短編
プルルルル、電話が鳴っていた。
AIに話しかけ、電話を出るように言う。
AIは、電話を切り悲しそうなトーンで言った。
「マスター、莉奈様が交通事故にあったそうです」
リンの言葉を聞き、俺は準備もなしに自宅を出て外に向かう。
病院に向かってるなか、俺は心の中で祈っていた
。
莉奈が無事で、ありますように生きていますように。
病院につき、場所を聞きその場所に向かった。
彼女に近づく、彼女の手を触ってみる。
彼女の手は冷たい、握り返すこともしてくれなかった
。
俺は泣き崩れる
信じたくなかった、彼女が亡くなったなんて。
落ち着きAIに説明された、運転手の居眠り運転。
そう聞いた。
その後彼女の葬式をした。
実感がわかなかった、彼女がいないなんて。
眠ってた彼女の体温は冷たいまま。
彼女はリジェレネータを取ってなかった。
もし、自分がいなくなったようにリジェレネータを取る。
それが今の時代だった。
彼女は生前言っていた。
「リジェレネータかー
うーん、私は前の時代の方がいいかな笑
だって、リジェレネータ後の私は私じゃないでしょう?
だから、取らないの」
そう言って、笑っていた。
自宅に帰り、ベッドに寝転がり俺はAIに話しかけた。
「リン、彼女の声聞かせてくれるかな?」
「了解です、マスター」
「おはよう、春
学校休み?、あ、じゃあデート行こう
デート」
俺はそれを繰り返し繰り返し聞いた
その時、AIが話しかけてきた。
「あの、マスター」
「なに?リン」
「もし、忘れられないなら忘れるという手段もありですよ?
今の時代、それが可能ですから
もし、忘れたいなら専門の病院を紹介します」
「リン、いいんだ
俺は忘れたくないから」
「わかりました、マスター」
AIはそう返答し、また彼女の声を再生した。
そう、今の時代人がなくなるとか事件に巻き込まれたとか失恋した出来事を忘れられるようになった。
感情を薄くする
それが可能になった。
きっと彼女の周りの人間は使っている。
悲しみを忘れる、そんな時代
嫌なことを忘れる、そんな時代
だけど、俺は使わなかった
彼女を覚えていたかった。
AIには、彼女の姿と彼女の声が記憶されてる
おはようと話しかける彼女
喧嘩をして、拗ねてしまってる彼女
笑っている彼女
それが記憶されてる。
ふと部屋の中を見渡す、彼女とのお揃いのブレスレットが目に入った。
あ、そういえば彼女がどうしても欲しいって言って買ったんだっけ。
彼女の笑った顔が、頭によぎった
俺は、悲しくなった
彼女をいないなんて、信じたくなかった
昔の人は、どう乗り越えていたのだろう。
悲しくて、悲しくて、仕方ないことをどう受け止めんだろ。
彼女の電話番号に、かけても彼女はきっと出ない。
彼女のSNSは更新されない
俺は、また彼女の声を聞いて眠りにつく
彼女がせめて、夢に出てくるようにそう願って
笑って、いつも通り名前を呼んでくれるように。
俺は、眠りにつく。




