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#24 イチャイチャ

「おお、ここがギルドか!」


 コウスケが言う。


「大きいわね」


 キソノが相槌を打つ。


「中から雰囲気が漂ってきます……ちょっと怖いです」


 王女がコウスケの腕に抱きつく。


「大丈夫だよ。ラーメルは俺が守るから」


 その王女の頭をコウスケが撫でる。


「もぅ、コウスケ様♡」


 王女が照れる。


「ちょっと私はー?」


 キソノが頬を膨らます。


「もちろんキソノもだよ」


 コウスケが微笑む。


 それを眺める俺とマリ。


「マリも行けば?」


「いい」


 うん。マリは置いておいて勇者と二人もツルバたちと勝るとも劣らないラブラブっぷりだな。

 今のところ二人か。これからあと何人増えるかな?

 そのうち一人に後ろからグサッといかれるぞお前。というか一回刺されろ。

 そうだな案内魔王と戦っている最中にやられるかもな。それはそれでなんとも馬鹿な話だと笑える。


 コウスケがいつ刺されるかの予想もほどほどに、あの後ツルバに推薦書をもらって、「俺は嫁と看病デートするからそれ持って冒険者ギルドに登録してこい」と促されるがままでここに辿り着いた。

 しかしいざ来てみると、想像していたよりも迫力があり、出てくる人が皆屈強な姿をしていてなんとも入りづらい雰囲気なのだ。

 守るとかほざいたくせにコウスケはその場から動けていない。


「先、行きますよ」


 全く、俺はお前らのイチャイチャを立ち止まって見ていたい訳じゃないんだよ。

 どうやらマリもそこまで怖いわけではなく、みんなが立ち止まっているから一緒に待っていただけのようだ。俺についてきた。


「あ、ちょっと待て! 俺も行くから」


 はいはい。やっと動いたコウスケを先頭に、そのままギルドの扉を開けて入る。

 ぎぃぃという扉の錆びれた音と共に入ったギルド内は静かになることなく騒々しいままだが、たくさんの視線だけは感じる。

 見渡すとギルド内は意外にも綺麗にされていて昼間から酒で荒れている人はどこにもいない。

 なんとなく役所を思い出す感じの作りではあるが、まわりにいる人たちのおっかない武器と雰囲気が、ここは冒険者の集まりだということを主張している。


「コウスケ行きましょう」


 憧れの冒険者ギルドにきて嬉しかったのか、雰囲気に圧倒されたのか立ち止まっていたコウスケの背中を押し催促する。

 やはり感じた視線は俺らに向けられたものらしく、俺らが動くと一緒についてきた。


「こんにちは」


「はい。本日は何用でしょうか」


 受付に着くなり受付嬢の手を取り挨拶をするコウスケ。それを華麗に受け流す受付嬢。慣れてやがる。


「今日は冒険者登録をしようと思ってきました」


「そうですか。失礼ですがご年齢は?」


「俺が16で……」


 聞いた途端するりと取られた手を抜いた受付嬢。

 どうやら年下は好みじゃないらしい。

 見てわかるだろ普通。あれか魅了のせいなのか。一瞬ありかもって思っちゃったのか。

 自然な動作で元の姿勢に戻った受付嬢は笑顔を崩さずコウスケに忠告をした。


「そのご年齢ですと、冒険者業は厳しいかも知れません。もう一度深く思考した上で――」


「あ、でも俺ら推薦書をもらっているんですよ」


 コウスケはそう言って持っていた封筒を受付嬢に渡した。

 アイテムボックスは使わないのかね。もしかしてもうパンパンか。


「推薦書……ですか。確認させていただきますね」


 多少の意表を突かれるもやっぱり笑顔を崩さないんだよなこの受付嬢。


「……そうですか。……わかりました。ではおそらく実力テストを受けるだけで登録できると思います。詳しい話は今所長を呼んできますので少々お待ちください」


 受付嬢は軽くお辞儀をして奥に引っ込んだ。

 所長が出るほどのことなのか。面倒ごとになりそうだ。

 コウスケは実力テストと聞いてうずうずしている。まぁ、ここで相手に勝ってみんなを驚かすのがテンプレだよな。


「おまたせして申し訳ありません」


 少しして出てきたのは意外にも清潔で真面目そうなタイプのイケメンメガネくんだった。

 いや、中間管理職という立場にいるのだからこれが普通なのか。


「わたしが所長のメレガイです。あなた方はツルバ様の推薦ということなので実力を測らせていただくだけで結構です。しかし相手が集まるまで大体2日ほどかかりますので再度お越しいただいてもよろしいでしょうか」


「ああ。それで構わない」


「痛み入ります。では3日後にまたお越しください」


 コウスケが所長に簡単に別れを言って、俺たちはギルドの外に出た。


「――さて、これからどうするかな」


「コウスケ様、今日はもう休みましょう」


「じゃあ宿に戻るか」


「はい!」


 まあすでに空が赤く染まり始めているからな。


 *


 俺らは寄り道もせず【子馬の居眠り亭】へと帰ってきていた。

 宿の中は賑わっていてツルバの奥さんがいそいそと働いていた。


「あ! お兄さんたち! 夕食の準備できてるけど食べる?」


「じゃあ食べるよ」


「はいはーい。ここの席にどーぞ! さっき言った通り今回は奢りだから好きなもの頼んでね」


 何にしようかな。

 今日は魚にしようかな、それとも肉かな。

 よし肉にしよう。


 *


「はいおまたせ。全部、残さず食べてね」


「「「いただきます!」」」


 ツルバの奥さんに見つめられながら、コウスケたちは目の前に並べられた料理を迷わず食べる。


「ん……うん。普通に美味しいな」


「ええ。普通に美味しいわね」


「普通……なんだね……」


 ツルバの奥さんの顔は引きつっていた。


「[料理・大]持ちの料理人が作ったんだけど……」


 どうやら五つ星で働けるぐらいの実力を持った人が作った料理だったらしい。

読んでいただきありがとうございます。

今回はどうでしたか?


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