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1100文字で完結する女子後輩からの告白

作者: 鳳仙花

「先輩の事が好きです!付き合って下さい!」


蒸し暑さを覚え始める夏頃、まだ高校生としては初々しい後輩から熱烈な想いを伝えられた。

正直、異性に好かれた嬉しさというより……驚く気持ちの方が相当強い。

まず告白場所が、なぜか男子更衣室だぜ?

よりによって部活仲間が着替えている最中でもあるし、もう罰ゲームの類だと直感で思ってしまいそうだった。


でも、恐ろしいことに後輩は本気らしい。

実は嘘だったり後輩の告白相手が俺の友人へ向けてだったとか、そういう勘違いは無い。

それでも現状に理解が追い付かないから、俺は念のため確認を取った。


「もしかして付き合って下さいって、一緒に遊びへ行こうとかの意味じゃないよな?」


「先輩とデートはしたいですけど、私が言っているのは家族以上の関係…えっと、差し支えなければ恋人にして下さいって事です!」


「あー……やっぱりそうか。しかし家族以上って言われてもな…、うーん?」


俺は密かに茶化してくる部活仲間達を横目に唸ってしまう。

すると後輩は何か察したように恐る恐る訊いてきた。


「もう既に彼女がいるんですか?それか、今日たまたま誰かに告白されたとか……。あとは片想いしているとか!」


「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ色々驚いただけで、俺で良ければ…」


「つまりオッケーってことですか?」


「そうなるかもしれない。ただな、先に一つだけ言わせてくれ」


「はい、なんでしょう!何でも言って下さい!」


「お前さ…、本気だとか演技だとか抜きにしても、別に家で言えば良くないか?」


空調はついていないが、同じ部活友達の表情が一変すると共に空気が冷えた気がした。

どうやら周りは俺に憧れる女子が告白してきた程度の認識だったらしい。

あながち間違いでは無い。

ただ、その後輩が………俺の妹だという事実が問題だ。

そして肝心の告白してきた後輩、または妹と呼ぶべき彼女は真面目な反応で返してきた。


「家だと、おにぃに上手く逃げられそうだったからね」


「ここなら確かに逃げるのは無理そうだが…。はっきり言って公開処刑が過ぎるぜ」


曖昧ながらも人前で了承してしまった自分も相当アレだが、我が妹も滅茶苦茶な奴だ。

しかし、どんな形であれ妹は本気で気持ちを伝えたかったわけだ。

たとえ方向性やら手段が間違っていても、それだけは認めてやりたい。


ちなみにこの後、部活仲間含めクラスメイトにまでからかわれるが、結局は『とても仲良い兄妹』くらいの認識で誰かが嫌がらせしてくる事なんて一度も無かった。

ただ妹が望んだ家族以上の関係になる事は絶対に無い。

元から家族である以上、どのような関係に発展したとしても俺達は一生家族であり兄妹という縁は変わらず残るからだ。


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