試したってことだろ?3日後の意味が分からん!


『3日後以外に貴方様を使って回避できるチャンスがあったので試してみたのですが、どうやら本物の貴方様以外では階層破壊を回避することが出来ないと結論が出まして。。3日後が最後のチャンスなんです!それに複製の出来も悪くないんですよ?ご希望があれば肉体につきましては多少、手を加えることは出来ますし?』


そういう問題じゃないだろ!いくら複製が生きてても、俺は死ぬんだよ!


『ほんとは3日後に行うつもりでしたが、ご納得して頂けないようですので…、いまソファーに座っておいでですね?状況を確認しました。今からゆっくりと3秒ほど、眼を閉じていて頂けますか?』


訳も分からず混乱している俺に、3秒眼を閉じてと言われ何故か素直に眼を閉じた。…そして


『準備が整いました。眼を開けて頂いても結構ですよ。』


ゆっくりと眼を開けると、目の前に座っている俺が居た。







本日18時に2話目を投稿いたします。

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