L―9
家に戻るとゾンビがソファに座り
ケーキとコーヒーをご馳走になっていた
「鈴にも友達ができたのねぇ ゾンビの友達ってのは意外だったけどぉ」
なぜ風姉がこいつをゾンビと見抜いたのだろう
「鈴さん……私がゾンビって名乗ったので」
「ゾンビって久しぶりに見たけど
こんなゾンビ初めてみたよぉ 可愛いねぇ」
鈴姉がゾンビを撫でて撫でて撫で上げているなか
ゾンビは気にせずケーキを頬張っていた
「鈴さん……こんなに撫でられたら私
撫でられまくりの子、通称撫子になるよ」
いや、撫子は撫でられまくりの子の略じゃない
続いてのニュースですがまた、病院から遺体が消える
事件がおこりました 霊安室から遺体が全て消えるという
異例の事件が続き警察が捜査していますが
いまだに手がかりが見つからないとのことです
テレビから流れる不穏なニュース
「皆……さんゾンビになって動いてるのかな?」
「21 歳 絶壁の風姉はどう思ってるの?」
私はちゃかした、茶菓子を食べてるゾンビの隣で
「そうねぇ、仮偽蘭ちゃんが全部食べちゃったとか」
優雅にコーヒーを飲んでいたゾンビがむせた
「ゴホッ風…さん私はゾンビといってもリビング・デッド
生前の記憶がなくても人並みの常識はわかっています
そこら辺のゾンビみたいに何でもは食べませんよ」
「そうなのぉ、仮偽蘭ちゃんはリビングで死んだゾンビなのねぇ」
ゾンビは助けを求めるようにこちらを見るが
私は風姉が楽しそうなので無視した
それより病院から遺体が消えるのは対象外とはいえ
個人的には気になるけど病院からは医師も数名消えてるって話は
ネットでの噂話の域だが他にも健康な臓器を取って処分してるとか
病院ぐるみで死人のパッチワークを作ってるとか
実は 1 部の職員はカニバリズムだとか
とはいえ、霊霧師匠の指示がないってことは
関わる必要がないのだろう
「仮偽蘭ちゃん そろそろ帰るって」
ゾンビをぬいぐるみの様に抱きしめていた
ゾンビは諦めたのかなついたのか
抵抗する気もなくなったのか
人形のごとく死体のごとく手足をだらんとしていた