L―4
私は帰りに鎌鼬の店に寄ることにした
……おや?
ちょうど店から人が出てきた
肩まである私の目と同じ紫色の髪の女性だった
「どうしたんじゃ、解体しにきたのか?」
店から出てきた鎌鼬が私を見つけて言った
「今のは誰?」
「占い師兼情報屋じゃよ」
鎌鼬は早く来いと手で合図した
店には大中小様々な鎌が並んでいる
奥には会計用の机がおいてある
今時コンビニでも自動釣銭機があるのに
この店はそろばんである
さらに奥にある暖簾をくぐり
生活スペースに行く
奥に行くと畳にちゃぶ台座布団という
タイムスリップしたと思う空間がある
「用件はなんじゃ」
鎌鼬は緑茶をちゃぶ台において
座布団に座った
「鎌鼬ここの商売はどうなの?」
「悪いの、だからさっき商売運を占ってもらったのじゃ」
ズズズッと鎌鼬はお茶を飲んだ
「ところで鈴ちゃん わっちには鎌首 舞火っていう名前があるんじゃ
名前でよんでくれんかの」
鎌鼬が隈のできた眼を潤ませて言う
それは、透き通る白い肌のせいで余計に目立つ
艶がある黒と茶色のグラデーションの髪の毛は撫でたくなるくらい……
では、ない危うく撫でる所だった
「鎌鼬 お前を名前で呼ぶことはない」
「そうかの……」
鎌鼬は泣きそうな顔を隠すようにお茶を飲む
「……頭かせ 撫でてやる」
私は艶々の鎌鼬の髪を手に纏いながら頭を撫でる
鎌鼬はこうなると頭を撫でなきゃ話をきかないのだ
「よし、この鎌首 舞火 鈴ちゃんの為なら一肌脱ごうかの」
いや、まだ何も言ってない
「鎌鼬 暗殺に使えそうな鎌はある?」
その言葉に鎌鼬の顔が曇る
「喋るゾンビを消す気かの?」
その問いに対して私は茶を飲んだ
「鈴ちゃんがゾンビを嫌うのはわかるけど……」
「ゾンビは例外無しで消す、たとえ身内だとしてもね」
鎌鼬は私の眼に恐怖を覚えたのが身震いをした
「鎌鼬 お前だって本当は消えてたはずなんだよね」
鎌鼬はうつむいて動かなくなった
鎌鼬は面と向かうとこうも喋らなくなるのだ
「悪かった言い過ぎた」
私はそう言い立ち上がった
「まつのじゃ、あるから」
そう言って鎌鼬は奥に行って骨壺の様なものを持ってきた
「何?それは」
鎌鼬は蓋を外しひっくり返した
中から出てきたのは黒い液体だった
「これは鵺と吸血鬼の骨から作った形状変化する特殊な金属じゃ」
鵺と言えば正体不明の怪異だ
「鵺は正体不明じゃろ 逆に考えれば何にでもなれると思って作ってみたのじゃ」
「何を言ってるのか わからないけど、それを貸してくれるの?」
鎌鼬はそれを壺に戻し私に渡した
「レンタル料を払うのじゃ」
鎌専門店鎌鼬の店主としてそこは譲れないらしい
「何円なの?」
「100万円じゃ」