#31 相談
「大丈夫。私は死なないから」
「いや、本当に死ぬ可能性が……!」
「だってネレフェクが守ってくれるんだよね?」
「っ……‼︎」
そうだな。
「マリは死なせない」
「信じてるよ」
そう言ってくれると嬉しい。
頭でスピラの言葉がチラつくけど、今は無視しよう。
俺はマリを守る。これは絶対条件だ。
「じゃあいくよ。痛いけど我慢してね」
「うん」
俺は握ったマリの手へ魔力を流し込んでいく。
「んんっ――‼︎」
相当我慢しているな。今マリにはこんな可愛いうめき声だけじゃ済まない程の痛みが身体中を走っているはず。
魔力の底上げ、それは他人の魔力を自分の中に容量をオーバーするぐらい注ぎ込むことでできる。
しかし、これはちょっとでも量や魔力操作をミスるとマリの身体が弾け飛ぶぐらい危険なものだ。
千年も魔力操作をやって来た俺だから、ここまでの制度で出来るのであって誰でも出来るわけではない。
しかもこれをするにはもう一つ条件があって、違いの遺伝子を一定量体内に取り込む必要があるのだ。
方法はなんでも良いがこれをしないと、相手の魔力に順応できずに反発し合い、これまた身体が弾け飛ぶ。
「はい、終わったよ。よく我慢したね」
「……っぅん……はぁ…はぁ…はぁ……はぁ………はぁ」
凄い息切れ。それもそうか。
本当に辛そうだったから抱き寄せて頭を撫でるが、マリは一切抵抗しなかった。
今は抵抗するほどの力がないのかもだけど。
しばらくそのまま頭を撫でていたが、落ち着いて来たらしいマリが見上げてきた。
「どう? どのくらい増えた?」
「んー。2000」
「…………」
「少なく感じるかも知れないけど、これが限界だよ。またこの魔力量に慣れて来たら増やせるけど」
「ううん。充分。多分またお願いするから」
本当、みんなを守るためなら自分が辛いのは我慢するって凄い自己犠牲の精神。
お願いされたらやるけど、マリだけが辛い思いをするのは見てたくない。
「今日はもう寝ようか」
「うん。あ、魔力切れ起こさせるから待って」
早速やってくれるんだね。
ブォンとバリアが張られたのを確認して明かりを消す。
……バリアって魔力切れ起こさせるの楽だな。
*
次の日の朝、マリは昨日の痛みでエネルギーが足りてないらしく、珍しくもまだぐっすり寝ていた。
起こさないように注意しながら部屋を出て、階段を降りていくとツルバとツルバの奥さんがイチャイチャしていた。
「朝から仲良いですね」
「おお、にいちゃん。わりい、こいつがあまりにも可愛くて」
「もぅ、あなたが男前過ぎるのがいけないんです♡」
「お前ぇ♡」
やめてくれ、朝から胸焼けするわ。
周りのみんなは……至って普通に過ごしている。ああ、これがいつも通りなんだね。
「……今日はツルバさんと話したいことがあったんです」
「お? 俺と?」
「少し外に出てもらって良いですか?」
わかったと返事をしたツルバは奥さんと、まるでもう永遠に会えないと言うような雰囲気で一度キスしてからこちらに歩いてきた。
……今日は軽いもの食べよう。
*
「それで? 話ってなんだ?」
俺とツルバは店の前で話すとなにかと面倒そうなので、とあるバーにきていた。
今は早朝だが、ここは昼ぐらいまで開いている店だとツルバが進めてくれたのだ。
「ツルバさんって奥さんのこと愛してますよね」
「あたりめーだろ。そんな質問するって…………! まさか狙ってんのか⁉︎ 俺の嫁はやらねーぞ‼︎」
「違います」
「じゃあ俺か? すまんな、いくら男前でもそっちの気はない」
「それも違います」
いい加減にしてくれ。
「じゃあどうしたってそんなこと聞くんだ?」
「実はですね、最近友に“お前恋してるぞ”って言われたんですけど、それがよく分からなくて。恋愛の先輩であるツルバさんにお聞きしようと思って」
「ほぉ、恋をねぇ。誰にだ? まさか同じパーティーの異性か?」
「ええまぁ、そうらしいですね」
「あのあんちゃんから奪うのか……頑張れよ。それで? 俺に何を聞きたいんだ?」
奪う……だよな。
一応マリはコウスケの彼女ではないから奪うという表現で合っているかわからんけど、今マリはコウスケ達中心の生活してるから振り向かせないといけないわけだ。
……あ、いや俺が恋してたらって話だよ?
だから俺が聞きたいのはこのこと。
「人を好きになるってどういうことですか?」
「は?」
読んでいただきありがとうございます。
今回はどうでしたか?
「面白い」「更新ガンバ」「続き読みたい」そう思ってくださった方は下のブックマークと評価ボタンをクリックお願いします。
これからもこの作品をよろしくお願いします。




