L―3
ゾンビと言えばガウガウいって
知性が抜けた死体が、ふらふらしてるはずだが
三年前はそうだった。
しかし、目の前のゾンビは
知性もあり霊霧師匠から名前も貰っている。
「さすがに知性もあるんだぜ普通のゾンビとして扱うのは……」
それにしても特例すぎる、
ゾンビに名前つけるな
消す時に情がうつると言ったのは霊霧師匠だ。
「飼うんですか? このゾンビ」
私はゾンビの方を向いていった。
手首には4つ葉のグローバーのブレスレット
意味は幸せ、いや、死合わせってことだろうか
死神の私にはどっちも縁起がいい言葉だ。
「おいおい、飼うってペットみたいな言い方しないでくれよ
ちゃんと人として面倒見る気だぜ」
その言葉を聞いた私は、すぐスマホをだし電話した。
「もしもし、鎌鼬 鎌をレンタルしたい 今すぐ消したい物がある」
「なんじゃ、消すってことは魑魅魍魎かい? 今回はどの鎌を……」
霊霧師匠は、鎌鼬の話を聞く前に、私からスマホを奪い取った。
「鎌ちゃん、鎌はいらないぜ」
「水沢ちゃん どうしたんじゃ?」
霊霧師匠は、鎌鼬に状況を説明した。
「なるほど、喋るゾンビかの、ゾンビなら鈴ちゃんは消したがるだろうな」
「鎌ちゃん助けてだぜ」
霊霧師匠は本気でこのゾンビを飼いたいようだ
私はこのゾンビ解体したい
私はゾンビを睨みそう思った。
ゾンビはそれに気付いたのか
身を霊霧師匠の後ろに隠した。
「なるほど、鎌ちゃんそれは、良い案だぜ」
霊霧師匠は、どうやら解決策を見つけたようだ
霊霧師匠は、風姉のごとく
前髪をかきあげ顎を上げ見下すように言った。
「鈴、仮偽蘭ちゃんを消すと言うなら、
自慢のポニーテールの黄緑色のメッシュの部分を
切り取ってもいいんだぜ」
その言葉に私は動けなかった
口が開かなかった
思考さえできなかった。
「はは、冗談ですよね?」
「冗談じゃないぜ 相談だぜ」
相談いや、私にとっては脅しでしかない
自慢のこの髪を他人にいじられるなど……
「鈴ちゃんどうじゃ?この商談は」
スマホから鎌鼬の声が聞こえる
「それはずるいよ鎌鼬」
さすが悪徳商人
人の嫌な所を気にせず突っつく
「わかった、ゾンビを飼うことを許そう」
「鈴ありがとうだぜ」
霊霧師匠はおもちゃを買ってもらった
子供の様にはしゃいだ
師匠とはいえこの人が産まれてから
16年たった、つまり同い年だ
16歳で高校の教師なのだ
「鎌鼬、まだ聞いてるか」
私はスマホを返してもらい話した
霊霧師匠はゾンビを高い高いしていた
「なんじゃ、鈴ちゃん怒っとるんか?」
「この悪徳商人が」
「鈴ちゃんが褒めてくれるなんて嬉しいものじゃ」
いや、褒めてない
断じて褒めてない
「鎌鼬、自慢の鎌で狩られる準備はできてるよね」
私は鎌をかける鎌鼬の首に鎌を
死神らしく鎌を使って警告する
お前はもうすぐ死ぬと
「鎌鼬には塗ればくっつく秘薬があるでの」
「そう、それじゃあ、何回も解体できるな」
そう言って電話を切った
「あの……鈴さん」
声の元はゾンビだ
私は左目の黄緑色のカラーコンタクトをとり
改めてそのゾンビに対面した
確かにそのゾンビに寿命はなかった
「何?仮偽蘭ちゃん」
私は悪意たっぷりに名前を呼んだ
「あ……えっと……よろしくお願いします」
差し出されたのは手だった
私も手をだし握手した その手はとても冷たかった